ある程度英語を勉強してきて、「コミュニケーション取れるようになったけど、伸び悩みしている。」「努力しているつもりだけど、いつまで経っても中級レベルのまま」と感じている人も多いと思います。
「中級者」の場合は、「ある程度聞き取る」事が出来、「ある程度話す」事が出来、「ある程度コミュニケーションを取る」事が出来ます。それなりに楽しめるのですが、多くの場合、「伸び悩み」の時期を味わう事が多いようです。「ある程度」上達したので、その次のレベルに到達するまでに時間がかかるのです。実はこのような悩みを持っている中級者が非常に多いのです。
それには理由があります。初心者から中級者になるまで効果的だった学習方法が、この段階になるとあまり役に立たないのです。多分この記事を読んでいる「中級レベル」の方達も、本当は薄々気づいているのだと思います。「このままでは上級レベルになれない」と。ここでは、そんな「中級者」の学習方法に限定して、効果的な方法をお伝えしていきます。
それでは、まず最初に「中級者」とはどういうレベルなのか、もう一度確認してみましょう。
1. 中級者とは
まず最初に”中級者”の定義を再確認してみましょう。こんな事が出来るレベルです。あまり厳密に考える必要はありません。「大体こんなもん」的な感覚で十分です。
1) 中級者の言語レベル
まず最初に、文法項目や語彙レベルなどに代表される、「言語レベル」を見ていきましょう。典型的な日本人学習者を想定してお話ししているので、一般的な「学校教育」の進め方に沿って、「英会話・英語コミュニケーション」のスキルで求められる言語レベルを確認します。先ほども書きましたが、あまり厳密に考える必要はありません。
中級者の場合、中学校3年~高校1年くらいの英語の授業で出てくる内容が中心になります。このリストの文法項目を見て簡単な例文が思い浮かびますか?
すぐに例文が出てくるようであれば、かなり優秀な「中級者」です。「英会話・英語コミュニケーション」のスキルとして考えた場合、文法力も“productive”なレベルで考えるので、「何となく理解している」と言うことではなく、「自分の言葉として使いこなせる」レベルを意味しています。
と言っても、これらは到達目標ですので、何の問題もなく、ほとんどミスもせず、全ての文法事項を使いこなせるのであれば、もう「中級者」ではなく、「上級者」レベルです。
- 現在完了形
- 受動態
- 不定詞・動名詞・現在分詞・過去分詞
- 関係代名詞・関係副詞
- 間接話法・間接疑問文・時制の一致
- 仮定法など
- 中学3年〜高校1年レベル
- 人の外見・性格・特徴を表現する語句
- テレビ・映画・スポーツなど趣味を説明する語句
- 学校や仕事の具体的な内容を説明する語句
2)中級者のコミュニケーションレベル
また、実際に英語でコミュニケーションを取る場合、こんな感覚を持つタイプです。文法項目や語彙レベルと比較すると、「かなり感覚的」な印象を受けると思いますが、乱暴な言い方をすると、「コミュニケーションってそう言うもの」です。
- 英語で話していて、「何となく相手の言っていることを大まかに理解できる」
- テレビドラマやYoutube動画などを、知っている単語・フレーズを頼りに「何となく楽しめる」
- 外国人と英語で話す事にあまり抵抗を感じなく、楽しめる
- 「大まかに理解した」内容を基に、単語・フレーズだけでなく、短いセンテンスで答えられる
ここでの中級者はだいたいこんな感じです。「こんな感じ」と言われると、無責任な印象を受けるかもしれませんが、英語力と一口に言っても、語彙・文法・読解・リスニング・発音・知識など様々な要素が絡み合い、「中級者」という範疇の中でもその一つ一つの個々のスキルのレベルに個人差があります。実際には大雑把な分け方しかできませんので、「大体こんな感じ」で十分です。
この中級者の特徴として、「なんとなく」、「大まかに」、「楽しめる」と言うことがポイントになります。初級者の場合、必要以上に「細部」が気になってしまい、「一つ知らない単語が出てきてしまうと、全てわからなくなってしまう」と言う特徴があります。「わからない事があると、不安でしょうがない」、「怖くて、楽しむどころじゃない」と言う感じでしょうか。
これが、中級レベルになると、ある意味「慣れ」と「割り切り」が出てきます。「細部」が理解できない、聞き取れない、と言うことに「慣れ」てきます。「大まかに大体のことが分かれば、それで大丈夫」と言う感覚になっています。そのくらいのコミュニケーションレベルで、「楽しめる」ようになっています。
2. なぜ中級者なのか?
1)中級者が本格的に勉強して上級者になろうと思った場合、最初に考えるべきこと
中級レベルになると、ある程度楽しんで英語に触れ、外国人とも英語でコミュニケーションが取れるようになってきます。英語学習を続けていく中で、「一番楽しい時期」かもしれません。
上級レベルに、つまり英語で自分の言いたいことを伝えられ、相手の言う事も理解でき、仕事でも十分使えるレベル、なりたいと思う人も多いでしょう。このレベルになると目の前に開けてくる世界は全く変わってきます。ニュース、スポーツ、エンターテインメント、文学など、英語で得られる情報量は格段に増えます。英語を勉強し始めた人から見ると夢のような世界だと思います。
ただし、所謂「中級レベル」から「上級レベル」になるには、膨大な学習時間が必要になります。例えば、英米の大学に正規留学するとします。1日12時間、週5日、年間8カ月勉強すると、4年間で7,680時間勉強する事になります。同じ時間数を得るためには、毎日6時間ずつ勉強したとしても3年半かかります。目安として、1日6時間、3年半程度勉強する必要があると思ってください。
このくらいの時間を掛けても「上級レベルの英語を身につけたい」と心の底から思うのであれば、ぜひ頑張ってください。この後、その方法を詳しく説明します。この段階で、「1日6時間で3年半かぁ。。。出来るかな?」と言う気持ちになったのなら、お勧めしません。これまでに多くの学習者を見てきましたが、「悩むような状態」であれば、ほぼ途中で挫折します。「中級者の学習方法① - “外国人とコミュニケーションとれるようになる”事が最終目標の場合」を参考にしてください。
2) なぜ中級レベルなのか
それでは、なぜ中級レベルなのかを考えてみましょう。もしかすると、「中級レベル」の状態がしばらく続いているかもしれません。ここで一度目を閉じて考えてみてください。
「なぜ自分は中級レベルのままなのか?」
本当は答えが分かっていますよね?
私自身、これまで多くの学習者(スクールスタッフや英会話講師を含む)に接してきましたが、ほぼ全員、自分自身でその理由が分かっています。
- 単語力が足らない。
- 文法力が足らない。
- Listeningが曖昧。
- 読解力がない。
- 英文を書く事に自信がない。
- 難しい話題だと話せない。
全て、当てはまりませんか?
分かっているのに、「中級レベルのまま」なのです。なぜ「中級レベルのまま」なのか、それは、「理由が分かっているのに放置しているから」です。
解決法は、非常にシンプルで簡単です。
「漏らさず、全てをやりつくす!」
大変だと思いますか?
