これまで、リスニング、ドリル、ダイアログなど、各アクティビティのアプローチ方法やレッスンの構成方法を説明してきました。基本的なアプローチ方法の説明なのですが、特に初心者を教える場合を前提に説明しています。
まず基本的なアプローチ法を理解し、習得してもらえれば良いのですが、初心者を教える上で大切なポイントを補足します。
なぜ初心者なのか
初心者がなぜ初心者なのか、考えた事ありますか? これから英会話を教えてみようと思っている方は初心者ではありませんよね?
なぜですか?
小中学生の時は、同じような英語の授業を受けていたのだと思います。 大人になった時点で、ある人は英会話初心者、ある人は英会話を教えてみようと思う程英語が得意になっている。
理由は単純です。
英語を勉強したか、しなかったか、の違いだけです。
学校のテスト勉強を一生懸命したかとか言うよりも、学校の英語の授業以外に、どのくらい英語を勉強したかの違いだけです。
なぜ皆さんが、学校の英語の授業以外に多くの時間と労力を掛けて英語を勉強し、なぜ初心者が勉強しなかったのか。
その差は、どのくらい強く「英語を話せるようになりたい」と思ったかどうかの違いです。
本書を読んでくれている皆さんは、「英語を話せるようになりたい」と強く思い、自ら勉強し、海外にもいったのかも知れません。その間多くの努力と苦労を重ねたのだと思います。
今、皆さんの前にいる初心者は、その過程を踏んでいません。
「英語を話せるようになりたい」と思ってはいるものの、なんとなく「話せたら良いなぁ」くらいの感覚です。
この温度感が、皆さんと同じくらいの「英語を話せるようになりたい」と言う強い気持ちになれば話せるようになるし、ならなければ初心者のままです。
アクティビティのアプローチ方法やレッスンの構成の仕方、クラスルームイングリッシュなども非常に大切ですが、皆さんのレッスンを受ける生徒が、皆さんのように英語を話せるようになりたいと思ってもらえるかどうかが一番大切なポイントになります。
少し精神論的な話になってしまいますが、非常に大切なポイントです。
- 英語の価値を実感していない人に英語は教えられない
- 初心者の生徒に、英語の価値を実感してもらいたいと言う気持ちを持てない人は上達させられない
これから英語を教えてみようと思っている皆さんは、これまで英語習得のために費やした時間も労力も費用も全く無駄だと思っていないはずです。その気持ちを初心者の生徒に実感してもらえるように接していくことが、何よりも大切です。
なぜ話せないのか
少し精神論になってしまいましたので、具体的に考えていきます。日本人学習者の場合、初心者が話せないのは比較的単純な理由です。
インプットが足らない
これにつきます。
特に語彙力不足が最大のポイントです。
また、学校教育の影響で、フルセンテンスで話さないといけない、正しい英語、適切な英語で話さないといけないという刷り込みがあります。
同じ日本人学習者が英語以外の外国語を勉強する場合は、おそらく全く別の学習方法を選ぶと思います。
例えば、来月アフリカに旅行へ行くから、スワヒリ語を勉強するというような場合、正しい文法とか適切な表現とか、あまり気にしないと思います。必要最低限の語彙力を身につけようとするはずです。
100%聞き取れなくても気にしないはずです。
初心者の場合、英語に関しても同様の学習方法を取るべきです。
当然ながら、初心者が中級者になり上級者になる過程においては、別の学習方法が必要ですが、現在現時点が何より大切で将来のことは先の話です。
初心者への重点事項
もうわかると思いますが、重点事項は非常にシンプルです。
- 語彙力強化
- センテンスで話させない
- 即答力重視
- おおまかに聞き取らせる
とは言っても、英語に関する情報が溢れており、初心者の生徒も思い込みがあります。なぜこのような練習が大切なのか、よく理解してもらう必要があります。
具体的な教え方
まず、大前提として、これまで説明してきた、クラスルームイングリッシュ、リスニング、ドリル、ダイアログの教え方、レッスンの構成方法などを習得している事があります。
その上で、初心者に教える場合は、以下の点に注意して教えてください。
- クラスルームイングリッシュを使いこなし、ナチュラルスピードで話す
- 単語・フレーズで答えさせ、即答させる
- 語彙力強化を最優先する
- 予習復習をさせる
- なんとかして、レッスン以外でも英語を勉強させる
そして一番大切な事は、レッスン外で時間が許す限り、生徒と話す事です。日本語で話して構いません。自分が英語を学んできた過程であったり、海外での経験、初心者の生徒が英語を上達出来たらどんな事が体験できるのか、などです。
初心者がなぜ初心者なのか、と言う部分で書いたように、「英語を話せるようになりたい」と強く思うか、思わないかだけの差です。
皆さんのレッスンを受け、皆さんと話すことで、「英語を話せるようになりたい」と思ってくれれば、必ず上達します。