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中級者向け英文法:受動態の完全ガイド①|【受動態マスター講座】Be-Passiveの基本構造と「動作・状態」の使い分けを徹底解説

英文法マスター講座:受動態 Part 1

Be-Passiveの基本構造と役割を徹底理解

英語を話したり書いたりしていて、こんな表現を見かけたことはありませんか?

  • 「The meeting was held yesterday.」(会議は昨日開催された)
  • 「Your email was received this morning.」(あなたのメールは今朝受け取られた)

これらが「受動態(Passive Voice)」です。

「受動態は少し複雑で苦手…」と感じる日本人学習者は少なくありません。しかし、日常会話からプロのビジネスメールまで、ネイティブスピーカーは受動態を驚くほど頻繁に使っています。なぜなら、受動態は「誰が」ではなく「何が起こったか」という最も重要な情報に焦点を当てるための、効果的なコミュニケーションツールだからです。

この「英文法マスター講座:受動態」のPart 1では、受動態の本質を理解し、その基本構造である「Be-Passive」を徹底的に分解します。能動態との根本的な違い、時制ごとの正確な形、そして特に重要な「動作の受動態」と「状態の受動態」という二つのタイプの実践的な使い分けを、豊富なビジネス例文と共に学んでいきましょう。

本記事を読み終える頃には、あなたの英語表現はより客観的で、洗練され、伝わりやすいものへと進化しているはずです。さあ、受動態を自信を持って使いこなすための第一歩を踏み出しましょう!

目次

はじめに:受動態とは何か

英語を話したり書いたりしていて、こんな表現を見かけたことはありませんか?

The meeting was held yesterday.
(会議は昨日開催された)

Your email was received this morning.
(あなたのメールは今朝受け取られた)

これらが「受動態」です。日本人の学習者にとって、受動態は最初の頃、少し複雑に感じるかもしれません。しかし、実は英語のネイティブスピーカーは日常会話や仕事のメールで頻繁に使っています。この章では、受動態の本質を理解し、自然に使いこなせるようになることを目指します。。

1. 受動態の基本概念と構成

1.1 能動態と受動態の違い:「誰が」から「何が」へ

まず、能動態と受動態の基本的な違いを理解しましょう。

能動態(Active Voice)は、主語が「行為者」(誰が・何が動作を行うか)となる形です:

例文(能動態):

My colleague sent the report. (私の同僚がレポートを送った)

  • 主語 = 行為者(同僚が)
  • 焦点 = 誰が何をしたか

一方、受動態(Passive Voice)は、主語が「動作の対象」(誰が・何が動作を受けるか)となる形です:

例文(受動態):

The report was sent by my colleague. (レポートは私の同僚によって送られた)

  • 主語 = 動作の対象(レポートが)
  • 焦点 = 何が起こったか、結果

なぜこの違いが重要なのか?

英語での意思疎通において、「何が起こったか」を強調したいときがあります。例えば:

能動態:

Sarah made a mistake on the project. (サラはプロジェクトで間違いを犯した)
「サラが間違いを犯した」という行為に焦点

受動態: 

 A mistake was made on the project. (プロジェクトで間違いが起きた)
「間違いが起きた」という結果に焦点。「誰が」という情報は必ずしも重要ではない

仕事の場面では、「誰が」よりも「何が」「どのような結果」かが重要になることが多いのです。

2. 受動態の基本構造

2.1 基本構造の徹底理解

受動態の基本骨組み

Be-Passiveの構造は非常にシンプルですが、各要素が担う役割を正確に理解することが、応用力につながります。

Be動詞 + 過去分詞

より詳しく示すと:

主語 + Be動詞(時制に応じて変化)+ 過去分詞 + (by + 行為者)

括弧内の「by + 行為者」は必須ではありません。行為者が不明な場合や、重要でない場合は省略されます。

構造の各要素における役割分担

受動態の力は、Be動詞と過去分詞の役割分担にあります。この二つが異なる機能を担っていることを理解することが非常に重要です。

Be動詞の役割:

  • 時制を担当 — 文の時間軸(現在・過去・未来など)を表現
  • 主語との一致を担当 — 主語の人称・数に応じて形を変える(am/is/are/was/were など)
  • 疑問形・否定形の文法操作を担当 — 英語の基本的な文法ルール(be動詞の倒置、not の位置など)を実行する要素
  • つまり、Be動詞は「受動態の文法的骨組み」を支える存在

