英会話講師として教壇に立つとき、教え方だけでなくクラス運営にも様々な課題が待ち受けています。同じクラスでのレベル差、話さない生徒、生徒間の関係性など、多くの講師が日々直面している問題です。この記事では、現役講師から最もよく寄せられた質問とその対応策をまとめました。これから英会話講師を目指す方も、すでに教えている方も、効果的なクラス運営のヒントを見つけていただければ幸いです。
1. クラス内のレベル差への対応

グループレッスンを担当している限り、生徒間のレベル差は必ず存在します。どれほど細かくレベル分けしても、完全に均一なクラスを作ることは不可能です。
英会話のレベルは総合力で決まります。語彙力、文法力、リスニング、発音、即答力などの組み合わせで判断するため、同じレベルの生徒でも得意・不得意分野は異なります。例えば:
- 生徒A:語彙が豊富で即答力があるが、文法とリスニングが弱い
- 生徒B:文法とリスニングに優れているが、語彙力が低く即答力に欠ける
このような場合、AとBは総合的には同じレベルでも、お互いを見たときに「あの人は話せない」「あの人は出鱈目な英語を話している」と感じてしまうことがあります。
講師が意識すべきポイント
- グループレッスンである限り、レベル差は必ず存在することを理解する
- 個々の生徒の弱点を把握するよう努める
- 弱点が目立たず、得意分野を活かせるようにレッスンを設計する
大切なのは、レベル差は自然なものであること、そしてグループレッスンを選んだのは生徒自身であることを念頭に置くことです。完璧を目指すのではなく、それぞれの生徒が成長できる環境づくりに注力しましょう。
2. 話さない生徒への接し方

英会話のレッスンで生徒が話さないと、授業が成立しにくくなります。まずは「なぜ話さないのか」という原因を探りましょう。主な理由としては以下が考えられます:
話さない理由と対応策
- リスニングが弱い/語彙力が低い場合
- クラスルームイングリッシュを改善する
- レッスンの構成をより分かりやすくする
- 完璧な英語で話そうとする場合
- レッスンの前後で英語学習の本質について説明する
- 間違いを恐れず話すことの重要性を伝える
- 周りの人が気になる場合
- 過度に反応せず、こまめに褒める
- 小さな発言でも肯定的に評価する
- そもそも無口な性格の場合
- 講師側の思い込みを見直す
- 表現方法は人それぞれであることを理解する
実は、レッスン中あまり話さなくても満足している生徒も少なくありません。遅刻や欠席がない限り、その生徒なりの参加の仕方を尊重しつつ、講師から積極的に話しかけることを心がけましょう。
3. 生徒間の関係性への配慮

グループレッスンでは、高校生からリタイア世代まで、様々な年齢や背景を持つ人々が集まります。そのため、生徒同士の相性も課題となることがあります。
トラブルへの対処法
- レッスン中に不満の表情を見せる生徒には、直接相談してレッスンの曜日や時間の変更を提案する
- 気になることがあれば、レッスン終了後に個別に話す機会を作る
- 講師から話題を持ちかければ、多くの生徒は本音を話してくれる
稀に、一部の生徒が他の生徒に過度に接近するなどの問題が生じることもあります。そのような場合は、スクールの管理者に相談しましょう。公共の場である教室で、他の生徒が不快に感じる行為を見過ごすことはできません。
4. おしゃべりな生徒のコントロール方法

クラスメイトを気にせず話し続ける生徒がいると、レッスンのバランスが崩れます。特にレッスンと関係のない話題を持ち出す場合は適切な対応が必要です。
効果的な対応方法
- レッスン中のコントロール
- 基本的に指名してから答えてもらうルールを設ける
- 勝手に話し始めた場合は「今はBさんに聞いています」と優しく但し明確に伝える
- レッスンと関係ない話題は「その話はレッスン後にしましょう」と切り替える
- レッスン後の個別対応
- グループレッスンでは発言機会を均等にする必要があることを説明する
- もっと話したい場合はプライベートレッスンを提案する
話し続ける行為が「このレベルは簡単すぎる」というアピールの場合もあります。レベルアップが適切であれば、新しいテキストでの受講を勧めるのも一つの解決策です。
5. 予習をしない生徒への対応

