「助動詞の意味はわかるけれど、いざ使うとなるとどれを選べばいいか迷ってしまう……」 そんな悩みを感じたことはありませんか?
英語の助動詞は、単なる記号ではありません。話し手の「確信の度合い(何%そう思うか)」と、「相手への配慮(どれだけ丁寧に伝えたいか)」を調整する、いわばコミュニケーションの「温度調節ダイヤル」です。
連載最終回となる今回は、これまでの学習の総仕上げ。 must, should, may, might, could といった助動詞を「確信度」のグラデーションで整理し、職場、顧客対応、友人との会話といったシーン別の使い分けを完全ガイドします。
この記事を読み終える頃には、あなたは「正しい英文」を作るだけでなく、状況に応じて「最も信頼され、最も配慮の行き届いた表現」を自信を持って選べるようになっているはずです。
1. 「確信度」のグラデーション:100%(事実)から低い可能性まで

助動詞を選ぶ際の最大の指標が、話し手の確信度です。自分がどの程度確信しているのかを正確に伝えることで、リスナーに無駄な誤解を与えません。
確信度レベルの全体像
- 100%
-
事実・確定
- 95%+
-
ほぼ確実
- 70%~80%
-
かなり強い推測
- 50%
-
中程度の推測
- 30%
-
弱い推測
- 10%
-
かすかな可能性
- 0%
-
可能性なし
レベル別の助動詞対応表
| 確信度レベル | 使用する助動詞 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|---|
| 100% | 助動詞なし / be verb | 事実・確定 | He is a doctor. |
| 95%+ | must / will | 強い確信・必然性 | He must be a doctor. He will arrive soon. |
| 70-80% | should / would | 妥当性・可能性の高さ | He should be here by now. This would be the best solution. |
| 50% | may / might | 同等の可能性 | He may / might be a doctor. |
| 30% | could | 低い可能性(能力や機会次第) | He could be a doctor, but I doubt it. |
| 10% | could have | かすかな可能性 | He could have been there. |
実例で学ぶ確信度の使い分け
例1:部下の成績について上司に相談する場合
背景:部下の営業成績が先月比30%低下している
- must have lost focus(95%+確信)
-
- 「彼は確実に集中力を欠いたに違いない」
- 観察に基づく強い推測
- 使い所:複数の観察情報がある場合(報告書の質低下、打ち合わせ中の集中力散漫など)
- should have faced some difficulties(70-80%確信)
-
- 「おそらく何か困難に直面したのだろう」
- 理性的な推測、あわてない印象
- 使い所:市場変化や競合状況の変化が知られている場合
- 例文:“He should have encountered stronger competition in his territory.”
(彼の担当地域で競合がより強くなったのだろう)
- may / might have had personal issues(50%確信)
-
- 「個人的な問題があったのかもしれない」
- 複数の可能性を認める姿勢
- 使い所:複数の原因がある可能性を探るとき
- 例文:“He might have been dealing with some personal challenges. Should we check in with him?”
(何か個人的な課題があったのかもしれません。彼に確認してみましょうか)
- could have been distracted by something(30%確信)
-
- 「何かで気を散らしていたのかもしれない」
- 低い可能性だが排除しない
- 使い所:推測を遠回りに伝えるときや、責めたくないとき
- 例文:“I suppose something could have distracted him, but let’s wait and hear what he has to say.”
(何かに気を散らしていたのかもしれませんが、本人の話を聞きましょう)
例2:プロジェクトの遅延原因を分析する場面
背景:予定していたリリース日を2週間見送らざるを得なくなった
「ほぼ確実」(95%+)
The database migration must have taken longer than expected. The team logged extra hours for three weeks.”
「データベース移行が予想より時間がかかったに違いない。チームは3週間超過勤務していた」
- 客観的事実(ログ、勤務時間)に基づく推測
「かなり確実」(80%)
We should have anticipated the compatibility issues with the legacy system. It’s a lesson we need to learn.
「レガシーシステムとの互換性の問題は予測すべきだった。これは学ぶべき教訓だ」
- 事後的な分析、改善への言及
「中程度」(60%)
The requirements might have been unclear from the beginning. Let’s review the initial documentation.
「要件が最初から曖昧だったのかもしれません。初期ドキュメントを見直しましょう」
- 複数の原因を探り、建設的に進める姿勢
「かすかな可能性」(20%)
There could have been external factors we weren’t aware of. Either way, we need better risk management.
「認識していない外的要因があったのかもしれません。いずれにせよ、より良いリスク管理が必要です」
- 全ての可能性を認めつつ、解決に向かう
例3:同僚の欠席について質問される場合
背景:いつもは来ているはずの同僚が今朝、メッセージなしに欠席
「ほぼ確実」(90%)
He must have overslept. He was up late yesterday working on the report.”