過去分詞の役割:

  • 「~される」という受動の意味そのものを担当 — 受動態の核となる意味を表現
  • 動詞由来の情報を持つ — 元の動詞(send → sent, complete → completed など)が過去分詞として組み込まれることで、具体的な「何が起こるのか」を表現
  • つまり、過去分詞は「受動態の意味の核」を担う存在

この役割分担により、受動態は時制や文法形式の変化に柔軟に対応できます。

能動態からの変換プロセス

受動態の構造をより確実に理解するために、能動態からの変換プロセスを3ステップで示します。

STEP
能動態の目的語が受動態の主語になる

能動態

My colleague sent the report.

  • 主 語My colleague(誰が)
  • 動 詞sent(何をした)
  • 目的語the report(何を)

受動態

The report was sent by my colleague.

  • 主語The report(←元の目的語)
  • Be動詞 + 過去分詞:was sent
  • by 句by my colleague
STEP
能動態の動詞をBe動詞 + 過去分詞の形に変える

能動態

My colleague sent the report.

受動態

The report was sent by my colleague.

  • 能動態の動詞sent」を、Be動詞の時制に合わせて「was sentに変換
  • ここで重要:Be動詞の時制が、文全体の時間を表現する
  • 現在形:are sent
  • 過去形:were sent
  • 完了形:have been sent
    など
STEP
能動態の主語はby句で動作主になる(省略可能)
  • 元の主語「My colleague」は、受動態では「by my colleague」となる
  • ビジネスの場面では、この「by句」が省略されることが非常に多い

2.2 疑問文と否定文の作成ルール 💡

受動態をマスターするには、肯定文だけでなく、疑問文否定文も正確に操作できる必要があります。ここでは、明確なルールを示します。

否定文の作り方

ルール:Be動詞の直後に「not」を置く

主語 + Be動詞 + not + 過去分詞 (+ by 動作主)

基本例:

肯定文:The report was sent yesterday.

否定文:The report was not sent yesterday.

様々な時制での否定文例:

時制肯定文否定文
現在形Emails are sent daily.Emails are not sent on weekends.
過去形The budget was approved.The budget was not approved yet.
現在完了The task has been completed.The task has not been completed yet.
未来形The meeting will be held tomorrow.The meeting will not be held tomorrow.

短縮形の使い分け:

短縮形(isn’t, wasn’t, weren’t, haven’t, hasn’t など)を使うと、文体がカジュアルになります。

  • フォーマル(ビジネス文書): The report was not sent by my colleague.
  • カジュアル(日常会話): The report wasn’t sent by my colleague.

実務例:

ビジネスメール(フォーマル)
The proposal was not approved by the deadline.

チャット(カジュアル)
The proposal wasn’t approved by the deadline.

疑問文の作り方

ルール1 一般疑問文(Yes/No疑問文)Be動詞を主語の前に出す

Be動詞 + 主語 + 過去分詞 (+ by 動作主)?

基本例:

肯定文 : The report was sent yesterday.

疑問文: Was the report sent yesterday?

回答 : Yes, it was. / No, it wasn’t.

様々な時制での疑問文例:

時制疑問文回答例
現在形Are the emails sent daily?Yes, they are.
過去形Was the budget approved?Yes, it was.
現在完了Have the changes been implemented?Yes, they have.
未来形Will the meeting be held tomorrow?Yes, it will.
過去完了Had the report been finished before the deadline?Yes, it had.

ルール2. 疑問詞を伴う疑問文(Wh-questions)Be動詞の前に疑問詞を置く

疑問詞 + Be動詞 + 主語 + 過去分詞 (+ by 動作主)?

