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中級者向け英文法:受動態の完全ガイド②|【中級者必須】ネイティブが使う「Get-Passive」をマスター!ビジネス・日常で役立つ受動態の全知識

なぜ受動態を学ぶ必要があるのか?

あなたは、英語の文法をしっかり学んできたのに、ネイティブの会話海外ドラマで聞く表現が、学校で習った受動態(Be-Passive)と少し違うと感じたことはありませんか?

「プロジェクトはキャンセルされた」と言うとき、

The project was canceled. (Be-Passive)

ではなく、

The project got canceled. (Get-Passive)

と聞くことが多いはずです。

本記事で解決できること

受動態というと「Be動詞 + 過去分詞」という公式だけを思い浮かべがちですが、これでは表現力に大きな差が生まれます。

本記事では、中級者以上が表現力を一段階上げるために不可欠な、以下の受動態の全てを徹底的に解説します。

  1. 口語表現の核心: ネイティブが日常やビジネスのカジュアルな会話で多用する「Get-Passive」のニュアンス(変化・感情)
  2. 実務的な文法力: 「今まさに進行中」を表す進行形の受動態、「完了した結果」を表す完了形の受動態
  3. 実践的な使い分け: フォーマルなビジネス文書と、カジュアルな日常会話で、どの受動態を使うべきかの具体的な判断基準

本記事を読めば、あなたの受動態の知識は「文法書レベル」から「ネイティブが使う実践レベル」へと進化します。文法力を強化し、より自然で洗練された英会話力を身につけましょう!

目次

1. Get-Passive:中級者必須の口語表現

1.1 Get-Passiveとは:もう一つの受動態

これまで学んだ「Be-Passive」(Be動詞 + 過去分詞)は、英語の受動態の基本形です。しかし、実は英語圏のネイティブスピーカーは、特に日常会話やカジュアルな文脈では、「Get-Passive」(Get + 過去分詞)をよく使います

Get-Passive の基本構造:主語 + Get 動詞(時制に応じて変化)+ 過去分詞

簡単な例:

I got hired last month. (私は先月採用された)

Did you get invited to the party? (パーティーに招待されましたか?)

The project got delayed. (プロジェクトは遅延した)

Be-Passiveとの構造の比較:

受動態の種類Be-PassiveGet-Passive
構造Be + 過去分詞Get + 過去分詞
例文The project was delayed.The project got delayed.

形式的には、「was」を「got」に置き換えるだけで、一見すると同じに見えるかもしれません。しかし、実はニュアンスと使用場面に大きな違いがあるのです。

2. Get-Passiveが表す3つの主要なニュアンス

Get-Passiveのニュアンス:変化と予期せぬ出来事

Be-Passiveとは異なり、Get-Passiveは特定のニュアンスを持っています。

2.1. 「状態の変化」を強調

Get-Passiveは、ある状態から別の状態への変化のプロセスを表します。

Be-Passive:

The window was broken. (窓は壊れている状態である)
→ 単に「壊れている」という状態を述べている

Get-Passive:

The window got broken. (窓は壊れた)
→ 「壊れていない状態」から「壊れた状態」への変化を強調

実例で理解する

場面1:オフィスでのトラブル

Be-Passive(状態を述べる):

The printer is broken, so we can’t use it.
(プリンターは壊れているので、使えません)
→ プリンターが壊れている状態を単に説明

Get-Passive(変化を述べる):

The printer got broken this morning, so we had to call IT support.
(プリンターは今朝壊れたので、IT サポートを呼ばなければなりませんでした)
→ 「壊れた」というイベント、変化の過程を強調

場面2:仕事のステータス変化

Be-Passive(状態を述べる):

The project was canceled. (プロジェクトはキャンセルされている)
キャンセルされた状態

Get-Passive(変化を述べる):

The project got canceled due to budget cuts. (プロジェクトは予算削減によってキャンセルされた)
→ キャンセルという決定が下された変化を強調

実際の職場での使用:

A: What happened to the meeting? (ミーティングはどうなりましたか?)
B: It got postponed to next week. (来週に延期されました) → 変化が起きた、決定が下された感じが出る

2.2. 「予期せぬ出来事」や「驚き」のニュアンス

Get-Passiveは、予想外の出来事や、驚きやショックを伴う状況を表すときに自然に使われます。

Be-Passive:

The contract was terminated. (契約は終了した)
→ 客観的な事実として述べている

Get-Passive:

The contract got terminated without warning. (契約は予告なしに突然終了されました)
→ 予期せぬ出来事の驚きやショックが伝わる

実例で理解する

場面1:個人的なショック

I got fired. (私はクビになった)
→ Be-Passiveの「I was fired」より、ショックや感情が含まれている

実際の会話:

A: You seem upset. What happened? (なんだか落ち込んでいますね。どうしたんですか?)
B: I got fired this afternoon. I still can’t believe it. (今日の午後、クビになりました。まだ信じられません)

場面2:予想外の事態

My flight got canceled because of the weather. (フライトが天候のためにキャンセルになった)
予期せぬ出来事

実際のメール:

Subject: Travel Disruption

My flight got canceled due to the storm. I won’t be able to make tomorrow’s meeting. Can we reschedule?