大したことありません。1日6時間、3年半程度勉強するだけです。もう一度繰り返します。この段階で、「1日6時間で3年半かぁ。。。出来るかな?」と言う気持ちになったのなら、お勧めしません。これまでに多くの学習者を見てきましたが、「悩むような状態」であれば、ほぼ途中で挫折します。「中級者の学習方法① - “外国人とコミュニケーションとれるようになる”事が最終目標の場合」を参考にしてください。
3. 具体的な学習方法① - 第一段階
それでは、具体的な学習方法を考えてみましょう。繰り返しますが、1日6時間、3年半程度勉強する必要があると思ってください。ポイントはシンプルです。
「漏らさず、全てをやりつくす!」
1)基本を復習する
まず、基本を復習してください。「中級レベル」の状態がしばらく続いている場合は特にそうですが、変な癖がついていたり、思い込みで勘違いしてしまっていることがあります。「急がば回れ」です。基本を復習する事が結局早道になります。「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」で説明した方法を全て実行してください。これだけで1年掛かっても構いません。読む、書く、聞く、話す、全てにおいて基本語彙と基本文法は必須です。また、英英辞典で意味がつかめないと話になりません。これから速読の練習をしていきますので、簡単な英語を素早く読み、英語のまま理解できないようだと付いてこれないと思います。是非、ここでしっかりと「基本を復習」してください。ここから先は「基本を復習」したことを前提として説明していきます。
2)Reading:多読・速読
「基本を復習」したことを前提に説明します。「中級から上級にレベルアップしたい」と思った場合、「ひたすら話す練習をする」とか「英会話レッスン」特に「いわゆるフリーカンバセーション」タイプのレッスンを取り続ける、と言う人がいますが、根本的に間違った方法です。「中級レベル」の状態がしばらく続いている場合は、「インプットの貯金を使い尽くした状態」の場合がほとんどです。その状態で「アウトプットを続けよう」としても効果はありません。日本国内で英語を勉強する場合、圧倒的に効率の良い「インプット」の方法は、Readingです。
中級レベルの人に良くあるケースは、「ほとんど読まない」というタイプです。英文を読むのは英会話のテキストだけ、と言う状態ではなかなか上達できません。
1日6時間の学習時間を取るのであれば、そのうちの3-4時間はReadingにあててください。例えば、英米の大学に正規留学したのであれば、1日12時間のうち8時間くらい読解に費やしているかもしれません。
① 選び方のポイント
では「何を読めばよいのか」と言う事ですが、最初の数カ月は何でも構いません。好きな物を読んでください。しつこいようですが、「基本を復習」したことを前提に説明します。必要に応じて英英辞典を使い、学習者用のReadersであれば、和訳することなく(頭の中でも)英文が読めるはずですので、ペーパーバックに進んでください。読む事が苦にならないジャンルを選んでください。面白くないと思うものを読んでいても続きません。あくまでも英語の勉強なのでジャンルは選びません。(少なくとも最初の数カ月は)以下、選び方のポイントです。
- 興味ある分野を選ぶ
- 知識のある分野を選ぶ
- 辞書を使って意味を調べない
- 無作為に開いてみて、知らない単語の数が1ページに5語以下
- 最初のうちは、薄めの本を選ぶ
以下、簡単位説明します。
- 興味ある分野を選ぶ
-
興味のない分野は読んでいて面白くないと思います。1日6時間の学習時間のうち、毎日3時間程度Readingに費やすので、楽しく感じられないと続きません。
- 知識のある分野を選ぶ
-
基本的に多読の一番の目的は、「語彙力強化」です。ただし、中級者の場合圧倒的に語彙力不足ですので、全く知らない分野の書物だと意味が分からないと思います。「知識のある分野」であれば、知識を頼りにかなり意味を推測できるはずです。「日本語で読んだことのある作品」を選ぶのも一つの手段です。
- 辞書を使って意味を調べない
-
ここで言うReadingは、「多読・速読」の類です。速く大量に読む事で「インプットの貯金」を蓄えます。いちいち辞書を使って調べているようでは時間が掛かって仕方がありません。基本的に辞書は使わずに読み進みます。
- 無作為に開いてみて、知らない単語の数が1ページに5語以下
-
一般的に「知らない単語の数が1ページに5語以下」であれば、辞書を引いて意味を調べなくても読み進められます。そこまで細部にこだわって読む必要はありません。日本語で小説を読むときも、知らない単語は読み飛ばしているはずです。いまいちピンとこない方は、小中学校の国語の教科書に出てきた、夏目漱石や芥川龍之介の小説を開いてみてください。知らない単語がたくさん出ている事に驚くと思います。
- 最初のうちは、薄めの本を選ぶ
-
とは言え、中級者の人にペーパーバックはハードルが高いと思います。途中で挫折してしまうといけないので、最初のうちは薄い本を読むようにしてください。1冊2冊と続けていくと自信がついてきますので、厚めの本を選んでも大丈夫です。
② 注意点
題材を選んだら「速読・多読」を始めます。以下、何点か注意点があります。
- 辞書を使わない
-
既に説明した通りです。辞書を使わずにどんどん読み進んで下さい。
- 速度を測る
-
本を選んだら、まず最初に1ページの単語数を確認しましょう。1行に16単語あるのであれば、6行で約100単語です。1ページに30行あるとすると1ページあたりに500単語ですね。目安は1分100単語です。最初のうちは1分100単語を目標にしてみてましょう。1ページ500単語の本であれば、1時間に12ページ読めるはずです。慣れてきたら、1時間に20-30ページくらい読めるようにしましょう。アナウンサーがニュースを読むときに話す速度が1分間に120-150単語程度と言う話を聞いたことがあります。つまり1分100単語のペースで読めない限りは、同じ内容の英文を聞いても理解できません。
- 同じ作家の作品をいくつか読む
-
作家にはそれぞれ文章の癖があります。1冊読み終えるころには、その作家の癖にある程度慣れてきているので、読みやすいと思います。何冊か同じ作家の作品を読んでみてください。
③ 多読・速読の効果
「辞書を使わないで読む」と言う話をすると、「それでは語彙力増えないんじゃないですか?」と質問されることがあります。
増えます!
主な理由は以下になります。
- 1. 自然と増える
-
非常に無責任に聞こえるかもしれませんが、読んでいるうちに自然と増えます。知らない単語に出会った時、文脈からその意味を推測します。最初にその単語に出会った時には意味が分からないかもしれませんが、同じ単語に2回目3回目に出会った時にはある程度意味が分かるものです。また、違う文脈で出会っているので、その単語に対する理解度が高くなります。語彙の覚え方としては、非常に自然なプロセスであり、無理やり詰め込んでいる訳ではないので定着度も高くなります。
この例を見てみて下さい。
●●●は非常に困る。生活必需品が毎月毎月上がってきている。賃金上昇が●●●に追いつかないので、実質的には収入減だ。●●●の影響で買い控えが進み、企業の業績も悪化している。
●●●=物価高
少しイメージ湧きましたか?
自然と意味を推測するので知らない単語を覚えていきます。
- 2. PassiveからActiveへ
-
Passive Vocabularyとは、「見覚えのある単語」と言う意味です。しばらく考えてみてなんとか思い出せるようなレベルの単語です。それにたいしてActive Vocabularyとは「自分の言葉として使いこなせる単語」です。当然ながら、どんな人でもPassive Vocabularyの数の方が、Active Vocabularyより多くなります。ペーパーテストならPassive Vocabularyで対応できるのですが、コミュニケーションの実践の場で必要になるのはActive Vocabularyの方です。
多読・速読を続けていくと、これまでPassive Vocabularyだった単語がActive Vocabularyに昇華します。これはシンプルな理屈です。単純にその単語に出会う回数が増えるからです。
簡単な例で説明します。
“What’s your name?”
実際にこの表現をどんな場合で使うかは別として、この表現をしらない日本人はほぼゼロだと思います。英語が苦手な初心者でも、聞いた瞬間に意味がわかると思います。
何故ですか?
