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話すためのライティング

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現場で英語を教えている時によく生徒から質問されました。「どうやったら英語が話せるようになりますか?」

最初のうちは答えに困りました。実際「英語を話せるようなる」特別な方法があるわけではなりません。このサイトで常に書いているように、「英会話」「英語」は別物ではなく、外国語なのです。おそらく英語以外の言語で考えた方がわかりやすいのだと思いますが、ロシア語を身に付けたければ、ロシア語を勉強するのであって、「ロシア語会話」と言う特別なジャンルがある訳ではありません。語彙文法リスニングリーディングもライティングも全て勉強し、一定レベルを超えてこないとロシア語でコミュニケーションが取れるようにはなりません。

なので、「英語を話せるようになるには、ひたすら勉強するしかない」と言うような絶望的な回答をしていた時期もありました。しかし、実際に教えていた生徒数が数百人から千人以上を超えて来た時に気づいた事があります。生徒の言う「英語が話せるようになる」と言う意味が必ずしも、自分の認識している「英語が話せるようになる」と一致する訳ではないと言う事です。人によっては、海外で食事をする時に単語を並べてオーダー出来ればいい、と言う事だし、人によっては外国人と趣味のスポーツの話をするときに、選手の名前が伝わればそれで十分満足な場合もあります。ここでは、簡単な日常生活の話ができるようになる、趣味の話が出来るようになる、自分の考えを伝えられるようになる、と言う3段階である程度話せるようになるためのライティング練習方法を説明します。

  • 簡単な日常生活の話ができるようになる
  • 趣味の話が出来るようになる
  • 自分の考えを伝えられるようになる

ただし、あくまでも一方的に話せるようになるための練習なので、「コミュニケーション」が取れるようになりたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

目次

簡単な日常生活の話ができるようになる

まず、「簡単な日常生活が話せるようになる」ためのライティングを練習してみましょう。そのためには、「日記を書くこと」が効果的です。

なぜ日記を書くのか?

「読む」「書く」「聞く」「話す」は密接に結びついています。良く生徒さんで、「話せるようになりたいから、とにかく話す練習だけしたい」と言う人がいるのですが、あまり効率的ではありません。

「読む」「書く」「聞く」「話す」の中でも、特に「聞く」と「読む」「話す」と「書く」は強く結びついています。読んで分からないことは聞いても分からないし、書けないことは話せないからです。なので、「話せるようになりたい」のであれば、書く練習は非常に大切です。

ただし、学校の授業でやったような、「英作文」的な練習方法は初心者の場合、あまり効果的ではありません。初心者が無理やり「英作文」しても、ジャパニーズイングリッシュになってしまうことが多いからです。なので、初心者の場合は日記を書くことをお勧めしています。

あまり難しく考える必要はありません。まず毎日の行動を記録していきましょう。朝起きてから夜寝るまでです。

例えば、

  • 朝何時に起きる
  • 何時に朝食を食べる(余裕があれば、「何を作る/食べるとかも)
  • シャワーを浴びる/歯を磨く/着替える
  • 何時に家を出る
  • 駅まで歩く/自転車で行く/バスに乗る/電車に乗る
  • 会社/学校に着く

みたいな事です。

これを以下のように書いていきます。

  • 毎日の行動(平日編)
  • 週末の行動(平均的な週末)
  • 今日の行動(平日編)
  • 週末の行動
  • 明日の予定(週末編)
  • 今週末の予定

これで1週間分です。基本的に平日の行動パターンは同じような事になると思いますが、毎日の習慣だと現在形、今日の行動だと過去形、明日の予定だと未来形になります。これを毎日1ヶ月も続ければ、「朝起きてから寝るまで」の表現(主には動詞句です)は完全に定着してくるので、話す時に使えるようになります。表現を「動詞句」として覚えてしまっているので文法的な間違いもないはずです。

例えば、

〇〇時に起きる → get up at 〇〇

と言うようにフレーズとして覚えているので、「時間を表現する時に使う前置詞は、”at”なのか”in”なのか”on”なのか?」などと迷わなくなります。

また、自然と現在形、過去形、未来形を使い分けているので、時制に関しては、文法的な間違いもなくなってきます。「書けない事は話せない」と言うことは、「書けることは話せるようになる」と言う事です。

英会話のレッスンを受けた事がある人は分かると思いますが、レッスン中以下のようなやりとりがよくあります。

講師

What did you do last weekend?