(フライトが嵐でキャンセルになりました。明日のミーティングに行けません。別の日に変更できますか?)


場面3:トラブルや困った状況

Our data got corrupted during the system update. (システム更新中にデータが破損しました)
トラブルが発生したことを強調

実際の報告:

A: Is the backup complete? (バックアップは完了しましたか?)
B: We have a problem. The backup got corrupted, so we lost some files. (問題が起きました。バックアップが破損したので、いくつかのファイルを失いました)

2.3. 「~してしまう」という自動的な結果

Get-Passiveは、自分の意図や行動によって引き起こされた結果を表すときにも使われます。

Be-Passive:

The presentation was delayed. (プレゼンテーションは遅延した)
→ 事実として述べている

Get-Passive:

I got stuck in traffic and got delayed for the presentation. 
(渋滞に巻き込まれて、プレゼンテーションに遅刻してしまった)
「~してしまった」という自分が関わった結果

実例で理解する

場面1:自分の行動の結果

I got caught in the rain and got soaked. (雨に降られて、ずぶ濡れになってしまった)

場面2:仕事での失敗

I got confused by the email and sent it to the wrong person. 
(メールを混同してしまって、間違った人に送ってしまった)

実際の謝罪:

I sincerely apologize. I got confused with the email addresses and sent the confidential document to the wrong department. I’ll make sure this doesn’t happen again.

(申し訳ございません。メールアドレスを混同してしまい、機密文書を間違った部門に送ってしまいました。今後このようなことがないようにします)

2.4. Be-Passive vs Get-Passive:実務的な比較

それでは、実際の使い分けを理解するために、Be-PassiveGet-Passiveの違いを整理しましょう。

表:使い分けの基準

項目Be-PassiveGet-Passive
フォーマル度形式的・客観的カジュアル・口語的
ニュアンス事実・状態を淡々と述べる変化・予期せぬ出来事・感情が入る
焦点行為や結果そのものプロセスや変化、個人の感情
ショック度低い(中立的)
高い(驚き・感情が伴う)
使用場面ビジネス文書、アカデミック日常会話、メール、カジュアルな文脈
時制全時制で使用可能比較的シンプルな時制で使用されがち

実例での比較:同じ情報を異なるトーンで伝える

情報:プロジェクトが承認された

Be-Passive(フォーマル):

The project was approved by the board yesterday. (プロジェクトは昨日取締役会によって承認されました) → ビジネス報告書やメール

Get-Passive(カジュアル):

Our project got approved! I’m so excited! (私たちのプロジェクトが承認されました!本当に嬉しい!)
→ チームメンバーとの喜びの共有

情報:会議がキャンセルされた

Be-Passive(事実を述べる):

The meeting was canceled due to the CEO’s schedule.
(会議はCEOのスケジュール理由でキャンセルされました)
→ 事実の通知

Get-Passive(トラブルを報告):

The meeting got canceled at the last minute. I was all set to go!
(会議は土壇場でキャンセルになりました。もう準備完了だったのに!)
困惑や失望の感情が伝わる

実務的な例:メールでの使い分け

シーン1:フォーマルなビジネスメール

Subject: Project Milestone Update

All deliverables were completed on schedule. The project was approved by senior management. The next phase will be initiated next week.

(すべての成果物は予定通りに完了しました。プロジェクトはシニアマネジメントによって承認されました。次段階は来週開始します)

Be-Passiveで客観性を保つ

シーン2:チームメンバーとのカジュアルなメール

Subject: Great News!

We just got the green light from management! The project got approved and we can start the implementation next week. I’m really pleased about this. Let’s celebrate at lunch!

(管理職から承認が出ました!プロジェクトが承認されて、来週実装を開始できます。本当に嬉しいです。昼食で祝いましょう!)