「寝坊したに違いない。昨日は報告書の作成で遅くまで起きていたから」
- 直前の状況を知っているから
「かなり確実」(75%)
He should have informed someone if he wasn’t coming. It’s unlike him to skip without notice.
「来られないなら誰かに連絡するべきだった。いつもと違う対応だ」
- 相手の性格や常時の行動パターンから
「どちらとも言えない」(50%)
He might be sick, or he might have a family emergency. We should try calling him.
「病気かもしれないし、家族の緊急事態かもしれません。電話で確認すべきです」
- 複数の理由が等しく考えられる
「低い可能性」(30%)
He could have forgotten about the meeting, though that seems unlikely.
「会議を忘れていたのかもしれませんが、それはあまり考えられません」
- ほぼあり得ないが、完全には排除しない
例4:会議中に顧客の反応を予測する場合
背景:新しい価格設定案を提案しようとしている
「ほぼ確実」(90%)
They will resist the price increase. Their budget constraints are well documented.
「価格上昇に抵抗するに違いない。彼らの予算制約は十分に文書化されている」
- 過去データがある
「強い見通し」(85%)
They should accept the proposal if we emphasize the ROI. They care most about efficiency.
「ROIを強調すれば受け入れるべきだ。彼らは効率性を最優先にしている」
- 相手のニーズを理解している
「あり得そう」(65%)
They would probably want to negotiate on the implementation timeline. That’s been their pattern.
「おそらく導入スケジュールについて交渉したいだろう。それが彼らのパターンだ」
- 過去の交渉パターンから推測
「可能性がある」(50%)
They might ask for a pilot program before full implementation. That could be a reasonable compromise.
「本格導入前にパイロット・プログラムを求めるかもしれません。それは合理的な妥協案かもしれません」
- 交渉の選択肢として想定
「考慮に入れるべき」(35%)
They could raise concerns about integration with their current system, though they haven’t mentioned it yet.
「現在のシステムとの統合についての懸念を持つかもしれませんが、まだ言及していません」
- 潜在的な課題として頭に入れておく
例5:業務報告でのステータス報告
背景:大型プロジェクトの進捗を上司に報告
| 進捗状況 | 確信度 | 表現方法 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| コーディング完了、テスト中 | 100% | 事実として述べる | “The coding phase is complete. We’re in the testing phase now.” |
| テスト終了、来週リリース予定 | 90% | will + 基本動詞 | “We will release the beta version next Monday as scheduled.” |
| 軽微なバグ修正中、月末完成予定 | 75% | should + 基本動詞 | “We should be able to deliver the final version by end of month.” |
| 重大なバグ発見、対応中 | 50% | may / might | “We might need an extra week, depending on what we find in further testing.” |
| 未定要因が多い | 30% | could | “There could be additional complications, but we’re assessing them now.” |
例6:メールの語気を調整する場面
背景:提案が受け入れられなかった理由を探る
高確信度(相手の判断を尊重しつつ、対話を促す)
Subject: Following up on our proposal
Thank you for your feedback. I believe you must have identified some concerns with our approach.
Could we schedule a call to discuss what didn’t align with your needs?
- 「あなたは明らかに私たちのアプローチに対する懸念があったに違いない」と、相手の判断を認めながら、建設的に進める
中程度の確信度(複数の可能性を認める)
Your decision might have been influenced by budget constraints, timeline concerns, or a preference for another vendor. We’d like to understand which factors were most important to you.
- 「予算制約、スケジュール懸念、または別のベンダーの選好など、複数の要因があったのかもしれません」と、相手の立場を広く認識
低確信度(すべての可能性をオープンに)
We recognize there could be various reasons for your decision, and we respect your choice. If circumstances change or if there’s anything we can clarify, please don’t hesitate to reach out.
- 「様々な理由がある可能性があり、あなたの決定を尊重しています」と、押し付けない姿勢を貫く
2. 実践シナリオ別ガイド

