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英会話の教え方|実践編⑨ |FAQ

以前講師からよく聞かれた質問をいくつかあげてみます。

当時の私の回答を書きますが、魔法のような回答ではなく、どちらかと言うと「講師が考え過ぎないように」という意図の方が大きいと思います。

同じクラスでレベル差が大きい

この質問が一番多かったと思います。

グループレッスンを教えている限り、レベル差は確実に存在します。3レベルだろうが、10レベルだろうが、100レベルだろうが関係ありません。どれほど細かくレベル分けしても必ずレベル差が発生します。

英会話のレベル設定は、総合力です。語彙力、文法力、リスニング、発音、即答力などの組み合わせで総合的に判断します。同じレベルのクラスを受けている生徒でも語彙はあるけど文法弱い人、リスニングは良いけど語彙力低い人、などいくらでもバリエーションが発生します。

例えば

生徒A:語彙5、文法1、リスニング1、発音3、即答力5

生徒B:語彙1、文法5、リスニング5、発音3、即答力1

だとすると、

生徒Aも生徒Bもレベル3ですね。

恐らく生徒Aからすると、生徒Bは全然話せない人に見えます。生徒Bからすると生徒Aは出鱈目な英語で質問に対して頓珍漢な事ばかり言っている人に見えます。

極端な例を出しましたが、レベル設定は間違っていません。

魔法のような回答ではないですが、講師が意識することは以下になります。

  • グループレッスンである限り、必ずレベル差がある
  • 可能な限り、個々の生徒の弱点を把握する
  • 弱点が目立たず、得意な分野を生かせるようにレッスンを進める

講師としては、「なんとか良いレッスンをしたい」という気持ちで質問していると思いますが、レベル差は必ず存在するもの、そしてグループレッスンを選んだのは生徒自身だということを念頭にレッスンをすることが大切です。

生徒が話さない

この質問もよく聞かれました。

確かに英会話のレッスンで生徒が話してくれないとレッスンになりませんよね。

まず「なぜ話さないのか」、その原因を探ります。

  • リスニングが弱い
  • 語彙力が低い
  • 完璧な英語で話そうとする
  • 周りの人が気になる
  • そもそも無口だ

「リスニングが弱い」とか、「語彙力が低い」が原因であれば、レッスンで対応出来ますよね。

クラスルームイングリッシュを改善したり、レッスンの構成をしっかりすれば良いだけです。

「完璧な英語で話そうとする」が原因だとちょっと厄介です。この手の人は必ずいるのですが、英語が上達しにくいタイプです。できる限り、レッスンの前後で話をして、英語の学習方法を理解してもらうしかないです。少し精神論になってしまいますが、講師が熱心に丁寧に説明すれば理解して貰えます。

「周りの人が気になる」タイプも日本人には多いですね。これも特別な方法はありません。気にするなって言ったって気になるんだから仕方ありません。講師としては過度に反応せず、「よく褒める」、「褒め続ける」だけです。

そして「そもそも無口だ」という人。20人に一人くらいの割合でいます。これはどちらかと言うと講師側の思い込みです。一般的に英会話の講師をするような人は社交的で外交的な人が多く、表情豊かでよく話します。ただし、生徒には色々なタイプがいますので無口な人もいます。本人からすると日本語でも無口なので英語でも無口で当たり前という感覚かもしれません。

私も自分で教えていた時代に、非常に無口な高校生の女の子がいて、「きっとすぐに辞めてしまうだろうな」と半分諦めていた生徒がいました。レッスン中も全然楽しそうにしていなかったし、ほとんど話していませんでした。レッスンを開始して半年くらい経った頃に、お母さんと一緒に来校し、お礼を言われました。

「AEONにいくのが本当に楽しくて家でも毎日話しています。おかげさまで学校の成績も上がりました。」私の方は、????です。同じようなケースは何回かあったのですが、人の表現方法は必ずしも自分の基準で考えてはいけないと言うことです。

レッスン中あまり話さなくても、その人は満足しているかもしれません。遅刻や欠席しない限り大丈夫です。ただし、自分から積極的に話しかけるようにしてください。

生徒間の仲が悪い

グループレッスンは難しいですよね。

一クラスの中に高校生、OLさん、主婦、リタイヤした人、など様々な人がいます。レベル差もあるし、目的もモチベーションも違います。

生徒も人間なので、合う人合わない人が必ず出てきます。レッスン中にあからさまに嫌な顔をしてくれる人はまだ助かります。直接相談して、レッスンの曜日や時間を変更するだけで問題が解決する場合もあります。

ただし、表情に出さず何も言わずに辞めてしまう人もいます。せっかく英語を話せるようになろうと思って入学してくれたのに本当に申し訳ない結果です。

もしレッスン中に気になることがあったら、レッスン終了後に話してみてください。講師から話しを持ちかけたら、話してくれるケースがほとんどです。

稀にストーカーみたいになってしまう人もいます。その場合はスクールの管理者に相談してください。人間の感情は難しい問題ですが、スクールという公共の場で他の人が迷惑に思うことを見過ごすことはできません。私も過去に何回か、迷惑行為に近い行動を取っていた生徒と直接話をし退会してもらったことがあります。