予習を前提としたレッスンプランを立てている場合、予習をしてこない生徒は大きな課題となります。テキストの単語の意味をレッスン中に説明することは時間の無駄です。
段階的な対応
- レッスン中は質問の振り方を工夫し、その生徒も答えられるように配慮する
- レッスン後に予習の仕方を丁寧に説明する
- それでも予習してこない場合は、レッスン開始前や終了後に日本語で簡単に教える
- それでも改善されない場合は、ある程度割り切る
講師にも様々なスタイルがあります。予習前提の少し厳しめのレッスン、のんびりゆるいレッスンなど、どちらが良い悪いではなく、タイプの違いです。すべての生徒に100%満足してもらうことは不可能ですので、自分のスタイルを貫きながら、できる範囲でサポートすることが大切です。
6. レベルが合わない生徒へのサポート

「レベル差」とは異なり、完全にレベルが合わないケースも存在します。主な原因は以下の2つです:
原因と対応策
- 入会時のレベル設定ミス
- 英会話のレベル設定は、主にオーラルインタビューで行われるため、100%の精度ではない
- 自己紹介が上手い生徒や発音の良い生徒に惑わされることもある
- 明らかなミスの場合は、他の講師やマネージャーと相談してクラス変更を検討する
- 初心者クラスからレベルアップしてきた場合
- 学校教育での英語知識を使い果たした状態の可能性がある
- レッスン後に個別に話し、リーディングや文法学習、ライティングなどのインプット強化を提案する
- これまでの成長過程を評価し、次のステップとして捉えるよう励ます
長期間通ってくれている生徒の場合は、しっかりと話し合えば理解してもらえることが多いです。成長の過程として前向きに捉えてもらうよう心がけましょう。
7. 態度が悪い生徒への対処法

生徒の態度が悪いと感じた場合、まずはなぜそう思うのかを考えてみましょう。主な理由としては以下が考えられます:
態度が悪く見える理由と対応
- 英語を勉強したくない(会社命令で受講している)
- 特に対応は不要、これまで通りレッスンを続ける
- 弱みを見せたくない(英語ができない姿を見られたくない)
- 同様に特別な対応は不要、自然な形でサポートを継続する
- 何かに不満がある
- レッスン後に個別に話してみる
- 直接話しにくい場合はスクールスタッフに相談する
講師は真面目な方が多く、自分の力で何とかしようと頑張りがちです。しかし、できることとできないことの区別も大切です。グループレッスンとプライベートレッスンでは提供できるサービスが異なります。スクールシステムの枠内で最善を尽くすことを心がけましょう。
まとめ

英会話講師として直面する様々な課題は、決して特別なものではありません。むしろ、グループレッスンの特性上、ある程度避けられないものです。レベル差、話さない生徒、生徒間の関係性など、完璧な解決法はなくとも、講師としての姿勢と工夫次第で大きく改善できます。
大切なのは、すべての生徒を同じように扱おうとするのではなく、それぞれの特性や状況に合わせた対応を心がけること。そして、ボランティアではなくプロとして、提供できるサービスの範囲を理解し、その中で最善を尽くす姿勢です。講師自身が自分のスタイルを確立し、生徒と共に成長していく過程を楽しめるようになれば、より充実したレッスンが実現するでしょう。
皆さんは英会話レッスンでどのような課題に直面していますか?この記事で紹介した対応策を試してみた結果や、独自の解決法があれば、ぜひコメント欄でシェアしてください。また、記事では触れていない課題についても、お気軽にご質問ください。講師同士の経験共有が、より良い英語教育につながります。