実務的な疑問詞による疑問文例:

疑問詞疑問文情報
WhenWhen was the contract signed?時間
WhereWhere was the meeting held?場所
WhoWho was the proposal reviewed by?人物
WhatWhat was announced by the CEO?何か
WhyWhy wasn’t the project approved?理由
HowHow was the problem solved?方法

実務的な会話例:

A: When will the renovation be completed?
(いつ改修工事が完了しますか?)
B: It will be completed by the end of next month.
(来月末までに完了する予定です)

A: Who was responsible for the error?
(誰がそのエラーの原因でしたか?)
B: It hasn’t been determined yet. The investigation is ongoing.
(まだ特定されていません。調査が進行中です)

2.3 主要な時制ごとの正確な構造(6つの時制の活用)

受動態は、Be動詞の時制によって形が変わります。以下では、ビジネスの場面で頻出する6つの時制について、正確な構造と実例を示します。

1. 現在形 (Simple Present Passive)

構造:

主語 + am/is/are + 過去分詞 (+ by 動作主)

機能:

  • 習慣的・繰り返される動作
  • 客観的事実
  • 普遍的な真理

例文:

肯定文:
Emails are sent daily by the marketing team.
(マーケティングチームが毎日メールを送信する)

否定文:
Reports are not submitted on weekends.

(レポートは週末に提出されない)

疑問文:
Are the monthly meetings held on Tuesday?

(月次会議は火曜日に開催されますか?)

回答:
Yes, they are held every Tuesday afternoon.

(はい、毎週火曜日の午後に開催されます)

ビジネスでの実用例:

会社のマニュアルから:
All documents are reviewed by the compliance team before publication.

(すべての文書は公開前に法務チームによってレビューされます)

チームミーティング:
A: When are the weekly reports due?

(週次レポートはいつが締め切りですか?)
B: They are submitted every Friday by 5 PM.
(毎週金曜日午後5時までに提出されます)

2. 過去形 (Simple Past Passive)

構造:

主語 + was/were + 過去分詞 (+ by 動作主)

機能:

  • 過去の一度きりの動作
  • 完了した動作

例文:

肯定文:
The budget was approved by the director yesterday.

(予算は昨日ディレクターに承認された)

否定文:
The proposal was not sent to the client on time.

(提案はクライアントに時間通りに送られなかった)

疑問文:
Was the contract signed last Friday?

(契約は先週金曜日に署名されましたか?)
回答:
Yes, it was signed by both parties.

(はい、両者によって署名されました)

ビジネスでの実用例:

プロジェクト報告:
The renovation was completed three weeks ahead of schedule.

(改修工事は予定より3週間早く完了した)

メールのやり取り:
A: Did you receive my proposal?
(私の提案を受け取りましたか?)
B: Yes, it was received this morning. Thank you.
(はい、今朝受け取りました。ありがとうございます)

注意点:

  • 主語が単数形なら「was」、複数形なら「were」を使う
    • The report was submitted.(レポートは提出された)
    • The documents were submitted.(文書は提出された)

3. 未来形 (Simple Future Passive)

構造:

主語 + will be + 過去分詞 (+ by 動作主)

機能:

  • 未来の予定
  • 未来の予測

例文:

肯定文:
The next steps will be discussed in tomorrow’s meeting.

(次のステップは明日の会議で議論される)

否定文:
The office will not be closed during the holidays.

(オフィスは休暇期間中は閉じられないでしょう)

疑問文:
Will the project be completed by the deadline?

(プロジェクトは期限までに完了しますか?)
回答:
Yes, it will be completed on schedule.

(はい、予定通り完了します)

ビジネスでの実用例:

プロジェクト計画:
The final report will be submitted by the end of the quarter.

(最終レポートは四半期末までに提出されます)

クライアント対応:
A: When will the invoice be sent?

(請求書はいつ送られますか?)
B: It will be sent within 3 business days.
(営業日3日以内に送られます)

4. 現在完了形 (Present Perfect Passive)

構造:

主語 + have/has + been + 過去分詞 (+ by 動作主)

機能:

  • 過去から現在までの完了
  • 最近の完了(結果が現在に影響を与える)
  • 経験
  • 継続

例文:

肯定文:
The renovation has been completed, and we can now use the new office space.

(改修工事は完了し、新しいオフィススペースを使用できるようになりました)

否定文:
The changes have not been implemented in all departments yet.

(変更はまだすべての部門に導入されていません)

疑問文:
Have you been notified about the policy change?

(ポリシー変更についての通知を受け取りましたか?)
回答:
Yes, I have been notified. Thank you.

(はい、通知を受け取りました。ありがとうございます)

ビジネスでの実用例:

進捗報告:
The software has been updated to the latest version.

(ソフトウェアは最新バージョンにアップデートされました)

ステータス確認:
A: Has the approval been received?