→ Get-Passiveでカジュアルさと感情を表現

2.5. よくあるGet-Passive表現:自然な使い方

日常会話で頻出するGet-Passive表現を、シーン別に紹介します。

仕事での頻出表現

1. 採用・雇用に関する表現

  • I got hired as a marketing manager. (マーケティングマネージャーとして採用されました)
  • She got promoted last month. (彼女は先月昇進しました)
  • He got laid off due to the restructuring. (リストラの影響でリストラされました)

実際の会話:

A: Congratulations on the new job! (新しい職、おめでとうございます!)
B: Thanks! I got hired as a senior analyst. I start next Monday.
(ありがとう!シニアアナリストとして採用されました。来週月曜日に開始します)

2. スケジュール・時間に関する表現

  • The meeting got postponed to Friday. (会議は金曜日に延期されました)
  • My flight got delayed by three hours. (フライトは3時間遅延しました)
  • The deadline got extended. (締切が延期されました)

実際のメール:

The meeting time got changed. Instead of 2 PM, it’s now 3 PM. Sorry for the short notice.

(会議の時間が変わりました。午後2時ではなく、午後3時になります。直前の通知で申し訳ありません)

3. プロジェクト・タスクに関する表現

  • The project got rejected by the client. (プロジェクトがクライアントに却下されました)
  • Our proposal got accepted! (私たちの提案が受理されました!)
  • The budget got cut by 20%. (予算が20%削減されました)

実際の報告:

A: What’s the status of the proposal? (提案のステータスは?)
B: Good news. It got approved this morning. (良いニュースです。今朝承認されました)

日常生活での頻出表現

4. トラブル・問題に関する表現

  • My phone got stolen. (携帯電話が盗まれました)
  • I got stuck in traffic. (渋滞に巻き込まれました)
  • The document got lost in the mail. (書類が郵送中に紛失しました)

実際の会話:

A: Why are you late? (なぜ遅刻しましたか?)
B: I got caught in traffic on the way here. Sorry!
(ここに来る途中で渋滞に巻き込まれました。申し訳ありません!)

5. ポジティブな結果に関する表現

  • I got selected for the team! (チームに選ばれました!)
  • He got invited to the conference. (彼は会議に招待されました)

実際の会話:

A: You look happy today. (今日はご機嫌ですね)
B: Yes! I got recognized in the team meeting for my work on the report.
(そうです!レポートの仕事でチームミーティングで認められました)

2.6. Get-Passiveの時制

Get-Passiveも、Be-Passiveと同様に様々な時制で使用できます。

時制 形式 例文
現在形 Get + 過去分詞 Things get delayed all the time.
過去形 Got + 過去分詞 The meeting got canceled yesterday.
現在完了 Have/has got + 過去分詞 I‘ve gotten promoted three times.
過去完了 Had got + 過去分詞 The project had gotten delayed.
未来形 Will get + 過去分詞 The contract will get signed next week.

注意: 「gotten」は「got」より現在完了形でより自然に聞こえます(特にアメリカ英語)。

例文:

The package had gotten damaged in shipping. (パッケージは配送中に破損していました)

2.7. Be-PassiveとGet-Passiveの使い分け:実践的なチェックリスト

次のチェックリストを使って、Be-PassiveGet-Passiveのどちらを使うべきかを判断しましょう。

以下のどれに当てはまりますか?

  • フォーマルなビジネス文書(メール、レポート)を書いている 
    → Be-Passive を使う
     The proposal was submitted on time.
  • 日常会話やカジュアルなチャットをしている 
    → Get-Passive を使う
     The proposal got submitted this morning.
  • 予期せぬ出来事やトラブルを説明している 
    → Get-Passive の方が自然
     I got stuck in traffic and was late for the meeting.
  • 単に事実や状態を述べている(感情や驚きなし) 
    → Be-Passive を使う
     The office is closed on weekends.
  • 状態の変化やプロセスを強調したい 
    → Get-Passive を使う
     How did you get promoted so quickly?
  • アカデミックな文脈や公式な文書 
    → Be-Passive を使う
     The experiment was conducted under controlled conditions.

3. 時制による受動態の変化:進行形と完了形

3.1 進行形の受動態とは

これまで、単純な時制(現在形、過去形)の受動態を学びました。しかし、英語の受動態はそれより複雑です。特に進行形の受動態を理解することは、「今、まさに何が起きているか」をより正確に表現するために重要です。

進行形の受動態の基本構造:

Be動詞(進行形)+ 過去分詞 = Be being + 過去分詞

より詳しく:

主語 + Is/Are/Was/Were being + 過去分詞

簡単な例:

The office is being renovated. (オフィスは現在改修工事中です)
The report was being written when the power went out. (停電が起きた時、レポートは執筆中でした)

3.2 進行形の受動態のニュアンス:「今、まさに」の感覚

進行形の受動態は、完了していない、今現在進行中のプロセスを表します。これは単純な過去形の受動態とは大きく異なります。

比較:単純過去 vs 進行形過去

単純過去形の受動態:

The report was written. (レポートは書かれました)
書き終わった、完了した状態

進行形の受動態:

The report was being written. (レポートは執筆中でした)
執筆というプロセスが進行中だった

実例で理解する

場面1:オフィス環境

単純形(完了):

The office was decorated for the party. (オフィスはパーティーのために飾られました)
→ 飾り付けは完了した

進行形(進行中):

The office is being decorated for the party. (オフィスはパーティーのために飾り付けされています)
→ 飾り付けはまだ進行中

実際の会話:

A: Can we use the break room? (休憩室を使えますか?)
B: I’m sorry, it‘s being decorated for the party this afternoon. It should be ready by 2 PM.
(申し訳ありません。今日の午後のパーティーのために飾り付け中です。午後2時までに準備ができるはずです)

場面2:仕事のプロセス

単純形(完了):

The proposal was reviewed by the client. (提案はクライアントによってレビューされました)
→ レビューは完了した

進行形(進行中):

The proposal is being reviewed by the client. (提案はクライアントによってレビュー中です)
→ レビューはまだ進行中

実際のメール:

Subject: Proposal Status Update

The proposal is currently being reviewed by the client. We expect their feedback by end of week. I’ll update you as soon as I hear back.

(提案は現在クライアントによってレビュー中です。週末までにフィードバックをもらう予定です。返信があったらすぐにお知らせします)

場面3:ニュースレポート

単純形(既に完了):

The software update was released. (ソフトウェアアップデートがリリースされました)

進行形(現在進行中):

The software update is being rolled out to all users. 
(ソフトウェアアップデートはすべてのユーザーに展開されています。)

3.3 進行形の受動態の時制バリエーション

進行形の受動態は、複数の時制で表現できます。

時制 構造 例文 意味
現在進行形 Is/Are being + 過去分詞 The report is being finalized. 今現在進行中
過去進行形 Was/Were being + 過去分詞 The report was being finalized. 過去のある時点で進行中
現在完了進行形 Has/Have been being + 過去分詞 The project has been being discussed.過去から現在まで継続中
過去完了進行形 Had been being + 過去分詞 The issue had been being investigated. 過去のある時点より前から進行中

注意: 「been being」は文法的には正しいですが、非常に複雑に聞こえるため、実際には「has been」(現在完了)で代用されることが多いです。

各時制の実例

1. 現在進行形の受動態:

Our website is being redesigned. (ウェブサイトは現在リデザイン中です)

実際の会話:

A: I noticed the website looks different. (ウェブサイトが違う感じがします)
B: Yes, it‘s being redesigned. We should be done by next month.
(そうです。リデザイン中です。来月までに完了するはずです)

2. 過去進行形の受動態:

The files were being transferred when the server crashed. 
(サーバーがクラッシュした時、ファイルは転送中でした)

実際のトラブル報告:

A: What happened to the file transfer? (ファイル転送はどうなりましたか?)
B: The files were being transferred when the network went down. We’re trying again now.
(ネットワークがダウンした時、ファイルは転送中でした。今もう一度試しています)

3. 現在完了進行形の受動態:

The case has been being investigated for months. (ケースは数ヶ月間調査されています)

または、より自然に:

The case has been under investigation for months.

3.4 実務的な使用場面:進行形の受動態

進行形の受動態が最も活躍する場面を、シーン別に見てみましょう。

シーン1:プロジェクト管理での進捗報告

状況: 複数のタスクが同時に進行中

メール例:

Subject: Project Status – Week of Dec 4

Here’s the current status:

The design mockups are being finalized by the creative team.
The budget document is being reviewed by finance.
The client presentation is being prepared for next Thursday.

All deliverables should be ready by end of week.

(以下は現在のステータスです:

• デザインモックアップはクリエイティブチームによって最終化されています。
• 予算書は財務部によってレビュー中です。
• クライアントプレゼンテーションは来木曜日のために準備されています。

すべての成果物は週末までに完了するはずです)

シーン2:トラブル対応

状況: システムがダウンしており、現在修復中

ステータス更新メール:

Subject: System Outage – Urgent Update

We’re currently experiencing a system outage. The issue is being investigated by our IT team. Services are being restored as we speak. We apologize for any inconvenience.

(現在、システムの障害が発生しています。問題はITチームによって調査されています。サービスは現在復旧中です。ご迷惑をおかけして申し訳ございません)

シーン3:新しいプロセスの導入

状況: 新しいツールやシステムが導入中

アナウンス例:

A new project management tool is being rolled out to all departments next week. Training sessions are being scheduled for all team members.