単純にこの“What’s your name?”という表現を聞いた回数が多いからです。更に一つ一つの単語、what, is, your, nameについても、そして疑問詞を伴うBe動詞の疑問文という文型も含めて、出会った回数が多いのです。
なので、この“What’s your name?”という表現を聞いた瞬間に意味がわかります。文法的に解読する必要ありません。この表現は、完全にActive Vocabularyのレベルになります。
なので、どんなに難しい語彙・表現でも、その単語に「出会った回数」が多くなれば、Active Vocabularyに昇華します。多読・速読を続けていくとPassive Vocabularyが、Active Vocabularyに変化し、昇華します。
- 3. 英英辞典
-
多読・速読の場合は、基本的に辞書を使って意味を調べません。しかし、何回も出てきて意味が分からずに、「気になって仕方ない」という状態であれば、辞書を使って調べても構いません。その際、必ず英英辞典を使ってください。英英辞典を使うと、一般的に基本3000単語程度でその意味を説明します。この基本3000単語にも繰り返し出会うので1-2年英英辞典を使い続けると基本3000単語も自分の言葉として使えるようになります。
多読・速読は非常に大切な学習方法です。特に「中級者から上級者にステップアップ」する上で一番最初に取り組むべき事項になります。まずペーパーバック100冊を突破しましょう。その後、分野を拡大していきます。
3) Writing:日記・メール
「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」で説明した日記の書き方をマスターした前提で説明します。まだ実行していない場合は、必ずこの方法をマスターしてから先に進んでください。
日記は継続してください。「Reading:速読・多読」で読んだ内容も少しずつ日記で書いてみてください。ただし、読んだ本を取り出して引用したりする必要はありません。あくまでも覚えている範囲で書いていしまって大丈夫です。ここでのWritingのポイントは「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」を「継続する」と言う事です。既に早く書けるようになっていると思いますので、あまり時間を掛けずに取り組んで下さい。
何点か、注意点です。
- 絶対に和英辞典を使わない
-
和英辞典を使って「英作文」すると、ほぼ100%の確率で「ジャパニーズイングリッシュ」になります。自分自身で完全に使いこなせる文型と語彙だけで表現してください。
- 同じことを書いても構わない
-
日記を書いていると毎日同じことになってしまう事があると思います。全く構いません。文学作品を書いている訳ではなく、あくまでも英語の練習です。同じことを繰り返せば、繰り返す程、自分の言葉として定着していきます。むしろ同じことを繰り返した方が効果的です。ただし、和英辞典を使って無理やり「英作文」した文章を繰り返してしまうと、「変な英語」が定着して悪い癖がついてしまいますので注意してください。
また、もしメールを送る相手がいるのであれば、積極的にメールのやり取りをしてください。自分が書く英文だけではなく、相手の書く英文からも吸収できます。メールを送る相手がいないのであれば、Youtubeやインスタ、Facebookなどで積極的にコメントしてみましょう。
こうやって、日記やメールを書いていると、「どう表現したらいいか分からない!」と言う事が良く出てくると思います。先程説明したように、「辞書を使って無理やり英作文」はNGです。
「どう表現したらいいか分からない!」と言う気持ちがあれば、多読・速読、またはこの後説明するListeningを重ねているうちに、必要な表現に出会うときが出てきます。その瞬間に「あ、こう言えば良いんだ!」とすんなりと頭に入ってきますので心配いりません。
ここまでが第一段階です。最初の半年から1年くらいは、この第一段階に取り組んで下さい。
4. 具体的な学習方法② - 第二段階
1)Reading:精読
「またReadingか!」と思うかもしれませんが、Readingが非常に大切なのです。そして多くの中級者に圧倒的に足りていない部分です。分かりやすく説明するためにまた留学を例にとります。英米の大学に正規留学すると膨大な量のReadingが課せられます。日々の学習の中で、自然と速読できるようになります。出来ないと追いつかないからです。また課題をこなすためには当然ながら精読も必要になります。
精読は、「多読・速読」とは異なり、「正確に読み取る」作業になります。イメージしやすいのは高校の英語の授業や大学入試ですね。まぁ、そのまんまです。大学入試の受験勉強をすると思ってもらえれば大丈夫です。
特に説明の必要ないかもしれませんが、一つ例を出します。
On my way home, I saw a woman that I met at the party my boss held a few weeks ago, which I should not have gone to in the first place.
この場合であれば、
主語:I 動詞:saw 目的語:a woman
このS+V+Oがこの文の核になります。 これを見た瞬間、「SVOか…」と拒否反応を示す人が出てくるかもしれませんが、避けては通れません。
関係詞が修飾 関係代名詞:a woman that ~ 関係代名詞:the party (which) my boss held 関係代名詞:which I should ~
副詞句が修飾 副詞句:on my way home
その他に、代名詞などがあれば、それが何を言い換えているのか、など、文の構造を正確に理解する練習です。
和訳する必要はありませんが、文の構造を理解するのが目的なので、最低限、S,V, O, C, OO, OCなど記入し、修飾語句がどの言葉を修飾しているのか分かるように記入していきましょう。難しい文章もあるかもしれませんが、隅から隅まで100%理解できるまで、頭を絞り考え抜きましょう。考えるプロセスが大切なのであきらめずにひたすら考え抜きます。
ただし、「多読・速読」と異なり、精読に関しては誰か英語力の高い人にチェックしてもらった方が良いでしょう。理想的には英語の先生とかに見て貰えれば良いのですが、環境的に難しい場合は、詳しい解説付きの読解練習問題集のような物で勉強すると良いでしょう。
もし、大学入試レベルの読解問題集が難し過ぎる場合は、高校入試長文問題集から始めてください。その場合でも、最終的には大学入試(難関校レベル)の長文読解問題集を使用してください。
大学入試レベルになると語彙レベルも高くなるので語彙力も付きます。語彙もしっかりと増やしていってください。この場合の語彙レベルはPassive Vocabularyで構いません。大学入試で語彙を増やしておくと、今後練習するニュースや雑誌記事、本格的な文学作品を読む時非常に役に立ちます。
この精読で一番身につくのは文法力です。文法力強化が目的です。「中級レベル」の特徴として、「なんとなく大雑把に理解」してしまう傾向があります。それはそれで良いのですが、上級レベルにステップアップするためには、相手の言う事を正確に理解する力を伸ばす必要があります。これが出来ないと、正確なコミュニケーションは成り立ちません。読んで理解できない事は、聞いて理解できませんので、精読をする事で「正確に理解する」力を伸ばしていきます。
速読・多読の場合は、「辞書を使わないで読み進む」と説明しましたが、精読の場合は、知らない単語、あやふやな単語は全て辞書で調べてください。辞書を使う場合は、「単に意味を調べる」と言う使い方ではなく、その単語の項目を隅から隅まで読んでください。必ず、以下の点をチェックしましょう。
- 品詞
- 意味
- 例文/用例
- 派生語
- 類義語
例えば、attorneyと言う単語の意味を調べるのであれば、少なくともこのくらいは辞書に出ていると思います。
attorney noun
/əˈtɜːni/
/əˈtɜːrni/
- (especially US English) a lawyer, especially one who can act for somebody in court
- The prosecuting attorney began with a short opening statement.
- More About
lawyers
- Lawyer is a general term for a person who is qualified to advise people about the law, to prepare legal documents for them and/ or to represent them in a court of law.
- In England and Wales, a lawyer who is qualified to speak in the higher courts of law is called a barrister. In Scotland a barrister is called an advocate.
- In North American Englishattorney is a more formal word used for a lawyer and is used especially in job titles:
- the District Attorney
- Counsel is the formal legal word used for a lawyer who is representing someone in court:
- counsel for the prosecution
- Solicitor is the British English term for a lawyer who gives legal advice and prepares documents, for example when you are buying a house, and sometimes has the right to speak in a court of law.
- In North American Englishsolicitor is only used in the titles of some lawyers who work for the government:
- the Solicitor General
- A notary is a person, often but not necessarily a lawyer, who has official authority to be a witness when somebody signs a document and to make the document legally acceptable.
SEE ALSO district attorney
Extra Examples
- Acting on the advice of his attorney, he remained silent.