生徒

I ……

あるいは、

講師

What are you going to do this weekend?

生徒

I ……

このような時に言葉に詰まってしまって何も言えなくなってしまう、と言うことがよくあるのですが、かなりの確率でこの「言葉に詰まってしまって何も言えなくなってしまう」状態が毎週続いてしまう人がいます。

恐らく、「英会話スクールに通っているのだから、そのうち話せるようになる」って考えているのかもしれませんが、そんな事はありません。何もしないである日突然自動的に言葉が出てくるようにはなりません。

しかしながら、もし日記を書いて「先週末にしたこと」「今週末の予定」を数回にわたって書いていれば、簡単に答えられるはずです。あまりにも当たり前のことですが、「何もせずに毎週言葉に詰まってしまって何も言えなくなってしまう」人があまりにも多いのでびっくりしてしまいます。

「朝起きてから寝るまで」の行動は、恐らく1ヶ月も続けていけば定着すると思うので、つぎの段階へ進みましょう。内容は何でも良いのですが、とりあえず、「自分の事」を書いてみましょう。

  • 名前、誕生日/生年月日、出身地、現住所、身長、体重など
  • 家族構成、それぞれの名前、誕生日/生年月日、出身地、現住所、身長、体重など
  • 家族メンバーそれぞれの趣味、興味、好きな食べ物/飲み物など
  • 仕事や学校の簡単な説明
  • 家族メンバーそれぞれの仕事や学校の簡単な説明

これで1週間分です。全く同じ内容で良いので、1ヶ月続けてみましょう。合計4回ずつ書くことになります。恐らく3週目くらいから簡単に書けるようになります。これも英会話のレッスンで良く話す内容です。

講師

What did you do ? (あなたの仕事は?)

生徒

I ……

あるいは、

講師

Tell me about your family.

生徒

I ……

この時に、出来れば「自分の日記を書くのに必要な表現」を英語の出来る人に確認してもら得ると良いのですが、頼める人がいない場合は心配しなくても大丈夫です。翻訳アプリでもChatGPTでも、かなりの精度なのでそのまま使ってみてください。

自分の書いた文章が「正しいか、正しくないか」はあまり気にする必要はありません。無責任なことを言うようですが、継続的に練習していけばそのうち分かるようになります。不安に感じるようであれば、リーディングリスニング文法の勉強を併用してみてください。

日記の練習をしてくると分かると思うのですが、「話せない」「書けない」1番の理由は語彙力になります。「話せるようになる」ためには、語彙力強化が不可欠ですので、少し説明します。

なぜ語彙力強化が必要か?

もし語学学習の第一の目的が、「話せる様になりたい」であれば、これが最重要項目になります。「話せるようになる」「コミュニケーション取れるようになる」は微妙に違います。この両者を同じ意味で捉えている人もいれば違う意味に捉えている人もいます。

本来ならこの両者は同じ意味のはずです。「話せるようになる」と言うことは「コミュニケーション取れるよになる」と言うことなのですが、「話せるようになる」「一方的に言いたいことを言う」と言うように捉えるのであれば、語彙力さえついてくれば可能です。

なのでここでは、「話せるようになる」「一方的に言いたいことを言う」と定義します。そうすると、語彙力さえ付いてくれば、「話せるようになる」のですが、ここに大きな問題があります。日本人の場合、圧倒的に語彙力が不足しているのです。

以前どこかで聞いたことがあるのですが、「英語の語彙力はその国の経済力と反比例する」と言うことです。かなり納得できるのですが、「語彙力をつける」と言うことは、語学学習の中でも一番地味で面白くない学習方法です。ただし、語学力がつくとその後の生活が大きく変わると言うような状況だと、地味で面白くない学習でも頑張れます。