(承認は受け取られましたか?)
B: Yes, it has been received. We can proceed with the project.
(はい、受け取られました。プロジェクトを進めることができます)

注意点:

  • 単数主語には「has」、複数主語には「have」を使う
    • The task has been completed.(タスクは完了している)
    • The tasks have been completed.(タスクは完了している)

5. 過去完了形 (Past Perfect Passive)

構造:

主語 + had + been + 過去分詞 (+ by 動作主)

機能:

  • 過去のある時点より前に完了した動作
  • 過去の2つの出来事の時間関係を示す(より前の出来事)

例文:

肯定文:
The report had been finished before the deadline.
(レポートは期限前に完了していた)

否定文:
The payment had not been processed before the system went down.

(支払いはシステムがダウンする前に処理されていなかった)

疑問文:
Had the contract been reviewed before it was signed?

(契約は署名される前にレビューされていましたか?)
回答:
Yes, it had been thoroughly reviewed.

(はい、徹底的にレビューされていました)

ビジネスでの実用例:

プロジェクト振り返り:
By the time the client arrived, the presentation had been prepared thoroughly.

(クライアントが到着した時点で、プレゼンテーションは十分に準備されていました)

問題分析:
The error had been made before anyone noticed it.

(誰かが気付く前に、エラーは発生していました)

使用場面の注意: 過去完了形は日常英会話ではあまり使われません。主に文章(ビジネスレポート、小説など)で使用されます。

6. 未来完了形 (Future Perfect Passive)

構造:

主語 + will have been + 過去分詞 (+ by 動作主)

機能:

  • 未来のある時点での完了予測
  • 「~までには~される」という予定の表現

例文:

肯定文:
The task will have been completed by next Monday.

(タスクは来週月曜日までに完了しているでしょう)

否定文:
The renovation will not have been finished by the summer season.

(改修工事は夏のシーズンまでには完了していないでしょう)

疑問文:
Will the project have been approved by the end of the month?

(プロジェクトは月末までに承認されているでしょうか?)
回答:
We hope it will have been approved by then.

(その時までに承認されていることを望んでいます)

ビジネスでの実用例:

長期プロジェクトの計画:
By Q4, all systems will have been migrated to the new platform.

(第4四半期までに、すべてのシステムは新しいプラットフォームに移行されているでしょう)

納期確認:
A: Will the documents have been translated by Friday?

(文書は金曜日までに翻訳されていますか?)
B: Yes, they will have been completed by Thursday.
(はい、木曜日までに完了しています)

使用場面の注意: 未来完了形は現在完了形や未来形よりも使用頻度が低いです。特に「~までには完了している」という期限付きの約束や見通しを述べる場面で活躍します。

時制ごとの構造一覧表

以下は、受動態の6つの主要な時制を一覧で示したものです。この表を参考に、各時制の構造を確実に整理しましょう。

時制能動態受動態
現在形I send emails.Emails are sent (by me).
過去形I sent emails.Emails were sent (by me).
現在完了I have sent emails.Emails have been sent (by me).
過去完了I had sent emails.Emails had been sent (by me).
未来形I will send emails.Emails will be sent (by me).
未来完了I will have sent emails.Emails will have been sent (by me).

3. 受動態の役割と機能:「何が起こったか」に焦点を当てる

受動態が自然に選ばれる場面

受動態が自然に選ばれる場面は、主に以下のような場合です。

ケース1:行為者が不明または不重要な場合

場面: 誰が実行したかではなく、何が起こったかが重要

能動態(不自然): Someone stole my laptop from the office.
(誰かが私のノートパソコンをオフィスから盗んだ)
「誰か」という情報が不確かで、焦点がぼやけている

受動態(自然): My laptop was stolen from the office.
(私のノートパソコンはオフィスから盗まれた)
何が起こったか(盗まれた)が明確に伝わる

別の例:

  • The contract was signed on Friday.
    (契約は金曜日に署名された)
    誰が署名したか不明、または重要でない

ケース2:行為者よりも、行為の対象や結果に焦点がある場合

場面: ビジネスレポートや公式な発表

能動態: The manager gave 50 employees notice of the policy change.
(マネージャーは50人の従業員にポリシー変更の通知を与えた)

受動態(より焦点が明確): 50 employees were given notice of the policy change.
(50人の従業員はポリシー変更の通知を受け取った)
誰が通知を受け取ったか(50人の従業員)が主な関心事

ケース3:客観性や形式性を保ちたい場合

場面: ビジネスメール、レポート、ニュース

能動態(より個人的): I completed the analysis.
(私は分析を完了した)

受動態(より客観的): The analysis has been completed.
(分析は完了した)
誰が行ったかより、「完了した」という事実が重要

実際のメール例:

Subject: Project Update

The proposal was sent to the client yesterday. The budget was reviewed and approved by the finance team. The next steps will be discussed in tomorrow’s meeting.