(新しいプロジェクト管理ツールは来週全部門に展開されます。すべてのチームメンバーのためにトレーニングセッションがスケジュール中です)

シーン4:日常会話での使用

状況: 同僚に現在の状況を伝える

会話例:

A: Where’s the Henderson report? (ヘンダーソンレポートはどこ?)
B: It‘s being completed right now. You should have it in about 15 minutes.
(今まさに完成させられています。15分くらいで受け取ります)

状況2:アプリケーションのインストール

A: Can you check your email? I sent you the file. (メールをチェックしてもらえますか?ファイルを送りました)
B: My email is being updated right now. Let me wait a moment and then I’ll check.
(メールは今更新中です。少し待ってからチェックします)

3.5 進行形の受動態の落とし穴

よくある誤り

誤り1:単純受動態を使うべき場面で進行形を使う

✗ The meeting is being held every Tuesday. (会議は毎週火曜日に開かれています)
⚪︎ The meeting is held every Tuesday. (会議は毎週火曜日に開かれます)
→ 定期的な習慣は単純形を使う

誤り2:進行形を誤用する

✗ I am being hired yesterday.
⚪︎ I was hired yesterday. または I got hired yesterday. (昨日採用されました)
→ 過去の完了した出来事は単純過去形を使う

4. 完了形の受動態とは

次に、完了形の受動態を学びます。完了形は、過去のある時点で起きた出来事が現在に影響を与える、または現在までの経験を表します。

完了形の受動態の基本構造:

主語 + Have/Has + Been + 過去分詞

簡単な例:

The report has been submitted. (レポートは提出されました)
The office has been renovated. (オフィスは改修されました)

4.1. 完了形の受動態のニュアンス:「~された経験・結果」

完了形の受動態は、以下の二つの主要な機能があります。

機能1:「現在に影響を与える過去の行為」

完了形は、過去のある時点での出来事が、現在でも続いている影響を表します。

単純過去形:

The software was updated last week. (ソフトウェアは先週更新されました)
→ 単に過去のイベントを述べている

完了形:

The software has been updated. (ソフトウェアは更新されています)
→ 更新されたという事実が現在でも重要。更新後の状態が現在も続いている

実例で理解する

場面1:プロジェクトのステータス

単純過去形(時間的に終了):

The contract was signed last month. (契約は先月署名されました)
→ 単に過去の事実

完了形(現在の状況として重要):

The contract has been signed. (契約は署名されました)
署名済みという状態が現在でも有効

実際の会話:

A: Is the contract ready to go? (契約は準備完了ですか?)
B: Yes, it has been signed by both parties. We can start the project immediately.
(はい、両者によって署名されています。すぐにプロジェクトを開始できます)

場面2:オフィスの設備

単純過去形:

The new printer was installed yesterday. (新しいプリンターは昨日インストールされました)

完了形:

The new printer has been installed. (新しいプリンターがインストールされています)

実際の通知:

A: Can we use the new printer? (新しいプリンターを使えますか?)
B: Yes, it has been installed and tested. Please use the one on the third floor.
(はい、インストールされてテストされています。3階のものを使ってください)

場面3:チーム全体への影響

単純過去形:

The policy was changed by management. (ポリシーは管理者によって変更されました)

完了形:

The policy has been changed. (ポリシーが変更されています)

実際のアナウンス:

Our vacation policy has been updated. All employees should review the new guidelines. The changes take effect immediately.

(休暇ポリシーが更新されています。すべての従業員は新しいガイドラインを確認してください。変更は即座に有効になります)

機能2:「これまでの経験」

完了形は、「今までの間に何度も起きたこと」「一度経験したこと」を表します。

例文:

I have been interviewed by three companies. (私は3社からインタビューを受けた経験があります)
複数の経験
The report has been reviewed multiple times. (レポートは何度も複数回レビューされています)
繰り返した経験

実際の会話:

A: This is the third time you‘ve been rejected. (これで3度目の却下ですね)
B: I know. I‘ve been rejected several times, but I won’t give up.
(わかっています。何度か却下されていますが、諦めません)

4.2. 完了形の受動態の時制バリエーション

完了形の受動態にも、複数の時制形があります。

時制 構造 例文 意味
現在完了 Have/Has + been + 過去分詞 The report has been submitted. 過去から現在までの経験や結果
過去完了 Had + been + 過去分詞 The report had been submitted before the deadline. 過去のある時点より前に完了
未来完了 Will have + been + 過去分詞 The project will have been completed by next month. 将来のある時点までに完了

各時制の実例

1. 現在完了の受動態:

My laptop has been fixed. (ノートパソコンが修理されました)

実際の会話:

A: Is your laptop working now? (ノートパソコンは今、動いていますか?)
B: Yes, it has been fixed. The IT team replaced the hard drive.
(はい、修理されました。ITチームがハードドライブを交換しました)

2. 過去完了の受動態:

The project had been approved before we started recruiting. (プロジェクトは私たちが採用活動を始める前に承認されていました)

実際のナレーション:

By the time the new team member arrived, the project had been assigned and was ready to begin.