つまり、「英語力向上=生活水準向上」と言う環境であれば、地味で面白くない「語彙力向上」も頑張れるけど、「英語力向上=生活水準向上」とならない環境であれば、地味で面白くない勉強には力が入らないと言うことです。

日本の場合、英語力があれば多少は収入が増えるかもしれませんが、劇的には変わらないと思います。それが、環境によっては年収が数十倍に増えるような国や地域があるかもしれません。そのような状況であれば、面白くなくても、地味でも、なんでも、「語彙力強化」に全力投球できます。

話が逸れていましましたが、日本人の場合、圧倒的に語彙力が不足しているのです。なので、いいたいことがあっても「どう表現したらいいか分からない」と言う状況に陥ります。しかしながら、なぜか日本人学習者は語彙力を軽視します。語彙力をつけるべきなので、文法を一生懸命勉強しようとします。

文法も大切ですが、ここでのポイントは語彙力です。そして文法に関しては、中学校の教科書や文法問題集で対応しています。ここでは、純粋に語彙力だけにフォーカスします。そして、ここで大切なのは、「自分が話したいことは何なのか?」と言うことをしっかりと理解することです。

話す事に必要な語彙は、話したい内容によって変わってきます。スポーツの話をしたいのならスポーツで必要な語彙、音楽や映画の話をしたいのであれば音楽や映画で必要な語彙です。深く考える必要はありません。自分の話したい内容に必要な語彙を調べ自分専用の単語帳を作っていきます。

ここでも大切な事は、「100%を求めない」と言う事です、初心者の段階で、「正しい表現」とか「自然な表現」などにこだわる必要はありません。自分の言いたいことを相手が理解してくれれば良いのです。不自然で構いません。

そもそも「初心者」なのです。発音や文法も不完全なので、語彙・表現力が不完全でも全く問題ありません。それが自然です。英語学習を継続するうちに、自然と「正しい表現」「ナチュラルな表現」を覚え浄化していきます。初心者の段階で必要なことは、「なんとか自分の言いたことを伝える」ために必要な語彙力をつけることです。

やり方は簡単です。

  • 自分の話したい内容を日本語で書く
  • それを英語で言おうとした時に必要な単語を日本語で書き出す。
  • 書き出した日本語を和英辞典で調べて、単語帳を作る

これだけです。

例えば、

野球の話をしたいのであれば、
  • ヒット/ホームラン/二塁打/三塁打/外野フライ/内野ゴロ
  • 打率/打点/得点/出塁率
  • 三振/四球/死球/併殺打
  • 防御率/先発/リリーフ/セーブ
音楽の話をしたいのであれば、
  • ジャンル/ロック/ジャズ/ポップ/クラシック
  • イントロ/サビ/間奏
  • 歌詞/メロディ/ノリ
  • ヒット/人気/一発屋/作曲/編曲
映画の話をしたいのであれば、
  • ジャンル/コメディ/SF/アクション/恋愛
  • 女優/男優/主役/脇役/監督
  • 映像/音響/シーン/セリフ/脚本/衣装
  • セット/ロケ/照明

などなど。

言いたい事を伝えるための単語力が無いと何も話せませんが、単語さえ知っていれば、同じ趣味・興味を持つ人同士、単語を並べるだけで、意思疎通が可能です。多少変な表現になってしまっても大丈夫です。話す内容に共感さえできれば、意外と通じるものです。

とにかく、「100%を求めない」と言う事を頭に叩き込んでください。非自然でもなんでも構いません。「自分の言いた事を伝えるために必要な単語を調べ上げる」事に徹して下さい。これがないと先に進めません。多くの人がここで止まってしまいます。

何年か経って見返した時、笑ってしまうような単語帳で大丈夫です。とにかく、手持ちの武器を揃えるという観点で調べ上げて下さい。

趣味の話が出来るようになる

「日記」の記事の後半で説明した「語彙力強化」が最優先になります。その上でもう一歩進めた練習方法を説明します。

「ライティング」の練習なのですが、少し事前準備が必要になります。ライティングもスピーキングもアウトプットする事なので、事前にしっかりとインプットしておかないとアウトプットできません。「話したい英語が天から降ってくる」みたいなことはありませんんので。