シナリオ1:職場編
ビジネス環境では、信頼性と配慮のバランスが重要です。部下のミスを指摘する際、チームで提案する際、上司に報告する際——それぞれで異なる助動詞が活躍します。
状況A:部下のミスを指摘する
NG例(相手を責める印象)
You must have made a careless mistake. 「お前が確実にうっかりミスしたんだ」
GOOD例①(状況理解を示す丁寧さ)
You should have double-checked before submitting, but I understand the situation was quite rushed.
「提出前に二重確認すべきだったんだけど、状況が押し迫っていたことは理解してるよ」
- 改善点を明確にしつつ、状況への配慮を示す
GOOD例②(相手を守る最大の配慮)
I wonder if there might have been a miscommunication somewhere. Let’s review the process together.
「どこかで認識のズレがあったのかもしれませんね。プロセスを一緒に見直しましょう」
- 原因を一緒に探る姿勢、相手が防御的にならない環境をつくる
状況B:チームで提案する
NG例(指示的で民主的でない)
You should adopt this system. 「このシステムを導入すべきだ」
GOOD例①(相手の判断を尊重)
You might want to consider this system. It could improve our efficiency by 20%.
「このシステムの導入を検討されてもいいかもしれません。効率が20%改善される可能性があります」
- 第4回で学んだ「might want to」で思いやりのある提案
GOOD例②(データに基づく強い推奨)
I would strongly recommend this approach. It should reduce our processing time significantly.
「このアプローチを強くお勧めします。処理時間を大幅に削減できるはずです」
- would recommend + should で、確信と根拠を両立
状況C:上司に報告・報告遅延について
現在形での報告
The project will be completed by Friday. 「プロジェクトは金曜日までに完成します」
遅延の可能性を正直に伝える場合
The project should be completed by Friday, barring any unexpected issues.
「予期しない問題がない限り、プロジェクトは金曜日までに完成するはずです」
- 確信度を現実的に調整、信頼を保つ
より不確実な場合
The project may be completed by Friday, but we’re still resolving some technical issues. 「プロジェクトは金曜日までに完成するかもしれませんが、技術的な問題を解決中です」
- 慎重さと誠実さを示す
シナリオ2:顧客対応編
顧客との関係では、責任感と柔軟な姿勢を同時に伝える必要があります。遅延や問題への対応では、特に「相手の不安を和らげ、解決への向き合う姿勢」が重要です。
状況A:納期遅延の連絡
NG例(言い訳っぽい、無責任な印象)
We might have delayed the delivery. Sorry. 「配達が遅れたのかもしれません。申し訳ないです」
- 曖昧で、遅延を認めていない印象
GOOD例①(誠実に、次のステップを明確に)
I must apologize for the delay. However, I can assure you that your order should arrive by Thursday.
「遅延のためお詫び申し上げます。ただし、お客様のご注文は木曜日までにお届けできることをお約束いたします」
- must apologize で責任を取る姿勢
- should arrive で現実的な約束
GOOD例②(遅延の理由を示しつつ、解決策を提示)