(新しいチームメンバーが到着した時、プロジェクトは既に割り当てられていて、開始の準備ができていました)

3. 未来完了の受動態:

The construction will have been completed by June 30. (建設は6月30日までに完了されるでしょう)

実際のプロジェクト計画:

By the end of Q2, the office renovation will have been finished and all employees will be relocated to the new space.

(Q2の終わりまでに、オフィス改修は完了され、すべての従業員が新しいスペースに移転します)

4.3. 現在完了 vs 現在完了進行形の受動態

完了形の受動態には、単純な完了形完了進行形があります。

現在完了:

The report has been completed. (レポートは完了しました)
→ 完了した状態

現在完了進行形:

The report has been being reviewed. (レポートはレビューされ続けています)
プロセスが現在まで継続中

ただし、「has been being」という形は非常に複雑で不自然に聞こえるため、実際にはあまり使われません。代わりに以下のような表現が使われます:

The report is still being reviewed. (レポートはまだレビュー中です)
The report has been under review. (レポートはレビュー中のままです)

4.4. 実務的な使用場面:完了形の受動態

完了形の受動態が最も活躍する場面を、シーン別に見てみましょう。

シーン1:ステータスレポート

状況: プロジェクトの進行状況を報告

メール例:

Subject: Project Milestone Update

I’m pleased to report that several key milestones have been reached:

• Phase 1 has been completed successfully.
• The client has been notified of the progress.
• Additional resources have been allocated for Phase 2.

We are on track to meet the deadline.

(以下の重要なマイルストーンが達成されたことをご報告します:

• フェーズ1は正常に完了されました。
• クライアントには進捗が通知されています。
• フェーズ2のために追加のリソースが割り当てられています。

予定通り期限を満たす軌道にあります)


シーン2:問題解決の報告

状況: 以前のイシューが解決された

レポート例:

The technical issues that were reported last week have been resolved. All systems have been tested and are functioning normally.

(先週報告された技術的問題は解決されています。すべてのシステムはテストされ、正常に機能しています)

シーン3:人事関連の通知

状況: 採用プロセスの完了

メール例:

Congratulations! Your application has been reviewed and you have been selected to move forward to the interview stage. The interview has been scheduled for next Friday at 2 PM.

(おめでとうございます!あなたの申請書がレビューされ、インタビュー段階に進むことが決定しました。インタビューは来金曜日の午後2時にスケジュールされています)

シーン4:日常会話での使用

状況1:オフィスでの会話

A: Have you heard the news? (ニュースを聞きました?)
B: No, what happened? (いいえ、何があったんですか?)
A: The budget has been increased for next quarter! (次のクォーターの予算が増えました!)

状況2:タスク管理

A: Is the document ready? (ドキュメントは準備できていますか?)
B: Almost. It has been reviewed by two colleagues and I’m just making final edits.
(ほぼ完成です。2人の同僚によってレビューされていて、最後の編集をしているところです)

4.5. 進行形と完了形の受動態の使い分け

二つの複雑な受動態形式の違いを整理しましょう。

特徴 進行形の受動態 完了形の受動態
構造 Is/Are/Was/Were being + 過去分詞 Have/Has + been + 過去分詞
時間軸 現在進行中(今この瞬間) 過去から現在への結果
焦点 プロセスが進行中 完了した結果や経験
The system is being updated. The system has been updated.
意味 更新作業は今進行中 更新は完了し、新版が今利用可能
使用場面 「今まさに何が起きている」を伝える 「完了した状態」や「経験」を伝える

実例での比較:

情報:データベースが修理される

進行形の受動態:

The database is being repaired right now. (データベースは今修理中です)
→ 修理というプロセスが現在進行中まだ使用不可

完了形の受動態:

The database has been repaired. (データベースは修理されました)
修理が完了。もう使用可能

情報:提案がレビューされる

進行形の受動態:

The proposal is being reviewed by the committee. (提案は委員会によってレビュー中です)
レビュー中。まだ決定なし

完了形の受動態:

The proposal has been reviewed. (提案はレビューされました)
レビュー完了。決定が下される準備完了

4.6. 実践的な演習:複雑な受動態の使い分け

ここまで学んだことを実務的な場面で活用してみましょう。

演習1:メール作成

状況: 複数のプロジェクトのステータスを報告する必要がある

使い分けの例:

Subject: Weekly Project Status

Here’s this week’s update:

Project A: The initial design has been approved by the client. We are now moving to the development phase.