- Consult an attorney whenever you make a major decision affecting your estate.
- Her attorney filed a motion for an injunction.
- Attorneys argued that prosecutors never proved who sent the email.
- He fired his court-appointed attorney and began representing himself.
- Army attorneys argued for a general discharge.
- He hired a high-profile defense attorney to represent him.
- He is a practicing family law attorney with years of experience.
- Your attorney may advise you to accept a cash settlement.
- an attorney specializing in entertainment law
- He had a meeting with a leading Washington criminal defence attorney.
- TOPICS JobsC1, Law and justiceC1
Oxford Collocations Dictionary
adjective
- defense prosecuting district…
- verb + attorney
- hire retain appoint…
- attorney + verb
- represent somebody practice something specialize in something…
- See full entry
- a person who is given the power to act for another person in business or legal matters
- She was made her father’s attorney when he became ill.
- SEE ALSO power of attorney
TOPICS BusinessC1- (South African English) a solicitor (= a lawyer who prepares legal documents and advises on legal matters)
- Word Origin
See attorney in the Oxford Advanced American Dictionary
Check pronunciation: attorney
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/
自分なりに単語帳を作っていくと良いでしょう。品詞の区別が難しい様でしたら、文法書で確認してください。文法の勉強の仕方はこの後説明しますが、品詞と文型は必ず最初に把握しておく必要があります。あまりピンと来なくても、派生語を確認する癖をつけていくと数ヶ月程度で品詞の感覚もついてくると思います。
また、面倒くさがらずに例文にも全て目を通してください。できれば例文も単語帳に書き写し音読すると良いでしょう。英英辞典の場合、単語の定義で意味が取りづらくても例文をいくつか確認しているうちに、意味がつかめてくる場合があります。単語にはそれぞれ相性の良い語句がありますので、例文を読むとその単語と良く一緒に使われるタイプの語句を把握することができます。
「単語の意味を調べる」と言う作業の中で、この一連の流れを実行するかしないかで、数ヶ月の語彙力、英語力に大きな違いが出てきます。必ず、精読を始める初日から実行しましょう。
2) 文法
しつこい様ですが、「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」で中学英語の基本文法を完全に習得した前提で説明します。
まず、使いやすい文法書を一つ選んでください。おすすめの書籍に関しては、「英語・英会話教材」のカテゴリーで書いています。
① 準備
文法書に限らずですが、本の最初から最後まで学習することは非常に大変です。なので、必要な文法事項、気になった事項のみ、その都度学習していきます。ただし、必要不可欠な項目がいくつかありますので、まず最初にしっかりと確認してください。
- 品詞の違い
- 文型
簡単に説明します。
- 品詞の違い
-
初心者に限らず、中級レベルの学習者も、意外と品詞の違いを理解してない人が数多く見受けられます。より複雑な文型や文法事項を学ぶ上で絶対に理解しておく必要がありますので、最初に確認してください。
- 名詞
- 動詞
- 形容詞
- 副詞
- 代名詞
- 前置詞
- 冠詞
- 接続詞
- 文型
-
精読を進めていくと理解できると思いますが、「英文を理解できない」「意味がつかめない」と言う時、ほとんどの場合はその文章の文型が把握できていない場合です。まず基本5文型を正確に理解しましょう。
- S + V
- S + V + C
- S + V + O
- S + V + O + O
- S + V + O + C
この「品詞」と「文型」の二つは、基本中の基本ですので、しっかりと把握してから先に進んでください。
② 学習方法
もう一度繰り返します。「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」で中学英語の基本文法を完全に習得した前提で説明します。これが出来ていないと、ここから先の説明が無意味になります。少しでも自信がなければ、必ず習得してから先へ進んでください。
精読を進めていくと、自分の中で「曖昧な文法知識」であったり、「苦手な文法事項」「忘れてしまっている文法」などに気づくと思います。
「中級レベルから上級レベルへステップアップ」する上で、一番大切なことは、「苦手な事」や「自信のない事」を放置しない事です。すぐに文法書で確認しましょう。例えば、冠詞が苦手だとします。日本人にとって感覚的に難しい事項なので、苦手で当たり前です。以下の順に学習します。
説明を読むと共に、練習問題も全部行いましょう。省エネせずに、練習問題の答えはノートなどに書き、しっかりと練習してください。
一度読み終わった本で大丈夫です。「冠詞」だけハイライトしていきます。定冠詞は青、不定冠詞は黄色、など、自分なりのルールを決めてハイライトしてみてください。なぜ定冠詞なのか、なぜ不定冠詞なのか、文法書に書いてあったルールを思い出しながら、ハイライトします。一冊終わる頃にはかなり感覚的につかめてくると思います。
もう一度文法書で「冠詞」の章をやり直します。
練習問題も端折らずに全てこなしてください。最初に読んだ時にはよく理解できなかったことも、わかる様になっているはずです。理由はシンプルです。速読用のテキストを1冊ハイライトしている過程で、数多くの「実例」に出会ってきたからです。文法事項がよく理解できない場合は、多くの場合「実例」不足が原因です。このくらい「冠詞」に取り組んでいくと、英語を読んだり聞いたりする時に、自然と意識が「冠詞」に向く様になります。そのため、数ヶ月後には「冠詞」に自信持てる様になるでしょう。
同じ要領で、「可算・不可算名詞」「動名詞・不定詞」「仮定法」「間接話法」「倒置・挿入・省略」など、苦手な項目を、精読などで出会った都度、一つずつ潰していきます。ポイントは、「苦手な事」や「自信のない事」を放置しない事です。今まで「見ないフリ」して放置してきた事を、片っ端から潰していきましょう。
3) Listening
ここでもポイントは、「細部まで拘る」「正確さと追求する」です。精読のListening版ですね。中級レベルの特徴として、英語を聞く、話す事にに慣れてきて、初心者の時のように怖がらずにコミュニケーションを楽しめる様になった、事です。これは素晴らしい事なのですが、「何となく大雑把に理解する」と言うことに慣れてきてしまっています。ある意味「分かった気になっている」状態ですね。なので、英語でコミュニケーションをしているときに、勘違いしていることがかなりあります。ここでは、「細部まで拘る」「正確さと追求する」練習をしていきます。
① 題材選び
まず、最初の課題は「題材選び」です。おすすめの教材は「英語・英会話教材」のカテゴリーで書いてありますので、参考にしてください。ここでは「題材選び」の方法を説明します。
- レベル/難易度
- 長さ
- ジャンル
簡単に説明します。
- レベル/難易度
-
まず難し過ぎるものはNGです。と言っても、所謂「英会話教材」の類はお勧めしません。特に日本で作られている「英会話教材」は、非常にゆっくりとクリアに話されていて、語彙・文法レベルもかなりコントロールされています。中級レベルから上級レベルにステぷアップする目的には合いません。