We’ve experienced unforeseen supply chain issues. This would have been avoidable if we’d had better forecasting, but we’re taking steps to ensure it won’t happen again.
「予期しないサプライチェーンの問題が発生しました。より良い予測があれば回避できたはずですが、今後起こらないよう対策を取っています」
- would have been で過去への学習姿勢
- won’t happen で未来への約束
状況B:問題が発生した場合のお詫びとフォロー
丁寧さのグラデーション例
| 距離感 | 表現 | 使い分け |
|---|---|---|
| やや距離あり | I sincerely apologize. | シンプルで公式な印象 |
| 中程度 | I must sincerely apologize for this error. | 責任感を強調 |
| より親密 | I really should have caught this earlier. I apologize. | 自分の落ち度を認める誠実さ |
| 最も丁寧 | Would it be possible to make this right for you? | 相手の望む解決を優先する姿勢 |
実例:サービス提供の遅れ
Your recent experience clearly should have met our standards. I would like to offer you a 20% discount on your next purchase as a token of our appreciation for your patience.
「お客様の経験は明らかに私たちの基準に達すべきものでした。今後のご購入時に20%割引をお付けしたく存じます」
シナリオ3:友人・家族編
日常会話では、自然さと温かみが最優先です。助動詞を過剰に意識すると、かえって不自然になってしまいます。ここでは「親密さ」と「配慮」のバランスを学びます。
状況A:友人に悪いニュースを伝える
相手を傷つけない配慮
You might not have heard, but Sarah and I broke up.
「聞いてないかもしれないけど、サラと別れちゃったんだ」
- might で衝撃を和らげる
もう少し距離を置く表現
I should have told you earlier, but I needed some time to process it myself.
「もっと早く言うべきだったんだけど、自分の中で整理する時間が必要だったんだ」
- should have で後悔と説明を両立
状況B:相手にアドバイスする
親しい友人への自然な助言
You could always try a different approach. I would probably take a step back and think about what you really want.
「別のやり方を試してみるのもいいかもね。僕だったら一歩引いて、本当に何がしたいのか考えると思うよ」
- could / would で押し付けでない柔らかさ
より強いアドバイスが必要な場合
I think you should talk to him directly. Hiding your feelings won’t help in the long run.
「彼に直接話したほうがいいと思うよ。気持ちを隠してると長期的にはうまくいかないと思うんだ」
- should で明確な立場を示しつつも、理由を添える
状況C:約束の確認
カジュアルな確認
So you‘ll come to my party, right?
「だからパーティー来てくれるよね?」
より丁寧な言い方(相手の都合を尊重)
Would you be able to make it to my party on Saturday? No pressure if you can’t.
「土曜日のパーティー来られる?来られなくても全然いいよ」
- would be able to で相手の選択肢を残す
3. 確信度チェックリスト:シーン別判断フロー