趣味の話をしたい訳なので、趣味の話をするために必要な「語彙力」を仕入れておく必要があります。趣味という「ある特定の分野」に限定して仕入れていきます。仕入れる方法はリスニングリーディングです。こう聞くと少し騙されたような気がするかもしれませんが、出来るだけストレスが少ない方法で練習できるように説明します。

事前準備|語彙力強化

「特定の分野」に限定して、receptive/passiveなスキルととして、リスニング読解力を考えると、最も大きなポイントは「語彙力」だからです。

「語彙力」がないと、リスニング読解力もついてきません。「語彙力」さえあれば、「特定の分野」に限定する限り、リスニング読解概要は理解できます。ほとんどの場合、中級レベルの人は、「なんとなく、大体の意味を理解する」力がついてきています。ただし、あくまでも「なんとなく、大体の意味」を理解しているレベルなので、「細部」が理解出来ておらず、意味を取り違えて相手の意図を「勘違い」していたり、自分の発した言葉が「誤解」されていることが多々あります。

本来であれば、「読解力」「文法力」をつける努力を徹底的にするべきなのですが、非常に時間がかかり、また成果を実感できるまでに多大な労力と時間が必要となります。“外国人とコミュニケーションとれるようになる”事が最終目標の場合、けれども、必死になってまで勉強したくない”と言うカテゴリーに合わない方法になってしまいますので、ここではもっと気軽に取り組める方法を取り上げます。

「特定の分野」に限定して「読解力」を伸ばすのですが、一字一句辞書を使って調べるとか、文法の復習する、と言うことは必要ありません「リスニング」「読解」は、どちらもreceptive/passiveなスキルと言う共通点があるのですが、日本人の場合、やはり文字があるのと無いのでは、理解度の精度が大幅に違います。

つまり、同じような内容でも、「読む」ことの方が精度が上がり、「理解できる部分」「理解出来ない部分」を明確に把握することが出来ます。この「理解出来ない部分」把握するだけで、正確さが向上していきます。「読解力」の精度が上がれば、自然に「リスニング」の精度も上がります。

具体的な方法としては、「特定の分野」に限定することを考えると、やはり”Youtube”が良いでしょう。ここまで読んで恐らく、「あれ?」と思いますよね?

「Youtubeってリスニングの練習じゃないの?」、「読解力の役に立つの?」と言う疑問が生じたのでは無いかと思います。Youtubeの動画を見ているだけだと、「読解力」の向上、そしてその先にある、「より正確に理解する力」は身についてきません。具体的には、「お気にりのYoutuberを深掘りしていく!」と言うことです。

具体的にはこんな流れになります。

STEP
お気にりのYoutuberを見つける

これは結構大切です。特にここでは、「深掘り」をしていきますので、そのYoutuberの発信した文章を色々な形で繰り返し、読んでいきます。本当に好きでないと、結構キツくなってきます。じっくりと本当に「お気にりのYoutuber」を見つけましょう。

STEP
気に入った動画のコメント欄を見る

恐らく、中級レベルの人はあまりやったことがないと思いますが、それなりの登録者数を持っているYoutuber動画のコメント欄には結構書き込みがしてあります。また、Youtuberによっては、”give away”の条件として、「登録」「いいね」「コメント書き込み」を条件にしているケースもあります。そのためかなり大量のコメントが書き込まれています。

こういうコメントは難しそうに見えますが、意外とわかりやすいものです。と言うのも、自分もよく知っている「同じYoutubeに関するコメント」、自分も視聴した「同じ動画に関するコメント」と言うことなので、背景を理解しており、推測できる範囲が多いからです。

STEP
お気にりのYoutuberのHPを見る

Youtubeの「概要欄」を見ていくと、通常その人の他のメディア情報が掲載されています。HP、インスタ、ツイッター、その他です。まずHPを見てみましょう。プロフィールなどをみて、そのYoutuberのバックグラウンドを理解すると、動画やHPの内容がわかりやすくなります。