学習者向けに作られたものではなく、一般視聴者向けに作成されているものを「題材」として選びます。かと言って、あまりにレベルが高く、何回聞いても「一言も聞き取れない」と言うレベルでは練習になりません。
「大体わかるかな?」くらいのレベルを選びましょう。やはり使いやすいのは、テレビドラマとYoutubeです。映画に比べると役者の演技や効果音が控えめなので聞き取りやすいと思います。
- 長さ
-
「題材」の長さも大切です。一字一句聞き取り、書き取る練習をしますので、長編映画の様なものでは無理があります。テレビドラマだと30分番組で、中間地点でCMブレークがあります。またシーンのカットが短めなものが多いので、区切りやすいと思います。Youtubeも大体10分前後の動画が多いのでちょうど良いでしょう。実際にディクテーションしてみるとわかると思いますが、1分間程度の会話を書き取るだけでも、かなりの時間が必要になります。短めのものを選びましょう。
- ジャンル
-
ジャンルは、「よく知っているジャンル」「馴染みのあるジャンル」を選びましょう。中級レベルから上級レベルを目指すと言うと、政治経済のニュースを選ばないといけないと思う人がいる様ですが、必ずしも当てはまりません。どちらかと言うと、語彙力の話になります。ここではListening力を伸ばす練習、特に「細部まで拘る」「正確さと追求する」が目的ですので、語彙やそのジャンルの知識に関する負荷はかけないほうが効率的です。
② 練習方法
それでは具体的な練習方法を説明しましょう。
ある意味練習方法は非常にシンプルです。題材を選んだら、ワンセンテンスずつ止めながら、ひたすら書き取っていくだけです。
- 一度全体を通して聞く
- ワンセンテンスずつ止めながら書き取っていく
- 聞き取れない箇所が無くなるまで、ひたすら繰り返す
ある時点で、「何回聞いてもこれ以上わからない」と言う状態になると思います。そこでストップします。ギブアップの状態ですね。ここまで頑張りましょう。
書き取った文章を「正解」と比較します。この「正解」が手に入る「題材」が理想的なのですが、そんな都合の良い「題材」はないかもしれません。もし身近に、「正解」を教えてくれる英語の得意な人がいれば、教えてもらってください。ほとんどの場合、そのような人はいないと思うので、「題材選び」で工夫が必要になります。
テレビドラマで字幕付きの物が得られれば、使いやすいでしょう。Youtubeに字幕が出る場合もありますが、ほとんどの場合自動化された字幕なので間違いだらけです。当てにしない方が良いでしょう。
「じゃぁどうすれば良いんだ?」と思うかもしれません。その場合は、「正解」と比較しなくても構いません。日本人は真面目なので、「正解」がわからないと不安かもしれませんが、時が解決してくれます。ここで説明している方法を全て実行していけば、必ず英語力が向上します。今聞き取れていない事も、数ヶ月後には聞き取れるようになっています。大切な事は次の「分析」です。
ワンセンテンスずつ止めて書き取ったノートを見てみると、「虫食い」状態になっている事に気づくと思います。その原因を検証します。聞き取れない原因の代表的なものは以下になります。
- 語彙・表現力
- 固有名詞
- 発音
- 音の連結
- 速読力
- 文法力
- 話題に関する知識
以下、簡単に説明します。
- 語彙・表現力
-
当たり前のことですが、知らない単語は何回聞いても聞き取れません。「虫食い」になっている箇所はかなりの確率で「知らない単語」になることが多い様です。対処法は語彙力強化しかありません。英語レベルが上がれば上がるほど、語彙力強化の比重が高くなります。
- 固有名詞
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これはある意味仕方がありません、地名、人名、店名、事件名などですね。日本語でも同じですよね上級レベルの人でも難しいと思います。多読・速読を続けているうちに、代表的な人名や地名などは覚えていくので少しずつ軽減されていくと思います。
- 発音
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文字だけで単語や表現を覚えてきてしまった人によくあるケースです。「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」でも説明しましたが、単語も表現も必ず音声とセットで覚えていく必要があります。特に間違った思い込みをしていると、知っている単語でも聞き取れないことがあります。もし発音記号が読めない様なら、今の時点で必ず覚えてしまってください。
- 音の連結
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個々の単語の発音を理解していても、単語と単語がつながった場合の音の変化についていけないことがあります。
I have got to get them. I gotta get’em.
みたいな例ですね。これは聞き取り・書き取り練習を続けていくと、ある程度パターンを掴んでいくので、徐々に解消されていきます。
- 速読力
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Listeningと言うと、「音の問題」だけのように考えがちですが、日本人の場合、速読力の問題の可能性が非常に高くなります。正確には、速読力というか、「英語を理解する速度」です。学校の勉強で、「英文をゆっくり解読する」と言う癖がついてしまっています。その中で、「まず1回文を最後まで目を通し、文の構造を解読し、和訳する」と言う癖がついてしまっている方は、Listeningのスピードについて行けません。英文を文頭から英語の語順でそのまま理解することができなければ、少しでも長い文になると対応出来なくなってしまいます。そのため、速読・多読を通して、英語を英語の語順で英語のまま理解していく訓練を積むことが必要になります。
- 文法力
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文法力も非常に大きな部分を占めます。もし、聞き取り書き取ったノートと「正解」を比較できるのであれば、書き落としていたり、抜けている箇所に気づくと思います。多くの場合、「苦手な文法事項」は聞き取れていない事に気づきます。例えば、冠詞だったり、前置詞だったり、時制であったり、複数形であったり。
実際には、文法力で英文を予測して聞いているのです。日本語でのコミュニケーションを考えてみてください。日常生活において、雑音であったり、何かしら集中力を削がれるような事も多々あります。その場合でも、特に大きな支障にはならないはずです。文法力が身についているので、頭の中で自動的に正しい日本語に変えてくれているのです。
簡単な例で説明すると、
I went ✖︎✖︎ the park the day ✖︎✖︎ yesterday.
この欠けている部分は、実際には聞いてなくても大丈夫ですよね。文法力で、toとbeforeが入れられます。
また、中級レベルであれば、
If I were you, ✖︎✖︎ ✖︎ ✖︎
これも予測できるはずです。仮定法過去なので、I’dですよね。 なので、正確な文法力を身につけることで、Listening力も大きく向上させられます。
- 話題に関する知識
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「題材選び」でも説明しましたが、「知らないジャンル」の話題は聞き取れないものです。これは日本語でも同じ事だと思います。ある意味きりがない事なので、あまり気にする必要はありません。自分にとって必要なジャンルの知識は持っているはずです。ただし、英語の資格試験、TOEIC、TOEFL, IELTSなどが必要な方は、そのテストで求められるトピックに関する最低限の知識を身につけた方が良いでしょう。
4) 発音
初心者や中級者で「発音の勉強」を実践したことがある人は少ないと思います。発音は非常に大切です。とは言え、今の日本人で「発音が悪すぎて何言っているのか外国人に理解されない」と言う人はあまり多くないと思います。
私自身が英語を英語を勉強していた頃、今から50年くらい前の話になりますが、発音の悪い日本人は非常に多かったようです。今では、そこらじゅうに英語の音声が溢れており、小中学校からALTが常駐している時代ですから、そこまで発音の悪い人はいないでしょう。
発音が重要なのは、どちらかと言うと、Listeningのためです。発音とListeningは表裏一体です。聞き取れる音は発音出来るようになるし、発音出来るようになった音は聞き取れるようになります。
発音の学習方法は非常にシンプルです。子供であれば、正しい音を繰り返し聞かせてリピートさせているうちに正しい音が出せるようになっていくのですが、大人の場合はそう言う訳にはいきません。発音の仕方、つまり口の開け方、舌の位置、息の出し方や力の入れ方などを理屈で頭の中で理解しないと、正しい音が出せません。時々、大人の生徒にひたすら繰り返しリピートさせて発音を教えようとする講師がいますが、意味がありません。