Project B: The development is currently being finalized. We expect completion by Friday.

Project C: The testing is being conducted by our QA team. Preliminary results have been received and look good.


(以下は今週の更新です:

プロジェクトA: 初期デザインはクライアントに承認されています。これで開発段階に移ります。

プロジェクトB: 開発は現在最終化中です。金曜日までに完成することを期待しています。

プロジェクトC: テストは私たちのQAチームによって実施中です。予備的な結果は受け取られていて、良さそうです)

演習2:問題報告

状況: システムトラブルが発生し、現在対応中

段階的な報告例:

初期報告(進行形):

An issue is being investigated. The problem is currently being addressed by our technical team.

(問題が調査されています。問題は現在私たちの技術チームによって対処されています)

フォローアップ報告(完了形):

The issue has been identified. It has been caused by a server misconfiguration. Repairs are being made and we expect to restore service within the hour.

(問題は特定されました。サーバーの誤設定が原因です。修理が進行中で、1時間以内にサービスを復旧することを期待しています)

5. 受動態の基本構造と役割

主要なポイント

1. Be-Passive(基本的な受動態):

  • 構造:Be動詞 + 過去分詞
  • 機能:事実や状態を客観的に述べる
  • フォーマル度:高い
  • 実例:The report was submitted on time.

2. Get-Passive(口語的な受動態):

  • 構造:Get + 過去分詞
  • 機能:変化、予期せぬ出来事、感情を含む
  • フォーマル度:低い(カジュアル)
  • 実例:I got promoted last month!

3. 進行形の受動態(プロセスが進行中):

  • 構造:Be being + 過去分詞
  • 機能:今まさに起きているプロセスを表現
  • 時間軸:現在進行中
  • 実例:The office is being renovated.

4. 完了形の受動態(完了した結果):

  • 構造:Have/Has + Been + 過去分詞
  • 機能:完了した結果や過去から現在までの経験
  • 時間軸:過去から現在への影響
  • 実例:The project has been approved.

使い分けの総合的なガイド

場面選ぶ受動態理由
フォーマルなビジネス文書Be-Passive(be 動詞 + 過去分詞)客観性と形式性が高い
常会話やカジュアルなメールGet-Passive(get + 過去分詞)より自然で親しみやすい
今現在進行中のプロセス進行形の受動態(be + being + 過去分詞)プロセスが進行中であることを強調
完了した結果や経験完了形の受動態(have been + 過去分詞)完了と現在への影響を表す
トラブルや予期せぬ出来事Get-Passive / 進行形の受動態緊迫感・突然の変化を表現しやすい

実務的な適用場面

✓ ビジネスメール → Be-Passive で正式感を保つ
✓ チャットやカジュアルコミュニケーション → Get-Passive を活用
✓ ステータス報告 → 進行形と完了形を組み合わせ
✓ プロジェクト管理 → 複数の形式を状況に応じて使い分け
✓ 問題報告 → 進行形でプロセスを、完了形で結果を表現

練習問題

Part 1:受動態の種類を選ぶ(Be / Get / 進行形 / 完了形)

  • フォーマルなレポートで「契約は昨日承認された」と書きたい。
    →(   )Passive を使う。
    英文:________________________________
  • チャットで「やばい、電車が遅延した!」と伝えたい。
    →(   )Passive を使う。
    英文:________________________________
  • 進捗会議で「そのデータは今レビュー中です」と言いたい。
    →(   )Passive を使う。
    英文:________________________________
  • 報告書で「システムはすでに更新されています」と言いたい。
    →(   )Passive を使う。
    英文:________________________________

Part 2:能動態 → 受動態(種類も判断)

  • They delayed the project.(カジュアル・雑談)
    → ____________________________________
  • The IT team is repairing the server now.(状態は未完了)
    → ____________________________________
  • Someone has stolen my account information!(驚き・予期せぬ出来事)
    → ____________________________________
  • They have already reviewed the proposal.(結果が重要)
    → ____________________________________

Part 3:動作の受動態 or 状態の受動態?