また、その人が、その分野で話す/書く場合に、よく使用する語彙や文の特徴、スタイルを把握することが出来ます。動画を見ているだけではわからない事がHPを見ることで、かなり理解できるようになります。

この場合の注意点ですが、

①100%理解しようとしない

学習者向けに書いているわけではないので、100%理解できることはありません。「理解できること」と「理解出来ないこと」を把握するのがいちばんの目的なので、それが分かれば十分です。

②無理して続けない

この段階で、もしかすると「意外とこのYoutuberに興味なかったかも?」とか「思ったより面白くなかった」と感じるかもしれません。その場合は、すっぱりやめてしまいましょう。もっと興味を持てる別の人を探した方がずっと効果的です。

③辞書を使わない

一字一句理解しようとして辞書を使い始めると、かなりの確率で挫折します。辞書は使わずに読み進みましょう。何回か同じ単語が出てきて「どうしてもこの単語の意味を知りたい!」と思った時は使ってください。

STEP
お気にりのYoutuberのメールマガジンを受け取る

大体の場合、Youtuber視聴者の囲い込みをしようとしますので、メールマガジンなどを発行しています。登録してメールマガジンを受け取りましょう。せいぜい週に1-2回メールが届く程度です。読みたかったら読めばいいし、気が進まなかったら読まなければ良いだけの話です。

ただし、あまりたくさんのYoutuberのメールマガジンを受け取ると、大量に届き、訳がわからなくなりますので、本当に「お気に入りのYoutuber」に限定しましょう。そのYoutuberのHPを読んでバックグラウンドを理解し、動画を見ていれば、ある程度は理解できると思います。

注意点は、HPの時と同じです。

  • 100%理解しようとしない
  • 無理して続けない
  • 辞書を使わない

この段階で、そのYoutuberの動画を見ると、かなり理解できるようになっているのではないでしょうか? 慣れてきたら、他のYoutuberも開拓してみてください。

STEP
お気にりのYoutuberの無料プレゼントを受け取る

ちょっと前後が逆になりますが、「Youtuberの視聴者囲い込み作戦」として、「無料プレゼント」があります。大抵は、PDF資料であったり、非公開動画だったりします。その条件として、メルアドを登録することになります。そうすると定期的にメールマガジンが届きます。

中級者レベルの場合、無料プレゼントを貰おうとして「メルアド登録」を要求されると怯んでしまうかもしれませんが、よほどのことが無い限り、メールが届くだけです。本当に興味あるYoutuberであれば、メルマガを受け取りましょう。

また、このPDF資料などは、多くの場合動画の内容に直結しています。動画の台本とかアウトライン動画内容を理解するためのワークシートだったりします。その場合、資料で使われている語彙や文章のスタイルは、動画の内容に一致します。資料を読むことで、そのYoutuberの動画をさらによく理解できるようになるでしょう。

「特定した分野」のライティング練習方法

「特定した分野」に関して、語彙力強化の事前準備を実践してきました。この段階で、receptive/passiveなスキル、つまり「理解する力」はかなり伸びてきていると思います。次の段階は、productive/activeなスキル、つまり「発信する力」です。

では、具体的な方法を説明します。

STEP
日記を書く

まず、日記を書いてみましょう。簡単な内容で大丈夫です。

  • 今日は〇〇の動画を見た
  • 〇〇のHPを見た
  • 〇〇のメルマガ登録した

と言うような内容でOKです。

なんか簡単すぎるような気がしますか? でもよく考えてみてください。中級レベルの人の場合、自分の興味ある分野に関して、外国人と話している内容は、こんな感じじゃありませんか?