以前、私が直接教えていた生徒で、sとshの区別が出来ない生徒がいました。
- see she
- seat sheet
このような音の組み合わせです。当然ながら聞いてもその違いが区別できませんでした。それほど難しい音とは認識していなかったので不思議だったのですが、その生徒には非常に難しかったようです。口の開け方や舌の位置を日本語で説明し、3週間くらい一緒に練習しました。ある日突然発音で区別出来るようになりました。するとListeningでもこの二つの音の聞き分けができるようになりました。このように発音とListeningは表裏一体の関係にあるので、Listening力向上のためにも、発音の練習は非常に大切です。
ところで、発音学習のための教材は、今のところ特殊なものは無いようです。正直言って、どれでもほとんど同じです。発音記号の説明と個々の音の出し方を図解入りで説明してあるものが一般的です。デザインや第一印象で、使いやすそうなテキストを選んでください。当たり前ですが、必ず音声教材の付いたテキストを選んでください。
個々の発音を練習する時に、rやl、fやv、thなど、いわゆる日本人が苦手とされる音を練習する必要があるのですが、初心者や中級者の場合、意外と母音が出来ていません。
- law low
- coat caught
- hard heard
- cat cut
これらの母音に関しては、かなりレベルの高い人でも、発音というか、音の出し方を理解できていない人が多いようです。発音出来ないということは、当然ながら聞き分けも出来ませんので、Listening力に影響してきます。
また、個々の発音だけでなく、音の連結も頭で理解し、発音練習する必要があります。Listeningのセクションで説明しましたが、聞き取れない理由の一つに「音の連結」があります。繰り返し聞く練習をする事も大切ですが、自分で発音出来るように練習し、実際に発音出来るようになってしまうと、聞き取れるようになります。
- All I want to do is ⇨ Alla wanna do is
- Get down on my knees ⇨ Gedownon manees
このようなタイプです。この辺りも、通常「発音関係のテキスト」には出ているはずです。
いずれにしても、聞き取れる音は発音出来るようになるし、発音出来るようになった音は聞き取れるようになる、と言う事を意識して練習してください。
5) Writing
しつこいようですが、「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」で説明したWritingを実践し、マスターしていることが前提条件になります。まだ出来ていない人は、先に進む前に必ず基本を押さえてください。時間の無駄になりますので十分注意してください。
第2段階でのWritingのテーマは、Reproductionです。英語にはReceptiveなレベルとProductiveなレベルがあることは説明しました。ここでのポイントは、Receptiveな力をProductiveに昇華させるためにかかる時間を短縮することです。
このレベルでは、日々、速読・多読、精読、Listeningの練習をしています。基本的にReceptiveな作業になるのですが、読んだこと、聞いたことを出来るだけ、英語で再現していきます。「初心者の学習方法② - 将来的に留学や仕事で使えるように本格的に学びたい場合」で説明した日記の延長線上で構わないのですが、必ず読んだことや聞いた事を英語で再現していく習慣をつけましょう。最初のうちは難しく感じるかもしれませんが、段々と出来るようになっていきます。継続がポイントです。とにかく半年続けてみましょう。半年後には驚くほど簡単に出来るようになります。そして会話力が大きく向上していることに気づく事でしょう。
5. 具体的な学習方法③ - 第三段階
さぁ、いよいよ中級レベルから上級レベルへステップアップするための総仕上げです。第一段階と第二段階でしっかりとした土台ができていますので、全体的な底上げをしていきます。
1) ジャンルを広げる
これまでは、「馴染みのあるジャンル」「知識のある話題」で、速読・多読、精読、Listeningの練習をするように進めてきました。次の段階は、そのジャンルの幅を広げる事です。
実際にコミュニケーションをとる場合、必ずしも自分の好きな話題だけを話す訳ではありません。よほど親しい友達と話す時は別として、仕事上で話す人、顔見知り程度の関係の人と話す時は、相手の興味ある事やお互いの共通点で話すことになります。必ずしも自分のよく知っている分野とは限りません。そのため、幅広い話題に対応できるようにしておくことが必要になります。
好きなテレビドラマやYoutubeチャンネルだけでなく、ニュースや雑誌記事、小説や映画など幅広い「題材」を使って学習していきます。学習の進め方はこれまでと同じです。
- 速読・多読
- 精読
- ディクテーション
- Writing (reproduction)
ここまで来ると、とにかく「学習量」の問題になります。ひたすら「量」を追い求めましょう。
そして徹底的に語彙力強化に努めてください。
単語帳を増やすこと、曖昧に感じた文法事項は放置せずに勉強し直す事など、これまで説明した通りです。
「速読」と「多読」に関しては以下を参考にしてください。個人差があると思いますので、必ずしもこれにこだわる必要はありません。ただし、自分の好きな分野に留まらないようにしましょう。と言っても、常識の範囲以内で大丈夫です。
- 小説:名作、推理小説、ベストセラー小説、映画の原作など
- ノンフィクション:やはりベストセラーが良いでしょう
- ニュース・雑誌:Web SIteで大丈夫です。
「精読」に関しては、「速読」と「多読」で使った題材の一部分を「精読」すると言う方法でも大丈夫です。大学の課題図書などもお勧めです。ニュース記事はそれほど文型的に難しくはないので、どちらかというと雑誌記事の方が「精読」の題材には向いているでしょう。また、所謂「名作」と言われる文学作品もお勧めです。
「ディクテーション」もニュース、テレビドラマ、Youtube、Websiteなど、何でもトライしてみてください。特に、インタビュー系の物が実践向きです。
2) 自分の意見を持つ
中級レベルから上級レベルにステップアップするために、最後の課題が残っています。実はこれが一番厄介です。かなり個人差があるのですが、日本人には難しい部分になります。
① 自分の意見を持つと言う事
英語力そのものと言うよりも、国民性や学校教育、家庭内しつけの影響によるところが大きくなります。「自分の意見を持つ」と言う事、言葉で言うと簡単ですが、日本人には難しい。私も自分自身かなり苦労しました。個人差があると思うので、以下は一般論です。一般的に日本の家庭内躾や学校教育では、自分の考えや意見を述べると言うことに重きを置いていません。と言うか、反対の方向に教育されています。日本国内での社会生活を円滑に行うためには非常に有効なのですが、英語で外国人とコミュニケーションを取ろうとする場合、かなり弊害になります。
よく子供の時にこんな事を、親や教師から言われました。
- 「理屈を言うな」
- 「そんなこと、言われなくてもわかるだろう」
- 「空気を読め」
- 「他の人の気持ちも考えろ」
- 「お前一人で生きてるわけじゃない」
令和の日本人にとって、「そんなのは、昭和の話だ!」と思えるのであれば全く問題ないのですが、私の場合は非常に苦労しました。子供の頃から、このような事を言われ続けると、自然と「自分の意見を持たなく」なります。他の人の顔色を伺いながら、当たり障りのない事を言い、本心は隠すようになります。
友達同士のコミュニケーションでも、「相手を傷つけない」「不快な気持ちにさせない」事を最重視します。「こんな事を言ったら、嫌な思いをするだろう」と相手の気持ちを察し、相手の考えに同調します。コミュニケーションのゴールは「同意する」と言うことになります。
A:昨日のドラマ見た?
B:見た!
A:良かったよね?
B:最高!
こんな感じですね。「ドラマを見る」と言う行為、「良かった」と言う感情を共有できれば、お互いに満足です。
このような「同意する」事をゴールとするコミュニケーションを繰り返してく中で、「英語の中級レベル」になると「意見を求められる」のです。
What did you think of ~?
Why?
とか言われても、困りますよね?
「ドラマを見る」と言う行為、「良かった」と言う感情を共有して、完結してしまっているのです。Whyも何もありません。
そもそも、「自分の意見」を持っていない、持つ必要が無かったのです。
また、こう言うケースでありがちなのが、What do you think of ~? と聞かれて、How about you? みたいな感じで、相手の意見を求めてしまいます。「相手の気持ちを察する文化」なので、「相手の考えや意見」が気になります。「相手を傷つけない」「不快な気持ちにさせない」事を言いたいのです。
これをやってしまうと、
I’m asking YOU.
