このサイトでは、日本国内で本格的に英語を身につけたい方向けに、「英会話の学び方」を説明しています。本格的に英語を学びたい方向けに書いているので、「英会話を初めてみたい」と思っている方にはハードルが高いかもしれません。今回は初心者の学習者が覚えておくべき基本的な考え方をシンプルに説明していきます。
私は海外留学も長期海外生活したことはありません。中学校で初めて科目としての英語の学習を始め、一般的な日本の学校教育で英語を学んできました。それでも、留学も海外生活もせずに日本で勉強した結果、英語・英会話講師を経て、講師トレーナー、管理者として数千人以上の外国人講師と日本人講師に「英会話の教え方」を指導してきました。
自分自身の学習経験、講師として初心者から上級者まで担当し学習者の悩みや喜びを共有し、また指導した講師達の実例に基づいて、日本で英語を学ぶ方法を伝えていきたいと思います。今回は出来るだけシンプルに説明してみます。
1. 英語と英会話の違い?
「英語」と「英会話」って何が違うんですか?
考えたことありますか?
英会話スクールに来る初心者のお客さんに良く言われたことがあります。
- 「学校の英語は大嫌いで苦手だったけど、英会話なら出来そうな気がして」
- 「学校の英語は大嫌いで苦手だったけど、ワーホリ行けば英語話せるようになるって聞いたし」
だから、英会話学校へ通えば自然と英語が話せるようなれるし、学校でやった英語の授業みたいに必死になって辞書引いて単語調べて、難しい文法とか覚える必要ないはず!
まして、ワーホリとか行ったら、生活しているうちに自然と英語なんか話せるようになるし、お金も稼げるし、一石二鳥。もう会社とかやめちゃった方が良いかも!
しかし残念ながら、「英語」と「英会話」は同じものです。
一般的な日本人の場合、「英語」と言うと受験英語に代表される学校の英語の授業をイメージするのでしょう。「英会話」と言うと、海外旅行に行った時のための「トラベル英会話」みたいなイメージなのでしょうか。
でも「英語」は「英語」で、“読む”“書く”“聞く”“話す“のすべてを指すし、「英会話」はそのうちの“聞く”“話す“に重点が置かれるものの、実際に”旅行“するにしても“読む”“書く”“聞く”“話す“がすべて必要になってきます。なので、本格的に英語コミュニケーション力を身につけようと思ったら、学校英語のような勉強方法も不可欠です。
ただし、ほとんどの初心者の方は、「毎日何時間も何時間も受験勉強のような事を続けたい」なんて思っていないと思います。
今回は、そんな初心者の方達向けに出来るだけシンプルに説明してみたいと思います。
2. 「話す事」と「聞く事」
初心者の方がまず最初に理解すべき事は、「話す事」と「聞く事」は全く別の事と言う事です。
「英会話」というのは、「英語コミュニケーション力」です。コミュニケーションは一方通行ではありません。相手と自分の双方のコミュニケーションです。この二つは大きく異なります。
- 相手の言うことを「理解する」力
- 自分の伝えたいことを「話す」力
1. 相手の言うことを「理解する」力
相手の話す事は自分でコントロールできません。話している相手は日本国内の英会話スクールの講師かもしれないし、北欧から出張で日本に来ているビジネスマンからもしれません。あるいは海外旅行で滞在している南米の都市の現地の人かもしれません。
その話し相手の使う言語は、自分でコントロールする事はできません。
- どんな語彙・表現を使うのか
- どんな文法事項と文型を使うのか
- どのようなスピード、イントネーションで話すのか
- ネイティブでもノンネイティブでも、どのような発音・アクセントで話すのか
これら全ての事に対応できるようになるためには、膨大な量の語彙を身につけ、あらゆる文法事項や文型を理解し、ナチュラルスピードで理解できる読解力、リスニング力を身につけ、さらに様々な発音やアクセントに慣れて行く必要があります。
数週間、「英語を聞き流す練習」すれば身につくようなものではありません。受験勉強のような学習を延々と続ける必要があります。
2. 自分の伝えたいことを「話す」力
それに対して、自分の伝えたいことを「話す」力は自分でコントロールする事ができます。
- 自分の知っている語彙・表現を使う
- 自分の知っている文型を使う
- 自分の話せるスピードで話す
自分の話したい内容を話すために必要な語彙を身につけ、必要最低限の文型・文法知識を身につければ良いだけです。