どの助動詞を選ぶか迷った時のための、実践的な意思決定フロー:
- 自分の確信度はどのくらい?
├─ 100% → 助動詞は使わない(事実として述べる)
├─ 95%+ → must / will を使う
├─ 70-80% → should / would を使う
├─ 50% → may / might を使う
└─ 30%以下 → could / might を使う - 相手との関係性は?
├─ 部下・後輩 → 責任感を示す助動詞を選ぶ(must, should)
├─ 同僚 → バランスの取れた表現(may, would)
├─ 顧客 → 丁寧さを優先(would, should)
└─ 友人・家族 → 自然さを優先(could, might) - 相手に与える心理的影響を考えたか?
├─ 相手を責めないか → may / might を検討
├─ 指示的になっていないか → would you mind? / might want to を検討
├─ 自分の立場を示せているか → must / should を検討
└─ 相手の選択肢を残しているか → could / would を検討
4. 総括:助動詞をマスターするための5つのステップと継続学習法

助動詞をマスターすることは、「正しい英文法を知る」ことではなく、「相手を理解し、自分の意図を正確に伝える力」を身につけることです。ここで、5つのステップと継続学習法を示します。
ステップ1:確信度の基礎を固める
毎日5分、助動詞の確信度チャートを眺める習慣をつけてください。通勤中や休憩時間に、「この場面ではどの確信度か」と問い直すだけで、感覚が研ぎ澄まされます。
実践例
- ニュースを見た時:「このキャスターの確信度は何%か」と考える
- 友人の話を聞く時:「相手がどの程度確信しているのか」を聴き取る
ステップ2:シーン別の「よく使う表現」を5つ~10つ覚える
完璧さを目指さず、自分がよく使うシーン(職場なら部下指導、営業なら提案など)で頻出の表現を定着させましょう。
記憶定着のコツ
- 自分の仕事に合わせた例文を作る
- 週1回、その例文を声に出して読む
- 実際に使える場面を待つ(焦らない)
ステップ3:「ネイティブスピーカーはどう言うか」を観察する
洋画・ポッドキャスト・ビジネス記事で、実際の使われ方を観察します。特に注目すべき点:
- 同じシーンで複数の表現が使い分けられている
- 思ったより「may / might」が使われている
- ビジネス場面では「would」が頻出
ステップ4:相互フィードバックの活用
英会話パートナーやAIチューターに、自分の表現がその場面で適切か確認してもらいましょう。
確認項目
- この表現は自然か?
- この場面の雰囲気に合っているか?
- より自然な言い方はあるか?
ステップ5:フィードバックの「パターン化」と習慣化
何度も同じ指摘を受ける表現がある場合、それが自分の弱点です。シーン別に「自分のよくある間違い」ノートをつくり、週1回見直します。
例:営業メール編
- 「must do」と言いすぎて指示的 → 「might want to」に置き換える習慣
- 「should」を多用しすぎ →「could」「may」でバリエーションつける
練習問題

練習問題①【確信度選択】
次の文脈に最も適切な助動詞を選んでください。
(must / should / may / might / could)
- 同僚がいつもより元気がない。報告書の質も落ちている。
He ________ be under a lot of stress lately. - プロジェクトは順調だが、まだ未確認の要素がある。
There ________ be some additional risks, but nothing serious so far. - 昨日遅くまで残業していた同僚が、今朝欠席している。
He ________ have overslept. - 顧客が価格改定案に納得しなかった理由を推測している。
They ________ have concerns about the ROI. - システム障害の原因は、ログを見る限りかなり明確だ。
The issue ________ have been caused by a configuration error.
練習問題②【日本語 → 英語】
次の日本語を、文脈に合った助動詞を使って英語にしてください。
- 彼は何か個人的な問題を抱えているのかもしれません。
- この作業は今日中に終わるはずです(ほぼ確実)。
- そのミスは提出前に防げたはずだ。
- 顧客は導入スケジュールについて交渉したがるかもしれません。
- もっと早く共有していれば、混乱は避けられたはずです。
練習問題③【トーン改善】
次の文はやや強すぎる/配慮に欠けます。
助動詞を使って、より自然で信頼される表現に書き換えてください。
- You made a careless mistake.
- You must follow this process.
- You didn’t prepare enough for the meeting.
練習問題④【シーン別判断】
次の状況で、最も適切な助動詞を選び、理由も考えてください。
状況:上司に進捗報告をする。「予定通り進んでいるが、技術的な問題が出る可能性はゼロではない。」
A. will
B. should
C. may
解答
練習問題① 解答
- must → 複数の観察事実があり、強い確信(90%前後)
- could → 低めの可能性だが排除はしない
- must → 昨日の状況からほぼ確実な推測
- might → 複数の可能性があり、断定を避けている
- must → ログという客観的証拠に基づく強い確信
練習問題② 解答例
- He might have some personal issues. (可能性を一つとして提示)
- We should finish this task by today. (かなり高い確信だが断定しない)
- That mistake could have been prevented before submission. (実行可能だったが行われなかった)
- The client might want to negotiate the implementation timeline. (交渉の選択肢としての可能性)
- If we had shared it earlier, we would have avoided the confusion. (因果関係が明確)
練習問題③ 解答例
- I wonder if there might have been a misunderstanding somewhere.
→ 原因を一緒に探る姿勢、相手を守る表現 - You might want to follow this process.
→ 指示 → 提案 にトーンダウン - You could have prepared a bit more for the meeting.
→ 能力はあったことを前提に、責めすぎない
練習問題④ 解答
正解:B. should
- will:確定的すぎてリスクを無視している印象
- may:不確実性が高すぎ、信頼感が下がる
- should:現実的な見通し+誠実さのバランスが取れている
The project should be completed by Friday, barring any unexpected issues.
実践ワーク:あなたのシーン別3表現リストを作成する