和英辞典を使って調べたりする必要はありません自分の知っている表現だけを使って簡単な日記を書いてみてください。最初のうちは時間がかかるかもしれませんが、2-3日すると、驚くほど簡単に書けるようになります。

STEP
要約を書く

日記に慣れてきたら、次の段階へ進みます。視聴した動画やHPで読んだ内容を要約して書いてみましょう。①の日記に付け加える形で書いていくと良いでしょう。ここでの注意点ですが、「読解」の時とほぼ同じです。

①100%正確に書こうとしない

最初のうちは難しいと思います。自分が書いている英語が正しいかどうかを気にする必要はありません知っている単語や表現を使って書いていきましょう。不完全で大丈夫です。しばらく続けていると自然と書けるようになります。無責任はアドバイスのような印象を受けるかもしれませんが、外国語ってそう言うものです。学習時間と学習量が全てを解決してくれます。

②無理してたくさん書こうとしない

たくさん書く必要はありません。最初のうちは、2-3行でも大丈夫です。徐々に書けるようになっていきます。続ける事が大切なので、少しずつ書いてください。数ヶ月後に振り返ってみると、びっくりすると思います

③辞書を使わない

知らない単語を調べようとしなくて構いません。必要に応じて、HPやメルマガから、文章や語彙・表現を借りてきてください。自分自身で、「文を作ろう」としないこと、学生時代の「英作文」は「百害あって一利なし」です。Youtuberの表現を借りてきて、そのまま使ってください。

STEP
自分の意見や感想を書く

ある程度、要約が書けるようになったら、今度は自分の意見を書いてみます。日記に書き足す感じです。皆さんの日記はこんな感じになるはずです。

STEP
行動

今日は〇〇の動画を見た。

STEP
要約

その動画は、〇〇に関する動画で、〇〇は〇〇と言っていた。

STEP
意見

確かに〇〇かもしれないが、自分は〇〇だと思う・

 

こんな感じで書ければ大成功です。「日記」「要約」「意見/感想」のステップをそれぞれ1週間程度合計3-4週間続けてみてください。この段階で、「特定の分野」に関して、外国人の知り合い、講師などと話してみると、驚くほど話せるようになっている事に気づくはずです。

慣れてきたら、Youtubeのコメント欄に書き込みをしてみてください。きっとこれまでとは全く違う動画の楽しみ方が出来ていると思います。

最初にお話ししたように、ポイントは「特定の分野に限定する」と言うことです。ある程度、成果を実感できたら、他の分野で同様の取り組みを試してください。その時のポイントは、「似ている/近い」分野で実践する事です。そうすれば、これまでに身につけてきた、語彙・表現力が利用できるので、あまり負荷を感じる事なく、進められるはずです。

自分の考えを伝えられるようになる

これは日本人学習者にとって非常に難しい問題です。英語力だけの問題ではないからです。この段階で、いわゆる「中級レベル」くらいの英語力になって来ていると思いますが、多くの「中級者」がぶち当たる大きな壁になります。

自分の意見を持つと言う事

英語力そのものと言うよりも、国民性学校教育家庭内しつけの影響によるところが大きくなります。「自分の意見を持つ」と言う事、言葉で言うと簡単ですが、日本人には難しい私も自分自身かなり苦労しました。個人差があると思うので、以下は一般論です。一般的に日本の家庭内躾学校教育では、自分の考えや意見を述べると言うことに重きを置いていません。と言うか、反対の方向に教育されています。日本国内での社会生活を円滑に行うためには非常に有効なのですが、英語で外国人とコミュニケーションを取ろうとする場合、かなり弊害になります。

よく子供の時にこんな事を、親や教師から言われました。

  • 「理屈を言うな」
  • 「そんなこと、言われなくてもわかるだろう
  • 「空気を読め」
  • 「他の人の気持ちも考えろ」
  • 「お前一人で生きてるわけじゃない」

令和の日本人にとって、「そんなのは、昭和の話だ!」と思えるのであれば全く問題ないのですが、私の場合は非常に苦労しました。子供の頃から、このような事を言われ続けると、自然と「自分の意見を持たなく」なります。他の人の顔色を伺いながら、当たり障りのない事を言い、本心は隠すようになります。

友達同士のコミュニケーションでも、「相手を傷つけない」「不快な気持ちにさせない」事を最重視します。こんな事を言ったら、嫌な思いをするだろう」相手の気持ちを察し、相手の考えに同調します。コミュニケーションのゴールは「同意する」と言うことになります。

A:昨日のドラマ見た?