(提案は昨日クライアントに送られました。予算は財務チームによってレビューされ、承認されました。次のステップは明日のミーティングで説明されます)

ケース4:「何が」の部分を強調したい場合

能動態: The CEO announced the new strategy.
(CEOが新しい戦略を発表した)

受動態(より強調): The new strategy was announced by the CEO.
(新しい戦略がCEOによって発表された)
「新しい戦略」が文の焦点

4. 動作の受動態と状態の受動態:二つのタイプを理解する

受動態には、実は二つの異なる種類があります。この区別を理解することが、より自然で正確な英語表現につながります。

タイプA:動作の受動態(Passive of action)

これは、動作が進行している、または完了した行為を表します。

構造: Be動詞 + 過去分詞

特徴: 「~される」「~された」という行為や プロセスを表現

例文で理解する

1. 完了した動作:

The email was sent this morning. 
(メールは今朝送られた)
送るという動作が完了した状態

A: Was the report delivered? (レポートは配信されましたか?)
B: Yes, it was delivered yesterday afternoon. (はい、昨日の午後に配信されました)

2. 継続中の動作:進行形の受動態を使う場合

The office is being renovated. 
(オフィスは現在改修工事中である)
改修工事というプロセスが今進行中

A: Can we use the meeting room? (会議室を使えますか?)
B: Not right now. It‘s being painted. (今は使えません。塗装中です)

3. 客観的な事実としての動作:

  • The presentation was given by Sarah. (プレゼンテーションはサラによって行われた)
  • The decision was made by the board. (決定は取締役会によってなされた)

タイプB:状態の受動態(Passive of state)

これは、結果として生じた状態を表します。

構造: Be動詞 + 過去分詞 (形式は同じですが、意味が異なる)

特徴: 「~の状態である」「~された状態」という状態を表現

例文で理解する

1. 完了による状態:

The task is finished. 
(タスクは終了した状態にある)
→ タスクが「完了している」という状態

A: Is everything ready for the meeting? (ミーティングの準備はできていますか?)
B: Yes, all the materials are prepared. (はい、すべての資料は用意された状態です)

2. 動作の結果としての状態:

The door is locked. 
(ドアは鍵がかかっている状態である)
→ 鍵をかけるという動作の結果、今ドアが「鍵がかかっている」状態

The window is broken. 
(窓は壊れた状態である)
→ 誰が壊したかより、窓が「壊れている」という状態に焦点

3. 状態を強調する表現:

  • The project is completed. (プロジェクトは完了した状態にある)
  • Your account is suspended. (あなたのアカウントは停止状態にある)

注:「状態の受動態」は文法書によっては「形容詞的用法」「形容詞化した過去分詞」として扱われることがあります。このタイプ(例:The door is locked.)は、動作というよりは主語の状態を表すため、純粋な受動態(動作)とは区別されます。「状態の受動態」の説明で、「これは厳密には過去分詞が形容詞として主語の状態を説明している用法と解釈されることもありますが、Be動詞 + 過去分詞の形で状態を表現するという点で受動態とセットで理解することが重要です。

動作の受動態 vs 状態の受動態:実践的な違い

同じ文でも、文脈によって解釈が異なる場合があります:

例文:The office is organized.

動作の受動態として解釈:
  • オフィスは(誰かによって)整理されている(プロセスが進行中)
  • 文脈:「今、オフィスの整理が進行中です」
状態の受動態として解釈:
  • オフィスは整理された状態にある、きちんと整理されている
  • 文脈:「オフィスはきちんと整理されています」

より明確に区別する方法

動作の受動態 

「be being + 過去分詞」で進行中であることを明確に

The office is being organized. 
(オフィスは現在整理中です)
動作が今進行中であることが明確

状態の受動態 

そのまま「be + 過去分詞」で状態を表現

The office is organized. 
(オフィスは整理された状態にあります)
状態を描写

実務的な使い分け例

オフィス環境での例:

状況1:改修工事中

The meeting room is being renovated. 
(会議室は現在改修工事中です)
動作の受動態:工事というプロセスが進行中

状況2:改修工事が完了

The meeting room is renovated. または
The meeting room has been renovated. 
(会議室は改修工事が完了した状態です)
状態の受動態:完了した結果としての状態

仕事のプロジェクト例:

状況1:現在進行中

The proposal is being reviewed by the client. 
(提案は現在クライアントによってレビュー中です)
動作の受動態:レビューというプロセスが進行中

実際のメール:

Subject: Proposal Status

The proposal is being reviewed by the client. We expect their feedback by the end of the week.

(提案は現在クライアントによってレビュー中です。週末までにフィードバックをもらう予定です)

状況2:完了した状態

The proposal has been reviewed by the client. 
(提案はクライアントによってレビューされました)
→ 状態の受動態:レビューが完了した状態

実際のメール:

Subject: Proposal Approved

The proposal has been reviewed and approved by the client. We can now move forward with the project.

(提案はクライアントによってレビューされ、承認されました。これでプロジェクトを進めることができます)

文脈による微妙な違い

状況3:結果として完成した状態

Your order is processed. または
Your order has been processed. 
(ご注文は処理されました)
→ 結果として「処理済み」という状態

顧客へのメール例:

Thank you for your order. Your payment has been received and your order is being processed. You will receive a tracking number within 24 hours.

(ご注文ありがとうございます。お支払いは受け取られ、ご注文は処理中です。24時間以内に追跡番号をお知らせします)

5. 実践的な練習:受動態の意識的な使い分け

それでは、ここまでで学んだことを実務的な場面で活用してみましょう。

練習1:能動態から受動態への変換

能動態: The team completed the project on time. (チームはプロジェクトを時間通りに完了した)

受動態: The project was completed on time. (プロジェクトは時間通りに完了した)

使い分け:

  • 能動態は「チームが」という実行者に焦点
  • 受動態は「プロジェクトが完了した」という結果に焦点
  • ビジネスレポートでは、通常「プロジェクトの進捗状況」が重要なので、受動態がより適切

練習2:日常的な職場の会話

シーン: 同僚との打ち合わせ

場合1 – 能動態が適切:

A: Who handled the client complaint? (誰がクライアントの苦情に対応しましたか?)
B: I dealt with it. (私が対応しました)

場合2 – 受動態が適切:

A: Was the client complaint resolved? (クライアントの苦情は解決されましたか?)
B: Yes, it has been resolved. (はい、解決されました) → 「誰が」より「解決されたか」が重要

練習3:状態の受動態の活用

シーン: オフィスの状況報告

動作中:

A: Can I use Desk 5? (デスク5を使えますか?)
B: It‘s being used right now. How about Desk 7? (今使われています。デスク7はどうですか?)

完了した状態:

A: Is the new software installed? (新しいソフトウェアはインストールされましたか?)
B: Yes, all the computers are equipped with the latest version. (はい、すべてのコンピュータは最新版がインストールされています)

練習問題

Part 1:能動態 → 受動態に書き換え

能動態を「自然な受動態」に書き換えてください。必要に応じて “by 〜” を省略可能。

  • The manager approved the new budget yesterday.
  • They will finish the renovation next month.
  • The IT team has updated the software.
  • Someone stole my laptop at the office.
  • They had completed the report before the meeting started.

Part 2:受動態の時制の選択

自然な英文になるように、括弧内の動詞を適切な受動態に変えてください。

  • The documents (submit) every Friday.(習慣)
  • The contract (sign) last Friday.(完了した過去の出来事)
  • The new policy (implement) yet?(現在完了の疑問文)
  • The project (complete) by the end of this month.(未来)
  • The system (update) before the problem was found.(過去完了)

Part 3:否定文・疑問文(受動態)

  • The meeting was held yesterday. → 否定文にしなさい。
  • The report was sent this morning. → 疑問文にしなさい。
  • The new strategy was announced by the CEO. →「何が発表されたのですか?」と尋ねる疑問文に。

Part 4:動作の受動態 or 状態の受動態?

次の文が「動作」か「状態」どちらの受動態か判定してください。
※理由も自分なりに考えてください(解答欄に解説あり)。

  • The office is being renovated.
  • The office is renovated.
  • The door is locked.
  • The proposal is being reviewed by the client.
  • The proposal has been reviewed.