この時、多くの日本人学習者の特徴として、文法的な間違いを気にし過ぎると言う点があります。おそらく学校英語の影響でしょう。そもそも英会話初心者、英語学習初心者な訳なので、話し相手も「完璧な英語」を期待しているわけではありません。
フルセンテンスで話す必要もなく、フレーズ単位で話せれば十分です。
初心者の方はまず何よりも、「話す練習」を中心に進めれば良いのです。文法の練習もリスニングの練習も後回しにして構いません。
3. 初心者の学習方法
先ほど説明したように、初心者の方はまず何よりも、「話す練習」を中心に進めれば良いのです。文法の練習もリスニングの練習も後回しにして構いません。その上で大切なポイントを何点か説明します。
1. 到達目標を決める
初心者の場合、何となく「英語が話せたら良いかも!」的な発想で始めていると思うので、到達目標を明確に定めるのは難しいかもしれません。でも多くの日本人学習者があまりに無理な目標設定をしてしまい、挫折を繰り返している姿を見てきました。
外国語習得には時間も労力もかかるので、数週間、数ヶ月、あるいは数年程度で、「ネイティブのように会話できる」と思ってしまうのは間違いです。数週間とか数ヶ月で到達できる目標を設定してみましょう。例えばこんな感じです。
- 海外旅行へ行った時、レストランでオーダーできる
- 海外旅行へ行った時、買い物ができる
- 日本国内で外国人観光客に道案内ができる
- 簡単な自己紹介ができる
- 自分の趣味を簡単に説明できる
あくまでも、自分の伝えたいことを「話す」という一方通行のコミュニケーションになりますが、初心者でもこのくらいは、数週間から数ヶ月でできるようになります。
2. フレーズとして覚える
日本人学習者の場合、学校教育の影響でどうしても文法的に考えてしまう癖があります。新しい表現を覚える時も「何故こう言う文型なのか」とか「どうしてこう言う単語を使うのか」とか考えてしまいますが、深く考えずに「表現」として割り切ってしまいましょう。
- 深く考えずに「表現」として覚える
- 多少のミスがあっても問題ない
- 一度に少しずつ覚える
3. 発音は気にしない
やはり日本人の気質なのかと思います。真面目な人が多いので何でも完璧さを求めてしまう傾向があります。文法や文型もそうだし、発音もそうです。
ただし、発音に関してはあまり気にする必要はありません。私自身が英語を学び始めた頃は今と全く環境が違い、英語の音に直接触れる機会はありませんでした。当時の英語学習者や英語教員の発音は酷いもので、発音が理由で外国人に英語が伝わらないと言うことが多々あったような気がします。
今は状況が全く違います。YouTubeでもインスタでもXでも英語が溢れており、日本国内で働き生活している英語圏の人、海外からの旅行者もたくさん訪れています。初心者でも日々英語の音に触れているので、極端に発音が悪い学習者にあまり出会った事はありません。
- 個々の発音を気にし過ぎない
- 発音よりアクセント
- 発音よりイントネーション
4. リスニング
先ほど説明したように、リスニング、つまり、相手の言うことを「理解する」力を身につけるには多くの時間と労力が求められます。ここでも完璧さを求めることはやめましょう。
時間のある時に少しずつ練習してみましょう。「そのうち分かるようになる」という軽い気持ちで続けてみてください。注意点は、「レベルに合ったもの」で練習すること、この1点だけです。「何となく分かるかも!」くらいの題材を選んでください。
「聞き流すだけで大丈夫」という事はありません。知らない単語ばっかりで、文字で読んでもわからないようなレベルのものは、聞いても絶対に聞き取れません。初心者の方にとって題材選びは難しいと思うので、おすすめはNHKのラジオ講座です。こちらで説明していますので参考にしてください。
- 時間のある時に少しずつ練習
- レベルに合ったものを選ぶ
- 「何となく分かるかも!」くらいのレベルを選ぶ
- 100%理解できる必要はない
3. まとめ
初心者の学習者が意識すべきことを簡単に説明してきました。ある意味、割り切りが大切という事になります。日本人の気質として完璧さを求めてしまう傾向があるのですが、語学学習で完璧さを求めるのは上級レベルになってからで構いません。最初のうちは、自分にとって必要なこと、自分にできる事、に限定して学習してみてください。
- 「話す練習」を中心に
- フレーズで覚える
- 「何故そうなるのか」を気にしない
- 発音よりも、アクセント、イントネーション
- リスニングは少しずつ
これをきっかけに、本格的に英語学習を始めたいと思った方は、こちらの「英語の学び方」をじっくりと読んでみてください。