助動詞をマスターする最短ルートは、「自分がよく使うシーンで、確実に使える3つの表現を持つこと」です。以下のテンプレートを使って、今日中に自分の表現リストを作成してください。
【職場編】あなたの頻出シーン:
- シーン例:「部下に改善を勧める」「顧客に納期を伝える」など
- 確信度レベル:
- あなたの定番表現1:
- あなたの定番表現2:
- あなたの定番表現3:
【日常編】あなたの頻出シーン:
- シーン例:「友人にアドバイスする」「予定を確認する」など
- 確信度レベル:
- あなたの定番表現1:
- あなたの定番表現2:
- あなたの定番表現3:
まとめ

全5回にわたる助動詞の発展的用法シリーズ、いかがでしたか? 最終回では、助動詞の核心である「確信度のグラデーション」と、シーンに応じた選択基準を学びました。
助動詞をマスターする秘訣は、単語の和訳を覚えることではありません。「自分は今、何%の確信を持って話しているのか?」「相手に対してどの程度の距離感を保ちたいのか?」という、心の動きを助動詞に乗せる感覚を掴むことです。
🚀 さらなる飛躍のための学習アドバイス
助動詞の「感覚」を定着させ、文法力を本物の発信力に変えるための3つのステップを紹介します。
- 「確信度」のタグ付け習慣 英語の文章を読んだり聞いたりする際、「これは確信度何%の表現かな?」と考える癖をつけてみてください。例えばニュースで might が使われていたら、「断定を避けて慎重に報じているんだな」と裏側の意図を読む練習になります。
- 自分の「定番シナリオ」を3つだけ作り込む 今回ご紹介したワークシートを使い、「これだけは仕事(または生活)で絶対に使う」という3つのシーンに対して、自分専用のテンプレートを作ってください。丸暗記ではなく「自分の状況」に置き換えることで、脳への定着率が劇的に上がります。
- 「失敗」をシミュレーションする(仮定法の復習) ミスをした時や予定が変わった時こそ、助動詞の練習チャンスです。「If I had…, I should have…」と振り返ることで、第4回で学んだ仮定法と今回の確信度の知識が統合され、表現の幅がグッと広がります。
文法は、あなたの自由なコミュニケーションを支える「骨組み」です。この連載で得た知識を土台に、ぜひ今日からの英会話を楽しんでください!
🚀 助動詞の発展的用法:全5回集中連載インデックス
助動詞の基礎から、ビジネスで信頼を勝ち取る高度な使い分けまで。各回のリンクから、あなたの英語力を引き上げる知識を復習しましょう。
[第2回:過去への推測「〜だったに違いない」の技術]
- テーマ: 終わったことに対して、どれだけ自信を持って推測できるか。
- 学べること: must have / should have / might have 等、時制をまたぐ助動詞の形。

[第3回:丁寧さと配慮:相手を動かす大人の助動詞]
- テーマ: 命令ではなく「提案」へ。人間関係を円滑にする言葉選び。
- 学べること: Would you mind や might want to など、職場で必須の「角を立てない」表現。

[第4回:仮定法で広がるコミュニケーションの幅]
- テーマ: 「もし〜だったら」で、過去のミスを建設的な分析に変える。
- 学べること: 仮定法過去完了と助動詞の結びつき。後悔を「次への学び」に変える英語術。

[第5回:シーン別・助動詞の使い分け完全ガイド(本記事)]
- テーマ: 確信度10%〜100%のグラデーションを使いこなす。
- 学べること: 連載の総仕上げ。職場・顧客・日常の全シーンで迷わないための最終判断フロー。

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このガイドは、35年以上の英語教育経験を持つ矢野晃によって作成されました。数千人の講師を育て数千人の生徒を指導してきた実績に基づく、実践的で効果的な学習方法をお届けしています。