  • The office is cleaned every morning.
    → 動作 / 状態(どちら?)
    理由:________________________________
  • The meeting room is locked after 7 pm.
    → 動作 / 状態(どちら?)
    理由:________________________________
  • The report is being checked.
    → 動作 / 状態(どちら?)
    理由:________________________________

Part 4:文脈穴埋め(最適な受動態を選ぶ)

選択肢:

  • A. was held
  • B. is being updated
  • C. got canceled
  • D. has been approved
  • The system ______ right now, so please wait.
    → ________________________
  • The meeting ______ due to the storm.(カジュアル)
    → ________________________
  • The new design ______ by the client.(結果が大事)
    → ________________________
  • The event ______ last Friday.(完了した過去の事実)
    → ________________________

解答

Part 1:受動態の種類を選ぶ(Be / Get / 進行形 / 完了形)

  • Be-Passive
    ✔ 文書はフォーマル → be動詞の受動態
    The contract was approved yesterday.
  • Get-Passive
    ✔ 予期せぬ出来事・カジュアル → Get
    The train got delayed!
  • 進行形の受動態(be + being + 過去分詞)
    ✔ 「今まさに進行中」
    The data is being reviewed.
  • 完了形の受動態(has been + 過去分詞)
    ✔ 結果・現在への影響
    The system has been updated.

Part 2:能動態 → 受動態(種類も判断)

  • The project got delayed.
    ✔ カジュアル会話 → Get-Passive が自然
  • The server is being repaired now.
    ✔ 現在進行中(未完了) → 進行形の受動態
  • My account information got stolen!
    ✔ 驚き・ショック → Get-Passive
  • The proposal has been reviewed.
    ✔ 結果を重視 → 完了形受動態

Part 3:動作の受動態 or 状態の受動態?

  • The office is cleaned every morning.
    → 動作の受動態
    理由:掃除という行為が繰り返し起こる(プロセス)
  • The meeting room is locked after 7 pm.
    → 状態の受動態
    理由:7時以降「施錠された状態」を示す
  • The report is being checked.
    → 動作の受動態(進行形)
    理由:チェックという作業が進行中

Part 4:文脈穴埋め(最適な受動態を選ぶ)

  • B. is being updated
    ✔ 現在進行中 → 進行形
    The system is being updated right now.
  • C. got canceled
    ✔ カジュアル+予期せぬ出来事
    The meeting got canceled.
  • D. has been approved
    ✔ 結果を述べる → 完了形
    The new design has been approved.
  • A. was held
    ✔ 過去の事実(完了)
    The event was held last Friday.

まとめ

受動態マスターのための主要ポイント再確認

この記事を通じて、受動態には単なる「Be + 過去分詞」という形だけでなく、用途とニュアンスに応じた多様な形があることを学びました。

受動態の種類ニュアンスと用途実務的な使用場面
Be-Passive客観的な事実、状態、フォーマルな報告ビジネス文書、レポート、公式な通知
Get-Passive予期せぬ変化、予期せぬ出来事、感情を伴うトラブルカジュアルな会話、チームチャット、個人的な状況説明
進行形の受動態今まさに進行中のプロセス(未完了)進捗報告、トラブル対応中の状況説明
完了形の受動態過去の行為が完了し、現在に影響を与える結果マイルストーン達成報告、問題解決の通知

🎯 文法力と英会話力を強化するための学習アドバイス

学んだ知識を定着させ、英会話力を向上させるための実践的なアドバイスを3つご紹介します。

  1. 「Get-Passive」を意識的に使ってみる
    • 頭の中で受動態の文章を作る際、まずは「Get-Passive」で作れないかを意識してみてください。特に「I got stuck in traffic.(渋滞にハマってしまった)」や「My flight got delayed.(フライトが遅延した)」など、予期せぬトラブルや変化について話す練習を重ねましょう。
  2. 状況別のアウトプット練習
    • 「フォーマルなメールを書く状況」と「友人にトラブルを報告する状況」など、具体的なシチュエーションを設定します。
    • フォーマルな状況では必ず Be-Passive や 完了形の受動態 を使って客観的に報告する練習をします。
    • カジュアルな状況では Get-Passive を使って、感情や驚きを込めて話す練習をします。
  3. 能動態と受動態を常に比較する
    • 受動態を学ぶ最終目的は「誰が(何が)行為者であるか」ではなく、「何を強調したいか」で形を選ぶことです。
    • 例:「(誰か)がプロジェクトを承認した」という能動態(Someone approved the project.)に対して、「プロジェクトが承認された」という事実(The project was approved.)と、「承認という変化が起きた」(The project got approved.)の違いを常に意識してインプット・アウトプットを繰り返しましょう。

次のステップ

受動態の基本と口語表現をマスターした次の段階は、さらに高度な応用構文です。

次章の Part 2 では、「二重目的語の受動態」や「知覚動詞・使役動詞の受動態」など、より複雑で洗練された表現を学び、あなたの文法力を完成させます。ぜひ続けて学習を深めていきましょう!

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