と言われてしまいます。私もよく言われました。
なかなか難しい事ですが、「まず自分の考えを持つ」「相手の考え方を気にする必要ない」と言う習慣を身につける必要があります。
この練習で難しいのは、「日本人相手に練習できない」と言う事です。「相手の考え方や感情を無視して、自分の意見のみ言い続ける」なんて事を、日本人の友達に対して続けたら、友達いなくなります。
外国人相手に練習できれば良いのですが、そんなに都合良い練習相手がいなければ、一人で黙々と書く練習をすると良いでしょう。
具体的な方法はこの後説明しますが、この問題はどちらかと言うと、「文化的」「心理的」な意味合いが強くなります。まず、日本語と英語では全く文化が異なるので、コミュニケーション方法が異なる、日本語で考えている事をそのまま英語にしても無理がある、と言う事を理解しましょう。
② 練習方法
「自分の意見を持つ」と言うことは、発信する側です。この練習にはWritingが最適です。これまでも読んだことや聞いたこと、見たことを、Reproductionすることを推奨してきました。これが語学学習の基本です。
その次の段階で、「自分の意見を言う/書く」と言う事になります。と言っても、いきなり意見を書くのは難しいと思います。なぜ難しいかと言うと、単純に「意見を言うことに慣れてない」からです。そんなに心配する必要ありません。練習すればできるようになります。
a. 「具体化」と「細分化」
多くの中級者の場合、「意見を言うことに慣れてない」から、アイデアが思いつかないのです。なぜ「アイデアが思いつかない」かと言うと、多くの場合、トピックが抽象的だからです。「自分の意見を言う/書く」練習の第一歩は、「具体化」と「細分化」です。
例えば、昨日テレビで見た〇〇と言うドラマの話をすると思ってください。
What didi you think of 〇〇?
It was good.
Why?
………..
こぅなりますよね? 「Whyって言われても….」って感じです。
いきなり答えられないと思うので、「具体化」と「細分化」していきます。テレビドラマについて話すと言う場合、どんなことについて話せるのか考えてみます。
- ドラマのジャンル
- ドラマのストーリー
- 舞台背景・設定
- 役柄
- 出演している役者
- 映像
- 音楽
こんな感じですね。そして一つ一つの事柄を細分化していきます。
- ドラマのジャンル:ロマンス、サスペンス、時代物、刑事物、コメディー
- ドラマのストーリー:起承転結
- 舞台背景・設定:いつ、どこで、誰が、何を、なぜ等
- 役柄:主役・脇役の人物設定、人間関係など
- 出演している役者:外見、過去の出演作、役柄との適性など
- 映像:印象に残っているシーンなど
- 音楽:どのシーンでどのような音楽や効果音がどのように使われていたか
この作業をしていると、当然「語彙力強化」が出来ます。「言いたいことがあるのに、どう表現した良いかわからない」と言う場面に遭遇するからです。余すことなく、全部調べ上げましょう。
ここまで「細分化」してくると、どこかに「自分の意見」あるいは「言いたい事」が出てくるはずです。まず、この「具体化」と「細分化」の練習をしてみましょう。10個くらいの例を練習すると感覚的に掴めてくると思います。これで第一段階終了です。
b. 話の組み立て方
次は「話の組み立て方」です。先ほど説明したように、「英語」と「日本語」は全く違う言語です。そして、「日本文化」と「英語圏の文化」は全く違います。「意見を言う」時に、日本語で話すときの話し方をそのまま和文英訳しても、英語圏の人には伝わりません。英語圏の人に伝わりやすい「話の組み立て方」があります。ここでは、そのフォーマットに沿った話し方の練習をします。と言っても、「書く練習」です。
基本的なエッセイのアウトラインで「話を組み立てる」練習をします。エッセイの構成は以下になります。
- 意見
- 理由1
- 理由2
- 理由3
- まとめ
まず、この形に落とし込みましょう。最初はシンプルな例で練習しましょう。例えば、こんな感じです。
意見 :I want to study English.
理由1:I like traveling.
理由2:I want to communicate with tourists.
理由3:I want to understand movies and music in English.
まとめ: So I want to study English.
これくらいシンプルな物から始めて大丈夫です。まず、このフォーマットに慣れていきましょう。
この「理由1」「理由2」「理由3」の部分が、「Body」になります。説得力を持たせるために、この「Body」の部分に肉付けをしていきます。実例や補足などを足していけば大丈夫ですので、「理由1」「理由2」「理由3」、それぞれに、実例や補足などを加えて肉付けをします。
理由1:I like traveling and I can do simple things like ordering food or checking in at the hotel in English but I’d like to communicate with people living in the places I visit.
理由2:I want to communicate with tourists from other countries. Sometimes I get asked by people visiting Japan on the street. I can give directions but I’d like to talk more.
理由3:I want to understand movies and music in English. I really like English TV dramas and movies. I enjoy watching them reading subtitles but I’d like to watch them without subtitles.
ここまで出来たら、聞き手に話の展開がわかりやすいように、つなぎ言葉を入れていきます。
①の意見のところであれば、理由が3つあることを伝えます。
意見 :I want to study English. There are three reasons.
「Body」の「理由1」「理由2」「理由3」の部分であれば、それぞれの「理由」を述べていると言うことを明確にします。
理由1:First of all,
理由2:Secondly,
理由3:Lastly,
⑤のまとめのところであれば、
まとめ:That is why I want to study English.
これで完成です。
以上を組み合わせるとこんな感じになります。
意見 :I want to study English. There are three reasons.
理由1:First of all, I like traveling and I can do simple things like ordering food or checking in at the hotel in English but I’d like to communicate with people living in the places I visit.
理由2:Secondly, I want to communicate with tourists from other countries. Sometimes I get asked by people visiting Japan on the street. I can give directions but I’d like to talk more.
理由3:Lastly, I want to understand movies and music in English. I really like English TV dramas and movies. I enjoy watching them reading subtitles but I’d like to watch them without subtitles.
まとめ:That is why I want to study English.