Part 5:文脈で正しい受動態を選ぶ(応用)

A / B どちらが自然か選びなさい。理由は解説で示します。

  • (ミーティング中)
    A: The documents are being printed now.
    B: The documents are printed now.
  • (作業がすでに完了している)
    A: The software is updated.
    B: The software has been updated.

解答

Part 1:能動態 → 受動態に書き換え

  • The new budget was approved yesterday.
    ※by the manager は重要でないため省略が自然。
  • The renovation will be finished next month.
  • The software has been updated.
  • My laptop was stolen at the office.
    ※行為者不明 → 受動態が自然。
  • The report had been completed before the meeting started.

Part 2:受動態の時制の選択

  • The documents are submitted every Friday.
    (現在形:習慣)
  • The contract was signed last Friday.
    (過去の一度きり)
  • Has the new policy been implemented yet?
    (現在完了の受動態)
  • The project will be completed by the end of this month.
    (未来受動)
  • The system had been updated before the problem was found.
    (過去完了:より前の出来事)

Part 3:否定文・疑問文(受動態)

  • The meeting was not held yesterday.
  • Was the report sent this morning?
     → Yes, it was. / No, it wasn’t.
  • What was announced by the CEO?

Part 4:動作の受動態 or 状態の受動態?

  • 動作の受動態
    The office is being renovated.
    =いま改修「されている最中」
  • 状態の受動態
    The office is renovated.
    =改修済みの「状態」にある
  • 状態の受動態
    The door is locked.
    =鍵がかかっている状態
  • 動作の受動態
    The proposal is being reviewed.
    =レビューの「動作が進行中」
  • 状態の受動態(完了状態)
    The proposal has been reviewed.
    =レビュー済みという「状態」

Part 5:文脈で正しい受動態を選ぶ(応用)

  • A が正解:The documents are being printed now.
    → 「今まさに印刷中」=動作の受動態(進行形)
  • B が正解:The software has been updated.
    → 完了+現在結果に注目 → 現在完了受動態が自然
    A の “is updated” は文脈により「状態」だが、IT文脈では不自然。

まとめ

本レッスンでは、受動態の基礎の基礎となる「受動態(Be動詞 + 過去分詞)」について深く掘り下げてきました。

改めて、受動態をマスターするための重要ポイントを再確認しましょう。

重要ポイント要点
構造と目的Be動詞 + 過去分詞。行為者(誰が)よりも動作の対象や結果(何が)に焦点を当てる。
実務での役割行為者が不明・不重要、または客観性や形式性が必要なビジネスレポートや公式な場で活用される。
二つのタイプ動作の受動態(プロセス:is being done)と状態の受動態(結果としての状態:is done)を区別する。

受動態は、単なる文法のルールではなく、情報を伝える際の焦点(フォーカス)を自在に変えるための強力なテクニックです。この焦点の意識が、あなたの英語を「ただ正しい英語」から「伝わる・洗練された英語」へと引き上げます。

📘 受動態を定着させるための学習アドバイス

学んだ知識を「使える力」にするために、以下の実践的なアドバイスを試してみてください。

  1. 能動態→受動態の変換練習: 普段の仕事やニュースで見かけた能動態の文(例:The manager approved the budget.)を、意図的に受動態(例:The budget was approved.)に変換する練習を毎日5文行いましょう。「誰が」を省略した方がより自然になる場面を探すのがコツです。
  2. ビジネス文書の受動態分析: 英語のビジネスメールやレポート、ニュース記事などを読む際、受動態(Be動詞 + 過去分詞)が出てきたら必ずマーカーを引いてください。なぜ著者は能動態ではなく受動態を選んだのか、その文脈と意図を考える訓練をすることで、受動態の「役割」が腹落ちします。
  3. 「状態」の受動態を意識: The door is locked.(状態)や The office is organized.(状態)といった、完了した結果としての状態を表す受動態(過去分詞の形容詞的用法を含む)を、身の回りの状況説明で積極的に使ってみましょう。

受動態の文法理解はこれで完璧です。次回のPart 2では、日常英会話で非常に頻繁に使われる「Get-Passive(Get受動態)」について、そのニュアンスと使い方を学びます。ぜひ続けて学習し、受動態を完全にマスターしましょう!

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