B:見た!

A:良かったよね?

B:最高!

こんな感じですね。「ドラマを見る」と言う行為「良かった」と言う感情共有できれば、お互いに満足です。

このような「同意する」事をゴールとするコミュニケーションを繰り返してく中で、「英語の中級レベル」になると「意見を求められる」のです。

What did you think of ~?

Why?

とか言われても、困りますよね?

「ドラマを見る」と言う行為「良かった」と言う感情共有して、完結してしまっているのです。Whyも何もありません。

そもそも、「自分の意見」を持っていない持つ必要が無かったのです。

また、こう言うケースでありがちなのが、What do you think of ~? と聞かれて、How about you? みたいな感じで、相手の意見を求めてしまいます。「相手の気持ちを察する文化」なので、「相手の考えや意見」が気になります。「相手を傷つけない」「不快な気持ちにさせない」事を言いたいのです。

これをやってしまうと、

I’m asking YOU.

と言われてしまいます。私もよく言われました。

なかなか難しい事ですが、「まず自分の考えを持つ」「相手の考え方を気にする必要ない」と言う習慣を身につける必要があります。

この練習で難しいのは、「日本人相手に練習できない」と言う事です。「相手の考え方や感情を無視して、自分の意見のみ言い続ける」なんて事を、日本人の友達に対して続けたら、友達いなくなります。

外国人相手に練習できれば良いのですが、そんなに都合良い練習相手がいなければ、一人で黙々と書く練習をすると良いでしょう。

具体的な方法はこの後説明しますが、この問題はどちらかと言うと、「文化的」「心理的」な意味合いが強くなります。まず、日本語英語では全く文化が異なるので、コミュニケーション方法が異なる日本語で考えている事をそのまま英語にしても無理がある、と言う事を理解しましょう。

練習方法

「自分の意見を持つ」と言うことは、発信する側です。この練習にはWritingが最適です。これまでも読んだことや聞いたこと、見たことを、Reproductionすることを推奨してきました。これが語学学習の基本です。

その次の段階で、「自分の意見を言う/書く」と言う事になります。と言っても、いきなり意見を書くのは難しいと思います。なぜ難しいかと言うと、単純に「意見を言うことに慣れてない」からです。そんなに心配する必要ありません。練習すればできるようになります。

a. 「具体化」と「細分化」

多くの中級者の場合、「意見を言うことに慣れてない」から、アイデアが思いつかないのです。なぜ「アイデアが思いつかない」かと言うと、多くの場合、トピックが抽象的だからです。「自分の意見を言う/書く」練習の第一歩は、「具体化」「細分化」です。

例えば、昨日テレビで見た〇〇と言うドラマの話をすると思ってください。

What didi you think of 〇〇?

It was good.

Why?

………..

こぅなりますよね? 「Whyって言われても….」って感じです。

いきなり答えられないと思うので、「具体化」「細分化」していきます。テレビドラマについて話すと言う場合、どんなことについて話せるのか考えてみます。

  • ドラマのジャンル
  • ドラマのストーリー
  • 舞台背景・設定
  • 役柄
  • 出演している役者
  • 映像
  • 音楽

こんな感じですね。そして一つ一つの事柄を細分化していきます。

  • ドラマのジャンル:ロマンス、サスペンス、時代物、刑事物、コメディー
  • ドラマのストーリー:起承転結
  • 舞台背景・設定:いつ、どこで、誰が、何を、なぜ等
  • 役柄:主役・脇役の人物設定、人間関係など
  • 出演している役者:外見、過去の出演作、役柄との適性など
  • 映像:印象に残っているシーンなど
  • 音楽:どのシーンでどのような音楽や効果音がどのように使われていたか

この作業をしていると、当然「語彙力強化」が出来ます。「言いたいことがあるのに、どう表現した良いかわからない」と言う場面に遭遇するからです。余すことなく、全部調べ上げましょう