この練習を6ヶ月~1年くらい続けていくと、自然と自分の意見が言えるようになります。継続は力なり、です。最初は難しく感じても少しずつ出来るようになります。1週間に1トピックでもいいので、まず半年間続けてみてください。半年後に最初の例を見返していると驚くほど上達してきたことに気づくと思います。
6. 具体的な学習方法④ - 第四段階
ここまで地道にインプットを重ね、writingでアウトプットの練習を続けてきたら、いよいよ実践練習の時間です。実践練習は2段階あります。
- スムースなコミュニケーション
- 自分の意見を主張する
「実践練習」とはその名の通り、実践の場なので相手が必要になります。この「実践練習の相手探し」が非常い難しいポイントになります。まずは簡単な方から始めましょう。
1)スムースなコミュニケーション
どんな話題でも構わないのですが、インプットした語彙や文型を使って自由に話す相手を探しましょう。これはそれほど難しくないと思います。ただし、費用はかかります。英会話スクールでもオンラインレッスンでも英会話喫茶でもなんでも構いません。長く続けられる方が良いので、できるだけ費用がかからない方が良いでしょう。相手を探す上でのポイントは以下になります。
- 話していて/一緒にいて楽しい人
- 話すテンポが速い人
- 趣味や興味で共通点の多い人
- ある程度の教養のある人
簡単に説明します。
- 話していて/一緒にいて楽しい人
-
当たり前の事ですが、一緒にいて、話していて楽しい人じゃないと続けられません。友達選びと同じです。英語以前の問題なので、これを第一優先しましょう。「英語学習者」の悪い癖で、ネイティブスピーカーを神格化してしまう傾向があります。特別な人達ではなく、「単なるネイティブスピーカー」です。皆さんが日本語の「ネイティブスピーカー」である事と、何ら変わりありません。友達選びの感覚で探してみてください。
- 話すテンポが速い人
-
ここでのポイントは、「スムースなコミュニケーション」です。どれだけナチュラルスピードで会話出来るかが大切になります。日本に長く居て、日本人に英語を教えることに慣れている人は、「極端に遅く話す」癖が付いている場合があります。初心者を教える場合には、役立つこともあるのですが、中級者が上級レベルにステップアップするために「スムースなコミュニケーション」を練習する相手には適していません。どちらかと言うと、日本に来たばかりで日本人に慣れていない人の方が良いでしょう。
- 趣味や興味で共通点の多い人
-
「スムースなコミュニケーション」を目指すとは言え、中級レベルの人は自由自在に英語でコミュニケーションが取れる訳ではありません。英語力の問題で、「言いたいことが言えずに、フラストレーションが溜まる」ケースが多々出てくると思います。その時に、一番イライラするのが、「明らかに自分の方が正しいのに、英語力の問題で相手に伝えられない」と言う事です。その時に、「趣味や興味で共通点の多い人」は比較的意志が伝わりやすくなります。自分があまり興味のない話題であれば、多少意志が伝わらなくても我慢できるでしょう。
- ある程度の教養のある人
-
当たり前ですが、最低限自分と同じレベルの教養のある人を選びましょう。「英語学習者」の悪い癖で、ネイティブスピーカーを神格化してしまう傾向がありますが、「知識・教養」とは別物です。ネイティブスピーカーであれば、英語が話せるのは当たり前なので、それ自体特別な事ではありません。自分と同等以上の教養があり、信頼できる相手を探しましょう。
「相手探し」のポイントを説明しましたが、なかなか理想的な相手に巡り会えるとは限りません。最初のうちは、「100%完璧な相手」を求めずに、50%くらい満たしていればOKくらいの感覚でいいと思います。とにかく、何も考えずに「楽しみながら、話しまくる!」事に徹してください。これまでしっかりと「インプット」を重ね、Writingで「アウトプットの練習」を続けてきたからこそ、役に立つ練習です。
2)自分の意見を主張する
「具体的な練習方法③-第3段階 2)自分の意見を持つ」の実践練習です。中級レベルから上級レベルの学習者にとってここが一番大切な実践練習になります。独習でかなりの事はできるのですが、この実践練習だけは相手が必要になります。
ただし、残念ながらこの「具体的な練習方法③-第3段階2)自分の意見を持つ」の実践練習の相手探しは非常に難しくなります。なぜ難しいのかを最初に説明します。
- 「真剣に討論する」相手が必要になる。
-
「スムースなコミュニケーション」を目指すのであれば、「軽い会話」ができる相手を探せば良い訳です。初対面の人でも問題ないですし、当たり障りのない話をする訳なので、ある意味誰でも大丈夫です。これが、「具体的な練習方法③-第3段階 2)自分の意見を持つ」の実践練習の相手となると、ある程度真剣に話してもらう必要があります。日本語で考えてみればわかると思いますが、あまり親しくない人と込み入った話をしませんよね?自分の考えをストレートに話す事もないと思います。中級レベルの英語学習者と討論してくれる相手となると、かなり限定されてきます。
- そもそも「中級レベル」の英語学習者を教える事は難しい
-
所謂英会話スクールや専門学校、大学などで教えている講師の中で、中級レベル・上級レベルを教えられる人はあまりいません。初級者を教える事は、トレーニングを受け、経験を積めばそれなりにできるようになります。しかしながら、「中級レベル・上級レベル」の教え方は全く別物になります。これを理解している人はほとんどいません。
以上が、大きな理由になるのですが、この二つを両立している人は探すのは至難の業です。なので、「相手探し」には時間がかかり、理想的な「相手」が見つかったら、大成功と考え、長い目で見てください。ある意味、「親友探し」みたいな物です。喧嘩しても仲直りでき、お互いに認め合い、魅力を感じる相手です。
とは言え、「練習相手」を探さないといけないので、具体的な方法を説明します。100%理想的な相手を見つけるのは時間がかかるので、少しでも可能性のある候補を探しましょう。
- インターナショナルパーティー
-
個人的にはこれが一番確率が高いと思います。ただし、もしこの記事を読んでいるあなたが若い女性だったら注意が必要です。「インターナショナルパーティー」とは、外国人の男性が日本人の女の子をナンパする場所だからです。男性の場合は全く問題ありません。彼ら、つまり外国人男性と、競合しないので、友達もできると思います。女性の場合は、ある程度、しっかりとした意思を持ち、本来の目的である「具体的な練習方法③-第3段階2)自分の意見を持つ」を探す事に専念する必要があります。
「インターナショナルパーティー」にきている外国人男性は、日本人の女の子をナンパしに来ているのですが、パーティーに来ている外国人女性、その友人にはかなりしっかりとして人がいる場合があります。英会話講師や軍人ではなく、欧米の企業から「海外赴任者」として日本に来ている人達です。広尾の高級マンションに会社負担で住んでいるようなタイプで、生活水準も知識レベルも高い人達です。純粋に日本人の友達を探しているケースが多々あります。
このタイプで「気の合う人」を見つけられたら、非常にラッキーです。「英会話の練習相手」としてではなく、「純粋な友人」として交流し、その過程の中で「本心で話し合える」時間を持てれば理想的です、
- 観光客
-
日本に来ている観光客と仲良くなることもあります。当然遠距離での交友になりますが、今はオンラインのコミュニケーションも普及しているので問題ないと思います。元々日本に興味があり来ている人達なので、性格や知的レベルが一致すれば良い候補になると思います。
- 講師:英会話スクールなど
-
どうしても「練習相手」が見つからない場合は、英会話スクールなどの講師が候補になります。まずネックになるのが、英会話スクールに通っても「必ずしも講師を指定できる訳ではない」と言うことと、「自分が練習した内容にするためにはプライベートレッスンが必要になり料金が高い」と言うこと。そして、「練習相手」に相応しい相手に出会う可能性が低い、と言うこと。
英会話スクールで「練習相手」を探す場合は、小規模のスクールを狙った方が良いでしょう。大手英会話スクールは講師への教育がしっかりしています。「お客様の気分を害するような話をしない」と言う指導も受けています。また、レッスン時間外にスクール以外の場で顧客と接点を持つことを禁止されている場合もあります。その点、小規模スクールの場合は、かなり制約が軽減されています。と言うことで、小規模スクールで候補となりうる講師と友達になる、と言う方法が考えられます。この場合の注意点はインターナショナルパーティの時と同じです。女性の場合は気をつけた方が良いでしょう。基本的に女性の学習者は女性講師を候補にした方が良いと思います。
- 練習相手が見つからなかった場合
-
気長に待ちましょう。「上級レベル」を目指して、毎日数時間、数年間勉強する決心をした訳です。必ず、どこかで理想的な相手に巡り合います。その時まで、独学を続けてください。独学でできる事は多々有ります。努力を積めば積むほど、理想的な相手に巡り合った際、飛躍的に向上できます。
7. まとめ
「中級レベル」で伸び悩んでいる人が「上級レベル」にステップアップするために必要な英語力を身につけるために効果的な学習方法を説明してきました。
思っている以上に、ReadingやListening, Writingの要素が多かったと思います。英語学習、特にコミュニケーション力を伸ばす勉強というと、どうしてもSpeakingの練習をしたくなると思うのですが、「英会話」と「英語」は別物ではありません。「英語の総合力」を伸ばすことが大切と理解してください。
「中級レベル」で伸び悩んでいる人が「上級レベル」にステップアップしたい、と思ってこの記事を読み始めた人の中で、最後の「まとめ」まで辿り着いた人はごく僅かだと思います。ここまで読んでくれた方は、きっと「絶対に英語をマスターしたい」と言う強い気持ちを持っている事と思います。
その気持ちを持ち続けている限り、必ず英語を身につけられます。そして、その努力によって身につけられた英語力は、あなたにとって何にも変え難い、「絶対に失いたくない大切な力」になっている事と思います。
是非、最後まで頑張ってください。