一人で話し続ける生徒がいる

時々いますよね、他のクラスメートの事を気にせず、ずっと話し続ける人。レッスンの内容に関してであればまだ良いのですが時々レッスンと関係のない事を話し続ける場合があります。

対応方法は二つです。

  • レッスン中は講師が自分でコントロールする。こういうケースの場合、基本的に指名してから答えてもらうようにします。万が一話し始めても、「今はBさんに聞いています」とスパッと切ってしまいます。またレッスンと関係ない話を始めたら、「その話はレッスン後にしましょう」と切ってしまいます。ただし、表情と声のトーンは優しく話します。これはある程度経験を積まないと難しいかもしれません。
  • レッスン後に話をして、グループレッスンを受講しているので他の生徒と話す機会を均等にしないといけない。もしもっと話したいのであればプライベートレッスンはどうですか?と見積もりを出します。もし新人で難しかったら、スクールのマネージャーに対応してもらってください。

また、話し続ける行為がアピールの場合もあります。その人が「このレベルは自分には簡単すぎる。上のレベルに上がりたい」というアピールです。レベルアップさせても問題ないのであれば、新しいテキストを買ってもらってレベルアップしてもらった方が良い場合も多々あります。

予習してくれない

予習してくれないと困りますよね。

私も自分自身、予習を前提にレッスンしていましたので、予習してきてくれないと困りました。テキストに書いてある単語の意味をレッスン中に説明するほど無駄な時間はありません。

レッスン中の対応としては、質問の振り方などを工夫してその生徒が答えられるようにレッスンを進めていきます。レッスン後に予習の仕方を説明します。

それでも予習してくれない場合はレッスン前に日本語で教えてしまいます。レッスン開始前に来る人なら直前に、ギリギリに来る人ならレッスン終了後に日本語で教えてしまいます。普通の人は少しずつ予習してくるようになります。

それでも予習しない人は、仕方ないですね。

ある程度の規模のスクールの場合は、そのタイプの生徒は他の講師のレッスンへ移動していきます。講師も色々なタイプがいるので、私のように予習前提に少し厳しめのレッスンをする講師、ほんわか、のんびりゆるいレッスンをする講師、どちらが良い悪いではなく、タイプの違いです。

生徒も選択肢の中から自分にあった講師を選ぶことができます。全ての生徒に100%満足してもらうことはできませんので、親身にレッスンしている限り、ある程度割り切って考えても大丈夫です。

レベルが合わない

最初の質問にあった「レベル差がある」とは違う問題です。

理由は二つ考えられます。

  • 入会時のレベル設定ミス
  • 初心者からレベルアップしてきた場合

英会話のレベル設定は、筆記テストを併用することが多いのですが、基本的にオーラルインタビューで設定します。講師が生徒と会話をしながらその受け答えで判断しますので、100%の精度ではありません。特に、話しなれていて自己紹介が上手い生徒や発音のいい生徒に騙される傾向があります。

明らかにレベル設定ミスであれば、他の講師やスクールのマネージャーと相談してクラス変更した方が良いでしょう。

初心者クラスから半自動的にレベルアップしてきた場合も考えられます。学校教育の英語の貯金を使い果たしてきてしまったケースなので、ある意味仕方ありません。レッスン後にしっかりと話して、リーディングや文法の勉強、ライティングなどを進めてインプット量を増やしていく必要があります

初心者からレベルアップしてきた場合は、何年もそのスクールに通ってくれている訳なのでしっかりと話をすれば大丈夫です。これまで成長してきた過程を評価し、さらにレベルアップするために必要なステップとして捉えてもらいましょう。

態度が悪い

私は男性で背も高いので、態度が悪い生徒に出会ったことは個人的にはありません。ただし、講師から相談を受けた事は何回かあります。

これに関しては、態度の悪い生徒のイメージが掴めなかったので、あまり良い回答ができなかったのですが、なぜ態度が悪いと思ったのかを考えてみると良いと思います。

  • 英語を勉強したくない(会社命令で受講している)
  • 弱みを見せたくない(英語ができない姿を見せたくない)
  • 何かに不満がある

「英語を勉強したくない」「弱みを見せたくない」は気にする必要ありません。何も変えずにこれまで通りレッスンしましょう。

「何かに不満がある」のような気がしたら、レッスン後に話してみてください。直接話しにくければ、スクールスタッフに相談しましょう。

以上、講師からよく聞かれた質問に対する回答を書いてみました。大体において、講師は真面目なので、自分の力でなんとかしようと頑張ります。

大変素晴らしい事なのですが、ボランティアではありませんので、できる事と出来ないことがあります。例えば、グループレッスンで10人のクラスと3人のクラス、プライベートレッスンでは料金が違います。当然ながら同じ内容は提供できません。

ラーメンとチャーシュー麺の違いみたいなものです。

そのスクールシステムの中で最善の努力をすれば大丈夫です。

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