ここまで「細分化」してくると、どこかに「自分の意見」あるいは「言いたい事」が出てくるはずです。まず、この「具体化」「細分化」の練習をしてみましょう。10個くらいの例を練習すると感覚的に掴めてくると思います。これで第一段階終了です。

b. 話の組み立て方

次は「話の組み立て方」です。先ほど説明したように、「英語」と「日本語」全く違う言語です。そして、「日本文化」「英語圏の文化」は全く違います。「意見を言う」時に、日本語で話すときの話し方をそのまま和文英訳しても、英語圏の人には伝わりません。英語圏の人に伝わりやすい「話の組み立て方」があります。ここでは、そのフォーマットに沿った話し方の練習をします。と言っても、「書く練習」です。

STEP
アウトラインを作る

基本的なエッセイのアウトラインで「話を組み立てる」練習をします。エッセイの構成は以下になります。

  • 意見
  • 理由1
  • 理由2
  • 理由3
  • まとめ

まず、この形に落とし込みましょう。最初はシンプルな例で練習しましょう。例えば、こんな感じです。

意見 :I want to study English.

理由1:I like traveling.

理由2:I want to communicate with tourists.

理由3:I want to understand movies and music in English.

まとめ: So I want to study English.

これくらいシンプルな物から始めて大丈夫です。まず、このフォーマットに慣れていきましょう。

STEP
Bodyの肉付けをする

この「理由1」「理由2」「理由3」の部分が、「Body」になります。説得力を持たせるために、この「Body」の部分に肉付けをしていきます。実例補足などを足していけば大丈夫ですので、「理由1」「理由2」「理由3」、それぞれに、実例補足などを加えて肉付けをします。

理由1:I like traveling and I can do simple things like ordering food or checking in at the hotel in English but I’d like to communicate with people living in the places I visit.

理由2:I want to communicate with tourists from other countries. Sometimes I get asked by people visiting Japan on the street. I can give directions but I’d like to talk more.

理由3:I want to understand movies and music in English. I really like English TV dramas and movies. I enjoy watching them reading subtitles but I’d like to watch them without subtitles.

STEP
つなぎ言葉を入れる

ここまで出来たら、聞き手に話の展開がわかりやすいように、つなぎ言葉を入れていきます。

①の意見のところであれば、理由が3つあることを伝えます。

意見 :I want to study English. There are three reasons.

「Body」「理由1」「理由2」「理由3」の部分であれば、それぞれの「理由」を述べていると言うことを明確にします。

理由1:First of all,

理由2:Secondly,

理由3:Lastly,

⑤のまとめのところであれば、

まとめ:That is why I want to study English.

これで完成です。

STEP
完成形

以上を組み合わせるとこんな感じになります。

意見 :I want to study English. There are three reasons.

理由1:First of all, I like traveling and I can do simple things like ordering food or checking in at the hotel in English but I’d like to communicate with people living in the places I visit.

理由2:Secondly, I want to communicate with tourists from other countries. Sometimes I get asked by people visiting Japan on the street. I can give directions but I’d like to talk more.

理由3:Lastly, I want to understand movies and music in English. I really like English TV dramas and movies. I enjoy watching them reading subtitles but I’d like to watch them without subtitles.

まとめ:That is why I want to study English.

この練習を6ヶ月~1年くらい続けていくと、自然と自分の意見が言えるようになります。継続は力なり、です。最初は難しく感じても少しずつ出来るようになります。1週間に1トピックでもいいので、まず半年間続けてみてください。半年後に最初の例を見返していると驚くほど上達してきたことに気づくと思います。

まとめ

ここまでライティングの練習方法を説明して来ました。もしかするとあまり気の進まない練習かもしれません。ただし、「書けるようになったこと」話せるようになります。また、「書けるようになったこと」、読む事聞くことも出来るようになります。

  • 簡単な日常生活の話ができるようになる
  • 趣味の話が出来るようになる
  • 自分の考えを伝えられるようになる

非常に大切な練習なので少しずつ続けてみてください。半年後には驚くほどの成果を実感できると思います。

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